劇場公開日 1998年4月25日

「パムグリア超いい女!」ジャッキー・ブラウン からくりおばけさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5パムグリア超いい女!

2023年8月15日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

公開当時はそれまでの作品と比べて間延びした印象で、退屈に感じられましたが、数十年ぶりに見返したら全く違った感想になりました。

タランティーノが恋した女性をキャスティングし「じっくり魅せる」作品で、ただ横に移動するパムグリアを写し続ける冒頭が象徴的ですが、この「じっくり」が当時は退屈に感じた原因だったのかなと今では思います。彼女の表情をじっくりと長く見せるシーンが結構あって、彼女に魅了されればこそそういったところがこの映画の魅力になりますが、そうでなければ冗長に感じられるのも当然かと思います。印象的なのは受け渡し後の取り調べシーンとラストカットです。本当に微妙な表情を捉えていて、何を思っているのかを想像することに引き込まれます。

当時はパムグリアに恋しませんでしたが、数十年ぶりに見たら「そりゃみんな振り回されるよなあ」とすっかり魅了され、物語の説得力も増して大変面白かった。添乗員姿も黒のスーツも白いジャケットもいいですが、ちょっとだけ出てくる赤いワンピースのパムグリア!最高!

本心がなかなか見えないジャッキーブラウンに観る側が翻弄されながら展開する物語は、サスペンスとして面白いですが、一方でロバートフォスター演じる保釈人の物語が非常に切なく心に沁みます。ジャッキーブラウンという存在が彼に見せたドラマと、映画を観てそれが終わる自分自身とが、とてもよく似ているからです。

自分にとっては、年齢を重ねることの素晴らしさと切なさ両方を感じさせてくれる、いい映画でした。

からくりおばけ