「体よりピザがいい」ジャズ・シンガー(1980) kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
体よりピザがいい
初のトーキー映画として知られる『ジャズ・シンガー』(1927)のリメイクとして1980年に作られた本作。一体どこがジャズなの?と不思議な気分にさせられたが、息子の名前がチャーリー・パーカー・ラビノビッチとか言ってたあたりで、ジャズ愛も少し感じた・・・みんなチャーリー・パーカーが好きなんだね。
音楽はほぼエンターティナーであるニール・ダイアモンドの書き下ろし。サントラもかなり売れたようで、数曲は聴いたことがあった。その程度。はっきり言ってポップス(ちょっとロック)だ。中盤までは男性歌手版スター誕生のような雰囲気で、音楽的な挫折よりも父親(ローレンス・オリビエ)との愛、そして確執が描かれる。
ニューヨークのユダヤ人街。厳粛な家庭環境と代々続く聖歌隊(cantor)の血筋。聖歌隊リーダーとして生活の糧を得ていたが、ポピュラーソングの作詞作曲も続けている。黒人の親友ババに誘われ、黒人クラブで黒塗りにして歌ったりするが、やがてLAへ才能を確かめるべく旅立つことになった。新婚なのに妻を置いて・・・
マネージャーとなるモリーとの出会い、そして歌手として頭角を現す・・・が、ジェスが帰ってこないため妻や父が訪れ、そして家族の絆がピンチになる。そんな感じの内容。
実際にユダヤ人家庭で育ったダイアモンドだけにユダヤ教会での聖歌もさまになっているし、ライブでの演奏も素晴らしい。ちょっと天才肌でバンドに当たり散らしたり、家を飛び出して放浪するなんて展開は良かったけど、全体的には演技力が弱かっただろうか。実際、ゴールデングローブ賞にノミネートされる一方でラジー賞を受賞しちまった。まぁ、ミュージシャンとしては素晴らしいし、最も成功したアダルト・コンテンポラリーのアーティストとしてエルトン・ジョン、バーバラ・ストライザンドに次いで3位にランクされていたらしい。