「タイトルなし(ネタバレ)」裁かるゝジャンヌ りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし(ネタバレ)
1926年製作のフランス映画。監督は、カール・Th・ドライヤー。
サイレント映画で、2016年のレストア版。
英仏百年戦争で祖国オルレアンを解放へ導いたジャンヌ・ダルク(ルネ・ファルコネッティ)。
しかし、キリスト教の教義に背いたと追及されて、異端審問にかけられることになった・・・
といった物語で、実際の裁判記録に基づく映画化。
息苦しいほどの近接撮影(多くは仰角)が続き、ジャンヌと審問官たちのやりとりは字幕で示される(サイレント映画なので)。
前半は裁判シーン。
その後、拷問室での拷問。
ただし、拷問されるところまでは至らない。
拷問器具を見せつけ、異端の告白を促すというもの。
おびただしい数の針が植え付けられた大きな車輪が回る様子が恐ろしい。
そして、民衆の前での偽りの告白。
神と直接対話をしたことは偽りだった・・・という、自身の信仰心に背いての偽りの告白。
しかしながら、自身の信仰心に背くことは、すなわち神に背くことであると翻意し、信仰心に基づいて、先の告白は嘘だったと、真の告白を行う。
この葛藤のシーンでは、牢獄の格子の窓枠が十字架の影となって床に映し出される。
この映像表現は、のちの映画で繰り返し繰り返し用いられていますね。
最終的には、生きながら火刑台にあげられることになる。
この最終盤、これまで室内劇として展開していた映画は外景となり、引きの映像とのクロスカッティングとなる。
引きの映像では、ジャンヌを支持する民衆と、武器を手にした兵との激突が描かれ、この衝突シーンの荒々しさも記憶しておきたいです。
なお、ジャンヌが異端審問にかけられた理由としては、次のとおり。
・女性であるにもかかわらず、男装したこと
・神と直接対話をしたと口外していたこと
キリスト教に疎いと、これがわかりづらいでしょうねぇ。