沙漠の花園

劇場公開日:

解説

デイヴィッド・Oセルズニックの制作したテクニカラー映画で、「真珠の首飾」「スペイン狂想曲」のマレーネ・ディートリッヒと「心の痛手」「白い友情」のシャルル・ボワイエとが主演するもの。原作はロバート・ヒッチェンスの小説で、「戦う巨象」「嵐の三色旗」のW・P・リプスコームと劇作家のリン・リグスとが脚色、「噫無情」「花嫁凱旋」のリチャード・ボレスラウスキーが監督した。助演者は、「アンナ・カレニナ」「海賊ブラッド」のベジル・ラスボーン、「十字軍」「奇傑パンチョ」のジョセフ・シルドクラウト、「虎鮫島脱獄」のジョン・キャラディン、「小公子」「十字軍」のC・オーブリー・スミス、アラン・マーシャル、それから舞踊家として欧米に知られているティリー・ロッシュ、の面々である。撮影は、ハル・ロッスンの忠言を得て「丘の一本松」のW・ハワード・グリーンが色彩監督は例によってナタリー・カルマスである。

1936年製作/79分/アメリカ
原題または英題:The Garden of Allah
配給:ユナイテッド・アーチスツ支社
劇場公開日:1937年4月15日

ストーリー

修道院で育て上げられたドミニ・エンフィルデンは、その乙女の障害を捧げつくして仕えた父の死後、パリ、ウィーン、リヴィエラと廻って慰めを求めたが、結局、大都会の中で彼女の見出したものは孤独であった。修道院のジョセフィン教母は彼女にアルジェリア行きを勧める。大自然の永劫な砂漠の中で、彼女が生きる喜びを見出すかも知れない、と思ったからである。教母からベニ・モラにいるルービエ神父への紹介状を貰ってドミニがエル・アクバラから汽車に乗った時、同じ車内にいるボリス・アンドロヴスキーという男に注意を惹かれた。かれの一風異った様子が気になったのである。ベニ・モラに着いた夜、ドミニは案内者で自称詩人のバトゥーシュ及びハジを連れてキャバレエに行った。そこで騒ぎが起こった時、彼女はボリスに助けられた。それからドミニとボリスの間に友情が芽生え、翌日はシディ・ゼルヅールのオアシスに遠乗りに行った。このオアシスでドミニは伯爵アンテオニと会った。アンテオニがドミニに町の案内をした時、路上の砂占い師は、彼女が近く砂漠に行くこと、大きな喜びを予言したが、それ以後、占い師は恐怖を以て口を閉じた。ドミニはボリスに会って、生きる喜びを知った。だが、彼女は何故ボリスが愛の告白をしないのかをいぶかしく思った。このボリスこそは、テュニス近くのエル・ラガルニのトラピスト修道院にいたアントアーヌで、彼は外界の誘惑に目醒めて、そこを脱け出て来たのである。ボリスは誓いを破った苦責から、ドミニから遠ざかろうとするが、別れを告げに行った彼は却ってドミニと結婚する。砂占い師の予言の通り、結婚したドミニとボリスは砂漠に蜜月を過した。しかし、この夢のような生活はやがて、ド・トレヴィニャック大尉の来訪によって破られた。大尉はボリスの前身を知っていたからである。信仰厚いドミニはボリスに修道院に帰ることを説いた。二人は断腸の思いで別れを決意した。ドミニは馬車で、ボリスをトラピスト修道院の門まで送って行った。門が閉じられた時に、二人の間に永久の別離が来た。馬車は涙にむせぶドミニだけを乗せてチュニスに引返していく。

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