劇場公開日 2023年12月23日

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裁かるゝジャンヌのレビュー・感想・評価

全22件中、1~20件目を表示

ピアノ伴奏と共にスクリーンで観る至福

2024年9月15日
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鑑賞方法:映画館

 オルレアンの少女として知られるジャンヌ・ダルクの審問裁判にのみ焦点を絞り、その過程での審問官のグロテスクさと彼女の迷いを描いたカール・テオドア・ドライヤーの名作を生のピアノ演奏と共に上映です。前回本作を劇場鑑賞した時、「百年近く前に、映画表現はもうここまで到達していたのか」と度肝を抜かれたのをよく覚えています。

 以前鑑賞した時は、外国のオルガン奏者の伴奏がついており、宗教性を感じさせるその響きは重厚で良かったのですが、一緒に観た我が家の妻と「これを柳下美恵さんのピアノで観たいけど無理かなぁ」と話していたら、何と、横浜シネマリンでそれが実現しました。これは見逃せないと早速駆け付けました。

 素晴らしい演奏でした。今回の柳下さんの演奏は、間(ま)と静寂を十分に生かして、ジャンヌ個人の孤独と恐怖に静かに分け入ろうとしている様に聞こえました。それだけにジャンヌが業火に焼かれる終盤の渾身の演奏は圧巻。圧倒されました。

 そして、スクリーン一杯のジャンヌのクローズアップ映像の中で微妙に揺れ動く表情を浴びるには、本作はやはり映画館で観るべき作品だと確信しました。

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La Strada

3.5ジャンヌ・ダルクの裁判

2024年3月29日
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鑑賞方法:映画館

1928年に作られた古い無声映画で、ジャンヌ・ダルクの裁判から火刑までの様子を、裁判記録を基に映画にしているそうです。

演技→セリフ表示→演技→セリフ表示、を繰り返す無声映画で、雰囲気あります。

声は入ってないけど音楽は流れていて、音がないわけじゃないです。

途中で少し眠くなったけど、裁判が進んでいくと興味深くなってきて、けっこう面白かった。

ジャンヌ・ダルクは詳しくないので、ミラ・ヨヴォヴィッチ主演の『ジャンヌ・ダルク』を観て勉強したくなった(笑)

あと、観た人みんな思っただろうけど、審問官の中にロバート・デ・ニーロそっくりの役者がいる(笑)

緊迫する問答シーンなのに、ちょっとウケた(笑)

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RAIN DOG

4.5強烈な凄みを帯びている

2024年2月18日
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鑑賞方法:映画館

興奮

知的

難しい

カール・テオドア・ドライヤーという映画監督をご存じだろうか?古い作品が好きな方なら一度は聞いたことがあるだろうか?一つのスタイルに囚われず常にその映画に合った手法を模索し、その映像センスは後世の多くの映画作家たちに影響を与えたとされる名監督。しかし日本での知名度が低い為か、なかなかお目にかかれないドライヤー作品だが、ありがたいことに現在までに3作品観る機会にありつけた。そしてその中で本作はまさに衝撃的な、今までに見たどの映画にもなかったものを見せつけられた。

ストーリーはジャンヌ・ダルクの裁判から火刑にいたるまでを描いている。これだけなら至って普通。しかし、本作は過去に遺されたジャンヌの裁判記録から脚本を起こしている。ここが違う。言い伝え、伝承といったものに頼らず、記録と言う“現実”からジャンヌという「人間」を描いている。つまり本作は人間ドラマである。しかもこのドラマ、

とてつもない“凄み”を帯びている。

 三白眼を晒しながら絶望と恐怖を感じるも自己の信念を貫かんとするジャンヌという“一人の少女”、ジャンヌを悪魔の手先とせんとしたい教会から派遣された尋問官たちの多種多様な形相、ジャンヌを助けたいと思う凛とした修道士、裁判を外から見守る民衆・・・

なにひとつ作り物と感じる部分がない!!

