劇場公開日 1958年9月26日

死刑台のエレベーター(1958)のレビュー・感想・評価

全35件中、21~35件目を表示

5.0映画でしか成しえない金字塔。

2019年10月30日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

サスペンス映画ではありません。
ある女性二人の愛の軌跡を描いた映画。
年令も、境遇も違う二人。共通しているのは「離れ離れになるくらいなら死んだほうがまし」という想い。

主軸の、不倫カップル。
サスペンス的な要素はツッコミだらけの計画なのだけれど、思いがあればということか…。
携帯電話がなかったころはこうだったんだよなとやるせなくなるような二人の逢瀬。
そこで、カララ夫人がとった行動。その様が忍びない。
不倫相手を疑い、でも信じたい。そのすがりつくような、錯綜する思い。
ドアマンが思わず傘を差しだしてしまうような上流階級然としたそのありようが、
娼婦と間違われて警察に連行されるまでになってしまう、そのなりふりのかまわなさ。
ーそこまでやったら不倫をばらして回っているようなものだが、それすら気が付かないほどの狂おしい想い。
人を愛したことがあるのなら、失いかけた愛を追いかけたことがあるのなら、
フロランスのこの想いが身に染みるのではないだろうか。
とはいえ、こんなシーンを延々と見せられると、普通なら飽きてきてしまうが、
ジュリアンの場面、もう一組のカップルの場面を織り交ぜながらも、
モローさんの演技と映像の美しさで魅せ切る。
 映画でしか表現できない珠玉のシーンだよなあと唸らされる。
ここでのフロランスの想いにどっぷりはまって迎えるラスト。
サスペンスの決着としてみるとツッコミどころ満載だが、
フロランスの愛の軌跡としてみると、胸が痛くなる。
企業スパイのようなことをしているのかと冒頭に思わされたジュリアンのカメラに残っていた写真。それが切なくて…。
フィルムで写真を写していた時代。現像液の中から浮かび上がるもの。
デジタル写真では味わえない間。
刑事のセリフ。
フロランスの独白。
その突き放したようなあっさりとした終わり方が余韻を残す。
 ここも映画でしか表現できないシーンだなあと唸らされる。

そのフロランスと対比的に描かれるのが、もう一方のヒロイン・花屋の店員ベロニク。
恋人ルイに振り回され、犯罪に巻き込まれていく。
やんちゃなルイを思いやる姉のような存在。
大きな愛くるしい瞳が印象的。
愛ゆえに恋人を犯罪に駆り立てるフロランスとの対比が、一種の清涼剤。
でも、二人は基本同じ。恋人との幸せを夢見ていただけ。

穴だらけの計画。不用心すぎる振舞い。ここはジャングルではないんだぞ。
そして、何も考えていない、感情と欲望と、劣等感だけで突っ走るもう一つの犯罪。
だから、かえって、この話がどうなっていくのか、ー糸の切れた凧?ねずみ花火?ー。
ハラハラ。

取調室の演出も魅せる。
背景黒一色。まるで、舞台のような。地獄の一丁目のような。非現実さ。

そんな映像・演技を彩る音楽。マイルス・デイヴィス氏の、映像をみての即興演奏。
だからか、ちょっと不安定さがあり、この映画の危なっかしさを際立たせる。
そして、即興ならではの疾走感。臨場感。
この奇跡のコラボ。
映画でしか成しえない業。

ストーリー的にはツッコミどころが多いにも関わらず、
映像×演技×音楽。
他にまねのできない金字塔。

原作未読。

コメントする (0件)
共感した! 3件)
とみいじょん

3.0黒猫は見た

2019年3月17日
iPhoneアプリから投稿
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 2件)
everglaze

4.0マイルス・デイビスの音楽が素晴らしい。 「君の言葉なしでは僕は無力...

2019年3月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

マイルス・デイビスの音楽が素晴らしい。
「君の言葉なしでは僕は無力だ」
くー、かっけー、使わしてもらうで。くそー、もう使うところがない(笑)

そんなこんなで始まる物語。「おいおい」とか「アホちゃう」とか思いながらも、この先どうなる?と楽しみながら見られる。エンディングのジャンヌ・モローの台詞も沁みる。やや短めの上映時間も集中力の続かなくなった私にはちょうど良かった。秀作!

