「ピアノ伴奏と共にスクリーンで観る至福」裁かるゝジャンヌ La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)
ピアノ伴奏と共にスクリーンで観る至福
オルレアンの少女として知られるジャンヌ・ダルクの審問裁判にのみ焦点を絞り、その過程での審問官のグロテスクさと彼女の迷いを描いたカール・テオドア・ドライヤーの名作を生のピアノ演奏と共に上映です。前回本作を劇場鑑賞した時、「百年近く前に、映画表現はもうここまで到達していたのか」と度肝を抜かれたのをよく覚えています。
以前鑑賞した時は、外国のオルガン奏者の伴奏がついており、宗教性を感じさせるその響きは重厚で良かったのですが、一緒に観た我が家の妻と「これを柳下美恵さんのピアノで観たいけど無理かなぁ」と話していたら、何と、横浜シネマリンでそれが実現しました。これは見逃せないと早速駆け付けました。
素晴らしい演奏でした。今回の柳下さんの演奏は、間(ま)と静寂を十分に生かして、ジャンヌ個人の孤独と恐怖に静かに分け入ろうとしている様に聞こえました。それだけにジャンヌが業火に焼かれる終盤の渾身の演奏は圧巻。圧倒されました。
そして、スクリーン一杯のジャンヌのクローズアップ映像の中で微妙に揺れ動く表情を浴びるには、本作はやはり映画館で観るべき作品だと確信しました。
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