「戦場に地獄を見た」地獄の黙示録 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
戦場に地獄を見た
第32回カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作。
Amazon Prime Videoで鑑賞(字幕)。
ベトナム戦争でのアメリカの功罪と狂気を孕んだ戦場の恐るべき実態を告発し、アメリカ映画史上最高の戦争映画と称えられている名作を今回初鑑賞した。フランシス・フォード・コッポラ監督が心血を注いでつくり上げた、壮大な地獄の叙事詩である。圧倒的な作品世界に釘づけだった。
主人公ウィラード大尉が受けた極秘任務とは、軍に逆らいカンボジアの奥地で自らの王国をつくり上げたカーツ大佐を暗殺せよ、と云うもの。その容疑とは、軍規を逸脱した独断専行と殺人の罪。狂気の戦場において、殺人罪とはどう云うことなのか。ならばこの戦争はどうなると云うのか。戦争を遂行する軍隊、もといアメリカ政府のやっていることが罪に問われないのは何故か。華麗なる経歴を持っていた男が何故、味方から危険視され、殺されようとしているのか。渡されたカーツの資料を読む内に、任務を越えて彼への興味を掻き立てられていくウィラード。その疑問が地獄への第一歩となるとは知らずに…
カーツの元へ川を遡行していくウィラードたちの目に映るのは、戦争の過酷さと戦場の狂気であった。「ワルキューレの騎行」を流しながら村落を急襲するシーンが凄まじい。
ヘリの爆音。弾け飛ぶ建物。砕け散る橋。一瞬で森を焼き払ったナパームの威力。爆発の臨場感。CG一切無しの、本物だからこそ齎される迫力が画面から迫って来た。
「朝のナパームの匂いは格別だ」。なんと云うことだろう。全てが狂っている。指揮官がこの村落を襲撃した理由を「サーフィンがしたいから」と語るのも面白くない冗談であった。
次第に狂気へ呑み込まれていくウィラード。心の平衡を失いつつある中、犠牲の果てに辿り着いた王国でカーツと対峙し、彼の思想に触れたことで針が振り切れたように感じる。
地獄の戦場が生み出してしまった様々なものども。それを一身に背負っているかのようなカーツを殺害することで、救済が果たされたような気がした。考えれば考えるほど頭が痛い。
※修正(2025/06/20)
地蔵菩薩🙏さんへ。
コメントありがとうございます。
Amazonプライム・ビデオで「特別完全版」も配信してました! すぐさま観たいところですが、「男はつらいよ お帰り 寅さん」公開前に全49作制覇を目指していて、もう日にちが無いので、取り敢えずそちらに注力することにします(笑) 「ファイナル・カット」まではまだ間がありますし…。と言いながらも「男はつらいよ」制覇を始めたときもそう思いながら余裕ぶっこいてたので、同じことを繰り返さないよう気を付けます(笑)
syu32🙏本作の共感ありがとうございます🎵
アタシも「ファイナル・カット」観に行きます…「特別完全版」はDVD持ってます。元より30分も長く凄いですよ。ちなみに「史上最大の作戦」に、フランス軍で出てたクリスチャン・マルカン氏出てます。
後、楽しみなのが、20日から上映のデニス氏監督「ラストムービー」…なかなか観れる映画じゃないので、よかったら是非🙇
*サンダーロードのレビュー、日付変わった頃にあげる予定です。しばしお待ちを…🙏