劇場公開日 1966年6月14日

「類いまれなる映像表現」市民ケーン keitaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0類いまれなる映像表現

2012年4月7日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

41年当時にこの作品を作ったウェルズは周知の通り天才としか言い様が無い。
フラッシュバックで語るこの作品の手法が映画界に与えた影響は計り知れない。
現に、私は昨日「アメリカン・ビューティー」を観たが、この映画もストーリーの展開の仕方は「市民ケーン」と全く同じである。
そして、オスカーを獲得した実績がある…。

ワンカットの情報量がとてつもなく多いことが冒頭から分かる。
また、映像表現が類いまれ無く上手い。
ケーンを知る者によって語られる彼の過去を詳細まで垣間見ることによって彼のその時代時代の発言に説得力が生まれる。
そして、その人物像を隅々まで描き出し語られる彼の生涯を集約した名台詞は鳥肌ものだ。

この作品は映画として上手く出来ているのは、完全に"観客"を意識して展開される点だ。
結局、登場人物達には「薔薇の蕾」と言う謎を残したままだ。
しかし、観客には映像によって真実が語られ、ケーン少年が遊んでいたソリを頭の中でフラッシュバックさせられ「はっ」と思い、さらにあれだけ克明に語られた彼の人生の回想は企業家、権力者としての人生であり、彼が失ったものは"少年時代"であったことに気がつく。 そして、そこであの名台詞の意味の深さに気付かされる。

言うまでもなく傑作だ。

keita
かせさんさんのコメント
2023年10月25日

カメラワークの自在さには目を見張りました。

かせさん