 仰角クローズアップが映す者の感情を観る者に対し直で伝え、そのアップの連続が緊張感を盛り上げ、異様な雰囲気を感じずにはいられない。それだけではない。間違いなく本作に出ている役者が巧い。全ての役者が巧すぎる。それが異様な雰囲気に説得力を付属させリアルに思わせてゆく。この映像、まさに本物のジャンヌの裁判を見ているかのよう・・・そしてそこから感じるジャンヌという人間。

国を想う一人の少女であったこと。

 “聖女”としてドラマティックに描くのではなく、“一人の少女”としてリアルに描く。そして老骨な教会という「体制」の餌食になる様を瞬きせず映している。しかし教会の人間とて途中で「思い違いをしているのでは・・・?」と思うようなシーンが度々ある。しかし結果は変えない。その言葉すら漏れない。変えたら教会の威信にかかわるからか?自分の保身のためか?

それを伝えたかったのか。

 ストーリーはジャンヌの裁判だが、それは過去に教会が行ってしまった過ち、「魔女裁判」を告発するかのようなものなのか。威信と保身のために弱きものを飲み込んだ過去の告発。だとしたら本作はある意味異端な映画なのかもしれない。しかし、それを描いたドライヤー監督の胆力はすごいものではないだろうか・・・。

徹底したリアリズム、それが本作の特徴であり、そこにドライヤー監督の演出が強烈な凄みとなってついてくる。

こんな映像、観たことがない!

本作はサイレント映画だが、観る機会があるならば強くお勧めしたい。これは個人的評価として「傑作」である。

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asukari-y

4.0不可思議な存在が晒される、映画によって

2024年2月12日
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鑑賞方法:映画館

興奮

実際の裁判記録をもとに脚本が書かれ、ジャンヌを英雄視せず、あくまで尋問調書から読み取ることができる1人の人間として描いているのが本作。ジャンヌvs.他全員の構図はとても息が詰まります。「迫真の演技」と言えばそれまででしょうが、宗教裁判を扱うという異質な異常さにさらに拍車をかけているのか空間の断片化です。

ジャンヌをはじめ俳優たちの圧倒的な演技とその表情のアップが多いことと、室内の強烈な白さが空間を意図的に捻じ曲げている印象を受けます。屋外も状況は似ていて、人を見上げたままの移動撮影やアップのショットが多く、街並みがコラージュに感じるような違和感が全編を覆っています。

言うまでもなく人は自己中心的に、知覚するほとんどの情報を切り捨てて生きています。キュビズム絵画のように断片化された現実を切り貼りして恣意的に現実を再構築しています。もちろん映画鑑賞もそれに当たり、その恣意性が自分から出たものでないからこそ、この映画が描く登場人物達の存在が不穏で不気味なまでの迫力で迫ってくるんだと思います。

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ジャパニーズ先住民

4.5ブルーレイ持ってるけど劇場で見たかった。ドライヤーの女性の芝居への...

2024年1月18日
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鑑賞方法:映画館

ブルーレイ持ってるけど劇場で見たかった。ドライヤーの女性の芝居への信頼は凄い。神官たちの顔もいるだけで充分レベル。クローズアップの迫力と意味を嫌という程知ることが出来る。1日4本ドライヤー見るのは疲れた。

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kazuyuki

5.0彼女の信仰に触れることができる傑作

2024年1月13日
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鑑賞方法:映画館

知的

本作の特徴は強烈な「クローズアップ」でしょう。
キャストに見応えがあるのはもちろん、緊張感や緊迫感、表情の裏にある内面がひしひしと伝わります。

心身ともに疲弊した彼女に審問官たちは情け容赦なく質問してくる。
このやりとりから、ジャンヌの価値観や彼女の悲痛な思いに触れることができる。
スクリーンに写る表情は今も鮮明に覚えている。

他の者に真似できない、ドライヤー監督にしか作れない、唯一無二の世界。それを観ることができ感無量です。

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ROU郎

4.5いまだに余韻冷めてません

2022年8月27日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

難しい

  モノクロで1時間半。なのにこの余韻はなんなんだろう。
  おまけに無声映画なのに声が、ジャンヌの声がまるで生で聞いたかのようなインパクトを脳髄に刻み込んでくれた。

  この映像をみると、映画はシネコンを意識したIMAXや4D映画だけでいいの?という映画の持つ根本性を改めて教えてくれたそんな印象を持った
 作品だった。

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Masatoshi Matsumoto

3.5ふーむ

2022年8月20日
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一人の人間としてジャンヌを取り上げ、
信仰によって彼女の精神が残る様を描いた本作。

個人的には、『沈黙』のラストシーンだったり、
『戦艦ポチョムキン』を思い出したりしました。

極力、人物の表情だけを映していて、
それだけでどういう人物かがなんとなくわかるのが凄い。
何回も止めて観たい映画。

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JYARI

4.0どの場面を切り取っても映え、一枚の絵画になる。無声映画と言えども、...

