「ハティクヴァが流れるから単純な反戦映画だと思っていた。」情婦マノン マサシさんの映画レビュー(感想・評価)
ハティクヴァが流れるから単純な反戦映画だと思っていた。
我が親父 シリーズ
脳卒中で半身不随になった親父に 何の映画見たい と聞くと 情婦マノンって言った。
そのリクエストに答えて、DVDを買って、僕は初めて見た。凄い映画だった。死期をある程度悟った者が見るような映画じゃないと僕は思った。親父は既に認知症でもあったので、最後にその映画は見なかった。約半年後にめでたく亡くなった。
実話に基づくお話しです。
この映画をリスペクトした映画が、若松孝二監督の映画にあったような気がする。学生の頃、ピンク映画(ポルノ)として見たような気がする。愛する者に対してとった凄い行動。ネタバレになるから言えない。と言うよりも、題名も覚えていない。
50年代前半の映画なのに、ぶっ飛んている。但し、イデオロギーには共感出来ない所もある。素直に見て。
DVDの映画解説にアプレゲールと日野康一氏が解説していた。そう言えば、我が親父も アプレガールはだらしないとか言っていた。どうやら、アプレゲールとアプレガールを取り違えていたのか?兎に角、父は昭和5年生まれの戦争に行けなかった世代。戦争に負けた事を内心悔やんでいたと記憶する。
マサシさん、コメントありがとうございます。
父君の想い出のお話、興味深く拝見しました。戦前戦中を経験された方々にとって、このクルーゾー作品が強烈に心に刻まれたことが窺われます。自由恋愛が今より許されていなかった時代、フランス映画の激しい恋愛ドラマに描かれた人を愛する色々な局面に心揺すぶられたのではないでしょうか。このようなファム・ファタール映画は、サイレントから第二次世界大戦の戦後混乱期まで、多く扱われてきた印象があります。平和と自由の時代には、運命劇が古くさくなってしまいましたね。
クルーゾー監督を最も評価した批評家は双葉十三郎氏で、飯島正氏、植草甚一氏、淀川長治氏もベストテンで選出しています。また同年日本公開の「密告」は、淀川氏のおこのみベストテンの一本です。「恐怖の報酬」だけが取り上げられるクルーゾー監督ですが、「悪魔のような女」も名作と思います。どの作品もラストが強烈な結末で、いつまでも衝撃の余韻を引き摺ってしまいます。