劇場公開日 1950年9月8日

「アントニオの事実と真実に寄り添える映画」自転車泥棒 ROU郎さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0アントニオの事実と真実に寄り添える映画

2024年1月12日
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鑑賞方法:映画館

今は真実や事実を、知ることも見ることもできない無慈悲な世の中に思えます。
しかしこの映画は、アントニオの真実と事実をみせてくれて、私たちはそれを観ることができる。

なぜアントニオは老人や青年に執拗に迫ったのか、なぜ占い師を頼ったのか、なぜ物語の最後アントニオはあんな行動をしたのか。
物語の真実と事実を観た私たちなら彼に寄り添うことができる。だがその場しか見てない登場人物たちはアントニオが愚かに見える。だから罵倒し傷つけます。

けど彼らを責めることができるか?無理じゃないかと私は思う。
前述のとおり真実と事実を知ることは難しく、無理に近い。これは彼らにも当てはまると思うからです。
でも分かってはいるけど、どうしても、アントニオに感情移入してしまう。だから私はこの映画を観る度やるせなくなる。
そして、事実を知れないことに関して「私もか…」と言い様のない余韻につつまれます。

音楽も印象的でした。スクリーンを通して、当時の建物や景色、服に車を観れるのも特徴的です。

今観ても色褪せない名作です。

ROU郎