2022年8月4日
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鑑賞方法:映画館

どの場面を切り取っても映え、一枚の絵画になる。無声映画と言えども、表情豊かな俳優陣と伴奏音楽は観る者を圧倒し、魅力的な作品。

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御納戸色

4.0女神のような強い信仰心

2022年4月10日
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鑑賞方法:映画館

「奇跡の映画 カール・テオドア・ドライヤー セレクション」にて鑑賞。
無声映画の金字塔と云われている通り素晴らしい作品。過酷な尋問を受けて心身ともに衰弱し一度は心が折れてしまう。凡人であればそれで諦めるでしょう。しかしジャンヌ・ダルクは神のお告げを感じたように再考し、神への信仰を貫いて火刑に処される道を自ら選ぶ。まさに女神のような強い信仰心に驚嘆した。
2022-63

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隣組

4.0史上最古のジェンダー不平等問題としてとらえるべきと感じた。

2022年4月2日
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鑑賞方法:DVD/BD

良い映画だと思ったが、フランスのナショナリズムを煽りすぎると感じた。また、これでは、宗教批判になってしまうが、デンマークはデンマーク国教なので、別と考えているかもしれない。
僕は、ジャンヌの出来事は史上最古のジェンダー不平等問題としてとらえている。その観点から、この映画はそれを良く表していると感じた。
トーキー時代ではないので、当然だが、ここまで状況をデフォルメして、台詞まで削ってしまうと、いさぎよすぎる。偶然の産物なのだろうが、傑作だと思う。
しかし、この時代はまだフランスの国土が確定していなかったと思うし、ましてや、共和国ではないのだから、この出来事をフランスのナショナリズムとするのはおかしいと思う。
勝者の裁きだから、結論は必然。しかし、東京裁判とは違うと考える。やはり、イングランドからのフランス国土の解放になるのだから、ジャンヌの死は殉教なのだと思う。東京裁判で裁かれた方たちは残念ながら、犬死だと思う。

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マサシ

1.0なんなん

2022年3月21日
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白黒で台詞は全部字幕で、ひたすら主演女優の顔芸を見せられる。テンポは悪いしBGMは不気味やしなんなんー

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tomo

4.0ルネ・ファルコネッティの涙が印象的

2022年2月28日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

知的

ジャンヌ・ダルクが、敵国イングランドで異端裁判にかけられ、過酷な尋問を受け、心身ともに衰弱し一度は屈し調書にサインするが、髪を切られ坊主にされても神への信仰を貫き通し、自ら火刑に処される道を選んだという、実際の裁判記録をもとにした無声映画。
まず、ジャンヌ・ダルクが文盲だったことを知らなかったので、驚きとともに勉強になった。
文盲にサインしろと迫る方もどうかしてると思うのが普通だけど、当時は違っていたのだろう。
イングランドとフランスの戦争というのが現在のフランスの国内での事で、パリはイングランドの領土だったんだとを観賞後に調べて知った。また、この裁判が行われたのも当時のイングランド内で、パリの北西あたりのルーアンだったんだと知り、世界史の勉強になった。
これが約100年前の作品とは驚きだった。今年の作品と言われても全然違和感を感じないくらい新鮮で、凄い作品でした。劇場で観れた事に感謝です。
ジャンヌ役のルネ・ファルコネッティの見開いた瞳と涙が印象的だった。

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りあの

4.0なんなんだ?この新しさは?

