「私の映画人生の原点」ジョーズ チャイコ大好きおじさんさんの映画レビュー(感想・評価)
私の映画人生の原点
JAWSをIMAXで鑑賞しました。
JAWSは日本初公開当初、10歳の少年(1975年当日の私)を興奮させ、そこから年間200本以上映画館で鑑賞する映画バカにさせた張本人の作品です。今までに、リバイバル公開、LD、DVD、ブルーレイ、TVと色々なメディアで鑑賞し、おそらく20回以上は鑑賞しているが、この度、IMAX公開(リストアされていないとの事)といった現在望いる最高の状態での公開という事で109シネマズ名古屋エグゼクティブシートで2回鑑賞(1週間の間隔を開けて)しました。
セリフや次の出来事は承知なので、周囲の脇役とか、スピルバーグの映画職人としての力量とかをジャッジしながら鑑賞しました。
鮫映画の原点であり、この完成度を超える映画はまだ作られていない要因、世界中の人が50年間、この作品を愛した理由とは、ジョン・ウィリアムスの鮫が迫りくる死の恐怖を端的に表した誰でも知っているテーマ曲、鮫本体を見せない、人のイメージだけで迫りくる死の恐怖を感じさせるサスペンスな映像表現、そして、忘れてはならない配役、威張り屋で変り者の島の漁師サム・クイント(ロバート・ショー)、ユーモラスでインテリ、金持ち坊っちゃん海洋学者のマット・フーパー(リチャード・ドレイファス)、責任感は強いがどことなく頼りない警察署長のマーティン・ブロディ(ロイ・シャイダー)の3人芝居でしょう。
また、クライマックスでクイントが鮫の犠牲になる衝撃映像、10歳の少年にとっては決して忘れてはならないトラウマ的な映像、これに尽きると思います。
鮫に逆に追われたクイントが意地を張って、オルカ号のスピードを上げなければ、フーパーが持ち込んだ圧縮空気ボンベが船内になければ、クイントは死なずに済んだかもしれません。
しかし、あそこで死ななければ、これだけの名作にならなかったと感じています。クイントの死はまるでアンリ=ジョルジュ・クルーゾーの「恐怖の報酬」で出てくる高慢な同乗者ジョー(シャルル・ヴァネル)と同じ構図。そういえば、ウィリアム・フリードキン版の「恐怖の報酬」にはロイ・シャイダーがイブ・モンタンと同じ主役をやっていたっけ。クイント役のロバート・ショーは同じピーター・ベンチュリー原作の「ザ・ディープ」に出ていたが、JAWSの様に死んでいなかった事や主演のジャクリーン・ビセットの美しさであまり印象に残っていない。
しかし、オルカ号での最期の晩餐での男の勲章、自分の傷自慢やクイントの鮫に対する執着の原因の話、クイントの〜さよなら、スペイン娘〜の唄(計3回、結構唄がうまい)は何度観ても胸にジーンと来て、この作品の中でも一番イイ!
さて、スピルバーグにとってみるとオルカ号での描写が躍動していて、狭い船内をサスペンスフルに活写していて、緊張感たっぷり。映画職人の腕は比較的に初期作品にも、いかんなく発揮されているのだな。
さて、最後に50年間今だに疑問に残っている事があります。
それは樽問題で、オルカ号は出港の際に5個搭載されていて、クイントが一番銛を含めて4回撃っており、それでも鮫は3個の樽しか持っていない。終盤、ブロディとフーパーが樽2個を使って泳いで帰っている。すると、クイントが放った4回目の銛の先にある樽は何処にいってしまったのか?また、この疑問を胸にこの作品を見続けるのでしょう。
多分、私が亡くなるまで!