「教科書的すぎる📚️」ショーシャンクの空に ニックさんの映画レビュー(感想・評価)
教科書的すぎる📚️
学生の頃友人から「一度は見た方が良い!」みたいなことを言われ観てみましたが、何とも微妙な作品でした。悪い映画じゃないしパッケージにある雨に打たれるシーンもカタルシスが無くはない、のですが、今ひとつ心に残るものが無い。最後の海辺のシーンだけは絵的に綺麗でしたが……
本当の名作や傑作は頭で感心するだけじゃなく、心に深い感動を残すものだと思っているので、私個人の「名作の定義」からはズレた作品でした。
「つらい状況でも希望を捨てずに諦めないことが肝心で〜〜」的な普遍的なテーマを扱っているので、誰も批判しづらいし、そんな映画に異を唱える者は人でなしみたいに思われるんじゃないか、という神経症的な大衆心理がはたらいて、本音の評価が反映されなくなった代表的な作品じゃないでしょうか?
もちろん私自身もテーマ自体に反対しているわけではないですが、その描き方のあまりに優等生的・教科書的なところが妙に興醒めしてしまうのです。
はい、こちらが善で、こちらが悪です、みたいな。
もっとセンス良く演出できなかったのだろうかと。
主人公=キリスト、レッド=語り部 だと思うのですが、もうここまで来るとキリスト教の布教の一環じゃないかと感じるほどに。
すぐに見つかりそうな抜け穴とかその他諸々はまあ映画だから仕方ないとしても、アンディが入所初めからしたたか過ぎて、つらい状況でも何とか切り抜けていくので、脱獄して雨に打たれている時のカタルシスが薄いです。そして何か演出がクサいんです。自然発生的感情の発露としての演技ではなくて、こういうふうに名画を作って…こういうふうに観客を感動させて…という背後の生真面目な操作感を感じるんです。
あまり普段映画作品に触れていない方々や、まだ感性の未発達な人たちが周りの評価に引きづられて、自分で観た時の率直な感想や違和感を信じれなくなったため、過大評価してしまった感がどうしても否めません。何人かにこの映画を勧められましたが、共通しているのは悪い人じゃないんだけど深みも感じない人という印象です。同じテーマでも本当の名作は他にあると思いますので、わざわざこの映画で学ばなくても大丈夫だと思います。
あと、最後ハッピーエンドみたいに終わってますが、
アンディは本当に無実なんでしょうか?
これ本当にヒューマニズム映画なんでしょうか?
