上海特急
解説
「アメリカの悲劇」「間諜X27」に次ぐジョセフ・フォン・スタンバーグの監督作品」で原作はハリイ・ハヴェイの筆になる小説、それを「モロッコ」「反逆者」のジュールス・ファースマンが脚色し、「アメリカの悲劇」「間諜X27」と同じくリー・ガームスが撮影した。主演者は「間諜X27」「モロッコ」のマルレーネ・ディトリッヒで「沈黙(1931)」「赤新聞」のクライヴ・ブルック、「龍の娘」のアンナ・メイ・ウォン、「間諜X27」「龍の娘」のワーナー・オーランド、「腕白大将」のユージーン・パレット、「間諜X27」のグスタフ・ヴォン・セイファティッツなどが助演する。
1932年製作/アメリカ
原題または英題:Shanghai Express
ストーリー
上海特急列車は、やがて北京を出発した。車内はひどいドンチャン騒ぎだった。そのデッキで久しく別れていた愛人がめぐり合った。シャンハイ・リリとして知られている浮名の高い女と英国陸軍の一等軍曹ハアヴェイだった。二人は数年前喧嘩して別れ、リリは淫売婦として中国の海岸を流れていた。ハアヴェイはまだリリを愛していたがリリの現在はもはや二人の間に高い障壁を作っていた。リリの車室には高等教育を受けた中国の娘フイ・フェイがいた。彼女もまたリリに劣らない程のしたたか者だった。他の車室には中国のある地方の勢力家ヘンリイ・チャンとサム・サルトがいた。サムはあらゆるものに賭けたがる賭博狂で今も彼はこの上海行き特急が必ず遅れるということに賭けていたが、幸か不幸か、この賭博狂の予言が的中して、列車は北京を出て一時間中国の兵隊に臨時停車を命ぜられた。そして車内はくまなく捜索され、一人の怖え切った中国人が叛軍の便衣隊兵士として捕らえられた。その時、チャンは何故か怒ったが平気を装っていた。その夜、叛軍は列車を襲撃した。ところが機関手は自暴になって列車を走らせたので、叛軍は登り線の貨物列車を徴発して追跡した。二つの列車は夜を衝いて疾走する。ついに叛軍は機関銃で機関手を殺し、無人のまま疾駆する特急に飛び乗って列車を止めてしまった。やがて乗客は小さな駅に追い込められた。そしてチャンが叛軍の將であることが判った。彼は上海に電報をうって、この特急には英国の軍人が乗っていることを告げ、もし先に捕らえられた便衣隊を無害で返さなければ特急は出発させないと言った。ついにその便衣隊が帰るまで乗客は拘留されてしまった。ハアヴェイは獄中でチャンがリリを口説いているの聞いた。そして間もなく、チャンは不覚にもハアヴェイに張り倒された。丁度その時、上海から便衣隊が列車で到着し、乗客は特急に乗り込むことが出来た。けれどリリはハアヴェイが見えないので停車場に引き返して見るとチャンが焼きごてでハアヴェイを盲目にしようとしていた。彼女はチャンに従うからハアヴェイを許してやってくれと頼んだのでようやくハアヴェイは許された。やがてチャンは駅に隠れていたフェイに殺された。彼女からそのことを聞いたハアヴェイは再び停車場に引返してリリに乗車をすすめた。最初は、彼女はチャンとの約束を守って動かなかったが彼が殺されたと聞いて、ハアヴェイの後に従って叛軍と戦いながら特急に帰った。上海行き特急列車は再び出発した。ハアヴェイはリリがチャンに身売りしたものと信じて冷たかった。けれどこうした事件から上海に着く前に二人の愛は再び結ばれるに至った。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ジョセフ・フォン・スタンバーグ
- 脚色
- ジュールス・ファースマン
- 原作
- ハリー・ハーヴェイ
- 撮影
- リー・ガームス