「糧」ショーシャンクの空に U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
糧
名作と名高い本作…名作だった。
生きる上で何が必要かを問いかけてくれる。
希望の源とでも言うのだろうか?
彼にとっては「穴掘り」だった。
毎夜毎夜コツコツと。
20年という月日をかけてコツコツと。
時間が切り取られているような刑務所の中。冒頭レッドのモノローグが語るように膨大な時間との戦いが始まるのだろう。
長い時間をかけて、ゆっくりと殺されていく。それは肉体的な衰えとは別に精神的な死を意味するのだろう。
彼が自らの手で起こした環境の変化。
微々たるものではあるけれど、0ではない。
それが精神的な死を遠ざける。
閉鎖された時間からの脱出なわけだ。
物語の骨組みも素晴らしく、人物設定が後々まで効いてくる。大逆転劇としても清々しい。
後半「希望」というワードが出てくるのだけれど、レッドの解釈の方が正論に聞こえる。「希望という名の絶望」なんて言葉もある。
遂げられない想いは抱え込むだけで重荷になる。彼らの環境を思えば、希望など抱くだけ無駄だと思う。
最後の最後に必ず裏切られるもの、それが希望の正体なんだろうと思う。
それを最終的に覆す。
勿論、そこに至るまでは並大抵の事ではない。
希望を抱くのが困難な環境、この場合は刑務所なのだけれど、壁の外に於いてもやる事は変わらないのだ。
「進め」
どんなに小さな一歩でも「進め」
変えていく努力をしろ。
そういう事なのだと思う。
全ての成功は、そこから始まると言わんばかりだ。
モーガン・フリーマンがやはり素晴らしい。
おそらくならばまだ若いはずなのだけれど、貫禄と存在感が別次元だった。
「パピヨン」のようにヒロイックでも象徴的なシーンがあるわけでもないのだけれど、作品の絵力と構成力は凄まじく…2時間越えの長尺などアッと言う間だった。
小難しいのだろうなぁと、見るタイミングをずらし続けていた本作。思いの他、小難しくもなく…むしろ、きっと何かヒントのようなものを求めて、また見返す事もあるのかな、と思えた。