2022年2月6日
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鑑賞方法:映画館

なんなんだ、これは?
全く古さが無い。いや、むしろ新しさを感じる。
2Kレストアで修復されたのも大きいと思うが、それこそ蓮實重彦のコメントではないが、古典な筈なのに前衛というか、とても現代的で斬新な作品に見えた。
映像は勿論だが、ずっとバックで鳴っていた音楽も、ある種、現代音楽のように聴こえた。
これだけ今の21世紀に響くわけだから、当時は逆に興行的に振るわなかったのも無理もない。

欲を言えば、元々はトーキーになるはずだったらしいから、会話の部分はもっと字幕を挿入して欲しかった。
やはり、あの裁判は、ジャンヌ・ダルクの驚くべき知性と老獪な聖職者(とは名ばかりの)連中との丁々発止のやり取りが、とてもスリリングでサスペンスフルなドラマだった訳だから。
ひょっとしたら本当の最初のフィルムには、もっと字幕が入っていたのかもしれないが。

それに裁判中、ジャンヌ・ダルクはズバ抜けた思考力をフルに発揮して臨機応変な対応をしていたようなので、あの超弩級な悲劇的感情を全面に横溢させた芝居の一辺倒では、ちょっとどころでなく、かなりオーバーアクションが過ぎたとは思う。

あと、裁判記録に忠実に沿ったという割には、最後の死刑の原因(たぶん嵌められたであろう男装の件)を書き換えてしまっては、ある種フィクションという名の御都合主義となってしまい、あれは、ちょっと勿体なかった。
まあ、ああでもしないと特にサイレントの場合、クライマックスの盛り上がりに欠けると思ったのかもしれないが。

とまあ幾つかツッコミたくなる箇所もあったりしたが、こんな物凄い映画をDVDではなく、映画館のスクリーンで観ることが出来て本当に最高だった。
もう、こんな機会は当分やっては来ないだろうから、出来れば、もうあと2〜3回は観に行きたいところだ。

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osmt

5.0凄い映画。

2022年1月20日
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無声で、顔の表情だけでほとんど展開していく前衛的な作品。これは役者も撮影側も大変な集中力を要するのではないかと。一神教の真髄が彼女の表情に現れてたと思いました。途切れる事無く鳴り続けるパイプオルガンがドラマチックに盛り上げます。最後のクレジットで演奏者が伴奏と表記されていたのが無声映画らしくて味ですね。

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koozyy

5.0斬新なアングルが訴えてくる感情

2022年1月18日
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鑑賞方法:映画館

シアターフォーラムさんの企画で鑑賞です。この監督さんの作品は観たことなくて興味本位です。予告編の中で一番惹かれた本作をチョイス。結果は正解でした。

「ジャンヌダルクの受難」が正式原題題なのかなぁ?
「La passion〜」 だったから。キリストの受難になぞられたような展開なのかな?詳しくないので鑑賞後にネットで検索したら史実とは異なる点ありましたね、
やはり。ジャンヌを聖女として扱い、わかっていない人間の贖罪を受けるような展開でした。冠といい。
けど、宗教的に重要な人物ですから、このような描き方でも良いと思います、聖女に寄せたのは。

表情の変化をひたすらフューチャーした映像。緊迫や緊張感はもちろん、人間ジャンヌの心のゆらぎと決意が画面いっぱいに拡がり伝わってきます。絶望感というか、人間へ向けたような哀しみの表情なんて、ひたすら胸を締め付けられます。さらに余計な演出がないので、ただただ裁判で交わされる言葉とそれぞれの表情に集中できました。演者の力あってこそですが、まぁ沢山こちらの感情を揺さぶってくれました。また、直接的な描写が少ないのも驚きです。説明っぽいセリフや映像が嫌いな僕にはピッタリでした。

なんかすげー作品でした。圧倒されてしまいました。

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バリカタ

3.0最後

2022年1月16日
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けっこう残酷でびっくり。
ところどころ寝ちゃったけどみられてよかった。

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hyvaayota26

5.0完璧すぎる!

2022年1月10日
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鑑賞方法:映画館

完璧すぎる!

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Akira

5.0エクスタシーとはなにか

2022年1月9日
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鑑賞方法:映画館

「一人です/神のもとで一人です」「死です」早すぎた近代人としてのジャンヌ。/「死ぬのが怖い」これに応えられぬ神とは教会とは何か、というのが、C.Th. ドライヤー作品の通奏低音だろうか。社会システムとしての教会はまた、国家とも重なる。そして司祭たちもまた人間である。/十字の影、天地反転などの意味。

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ouosou

4.0のまれる

2021年12月28日
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先のコメントに表現力の迫真性とありましたが、まさにその通り。
老獪な僧侶たちとのやり取りがサイレントだからこそ真に迫る。
ラストの火炙りシーンが生々しい。

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Oyster Boy