「狂気性について」地獄の黙示録 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
狂気性について
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プロットの下敷きとなったJoseph ConradのHeart Of Darkness(1902年)は植民地政策の暗部であったが舞台をベトナム戦争下に移して映画化。
軍命に従わぬカーツ大佐暗殺の密命を軍上層部から命じられたウィラード大尉自身が大佐の罪状に疑問を持つ、「戦争で殺人罪とは?、サーキットでスピード違反を問うようなもの?」と言っている。軍歴や資料を読めば読むほどカーツ大佐に興味が募る大尉だった。
潜伏している村にゆく道中、頭のいかれた空挺部隊の指揮官による戦争ごっこに付き合わされなかなか先に進まない、プレイメイトの慰問や虎のエピソードなど意味不明。ようやくたどり着いたカーツ大佐の村も生首ごろごろのカルト集団、村もまたアメリカの狂気の縮図か、まさに黙示録の終末を暗示させる。カーツ大佐がキレた理由がベトコン兵の倫理観を超越した冷徹性だというが余りにも残酷なため映像化はなく代わりに水牛が斬首されるシーンが映される、これは実写というからコッポラにも呆れる。ウィラード大尉役は当初クリント・イ-ストウッドに持ちかけられたが内容が暗すぎるといって断られたようだ、同感である。ベトナム戦争をシニカルに描き哲学的な高尚さをまとっているように見えるが道化の戯曲のようで戦争を芸術的に描こうとする野心が見え隠れし痛々しく思えた。
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