コメントする (0件)
共感した! 1件)
はむひろみ

4.0実はバカ映画

2019年3月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 5件)
kkmx

3.5引き込まれていく世界観

2019年2月6日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

怖い

単純

かなり古い映画ですがどこか引き込まれていく話。

ストーリーは恋人を殺害し完璧な犯罪計画かと思いきや、思わぬ方向へ話が進みます。

特に登場する女性が魅力的でした。

今では考えられないような設計のエレベーターが出たり、
残業終わりに観てみましたが、
少し夜更かししたい、夜中にひっそり観られるおすすめの映画です。

詳細評価

コメントする (0件)
共感した! 0件)
ネオ竹下真弘

3.5久しぶりにじっくり観てジャンヌ・モローの繊細な表情に改めて感心。モ...

2018年10月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:TV地上波、CS/BS/ケーブル、映画館

久しぶりにじっくり観てジャンヌ・モローの繊細な表情に改めて感心。モロクロ映像からは雨の匂いが漂ってくる気がする。エレベーターに閉じ込められるという設定や写真の結末は携帯電話がある今の時代はありえないと突っ込みたくなりつつもその古くささがこの映画の魅力のひとつ。そして以前は気付かなかったが刑事が冒険者たちのリノ・バンチェラ、ルイ役が禁じられた遊びの男の子!と顔ぶれが実は豪華だった。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
tsumumiki

5.0最高のフランス映画を観た満足感

2018年8月17日
Androidアプリから投稿

初めて観たのは高校の文化祭
その当時は退屈な映画だったなあというだけで、何の記憶も残っていなかった
しかし何十年ぶりに観てどうだろう!
こんなにも面白かったのか!と驚くばかり

年を重ねて、自分なりに酸いも甘いも経験し、それなりの修羅場もへて、ようやくこの映画の染み入るものがわかるようになったということなのだろうか
というよりもジャンヌモローがいい女だ…と思えなければこの映画の面白みは半減してしまうと言う方が正解かも知れない

マイルスデビスの音楽の虚無感が映像とあまりにもマッチしているだけでなく、ジャンヌモローの素晴らしい演技をさらに効果的にしているのは驚嘆すべき
これ程のサウンドトラックは映画史上最高峰と言っても良いと思う

フランス映画の最上質なものを観た満足感が残りました
ヌーベルバーグの一連の作品の中でも特に抜きん出て面白く最高の傑作だと思います

コメントする (0件)
共感した! 3件)
あき240

5.0劇中最後まで続くマイルスのジャズ

2017年11月30日
iPhoneアプリから投稿

短い映画だが、とてもお洒落で映像に引き込まれる。
偶然が重なっていくストーリー
ラストがなんともいえない
この時代は車も街も人もお洒落でいいな

コメントする (0件)
共感した! 0件)
cinemagaski

3.0新・午前十時の映画祭

2016年8月26日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

単純

興奮

アップの2人からマイルスのJAZZで始まり古き良き時代のフランス界隈の映像に全てが芸術的でセンスが天然に溢れている。

単調な古い映画のストーリーでも映像を観ているだけで飽きないしファッションやカルチャーを楽しめる映画でもある。

とにかくM・デイビス!

コメントする (0件)
共感した! 0件)
万年 東一

3.5おしゃれ

2016年2月13日
スマートフォンから投稿

音楽と映像があわさって、非常におしゃれな作品。
ミステリーというよりサスペンスか。

正直ストーリー的には…な感じがしましたが、台詞まわしとかシーンとかで、
浸る作品なのかな、と思います。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
TPO

3.5有名な作品ですが、内容の予備知識なしで鑑賞。 サスペンスとしては、...

2016年2月9日
iPhoneアプリから投稿

有名な作品ですが、内容の予備知識なしで鑑賞。
サスペンスとしては、突っ込みどころ満載ですね。ドイツ人観光客の行動も意味わからんし、最後の主人公達の不倫写真の撮影者もなぞですよね。
女優さん達はみんな魅力的でしたが。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
やまぼうし

3.5よかった

2016年2月7日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 0件)
吉泉知彦

3.0小粋な作品

2016年1月24日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

推理物や脱出ゲームではなく、エレベーターというワンテーマを軸に展開するサスペンス。上手く纏まってたし面白かった。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
めたる

3.5雰囲気は楽しめるおおらかな時代の犯罪映画

2013年3月7日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 7件)
Cape God

3.5ヌーヴェルヴァーグの記念碑的作品

2012年6月20日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

興奮

50年代、映画に魅せられたシネフィルたちが形式的な既存のスタジオシステムを無視し、カメラを持ってパリの街を録り始めた。
ルイ・マルも例外無くその一人であることはこの作品を観ればわかる。
粗削りなディテールではあるが毎日毎日"映画を思考"してきた若者の溢れんばかりの情熱が投影されている。
その当時、情熱さえあれば誰でも映画を思考出来ることを世に知らしめたヌーヴェルヴァーグの記念碑的作品。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
keita