サスペリア(1977)のレビュー・感想・評価
全35件中、21~35件目を表示
絶妙な色彩感覚が恐怖を煽る
ドイツの名門バレエ学院に入学するためにNYからやってきたスージー。
寄宿舎暮らしでの学園生活にて巻き起こる奇怪で凄惨な数々の事件や事故を描いたホラー映画。
2019年のリメイク作品公開もあってリバイバル上映が多く行われた今作。
1977年という時代もあってか、映像の質の粗さや光度の低いシーンなどで怖さが倍増、さらには天井に蛆虫が沸き散らかす、針山の上でのたうち回る女生徒をめった刺しにするという残酷でグロテスクな描写で、精神的肉体的な怖さは想像以上の作品だった。
終盤には学院の奥深くへと進んでいく中で、発覚した秘密があまりにもスピリチュアル過ぎてついていけなかったが、終盤10分に詰め込まれた怒涛のラストで鑑賞後はホラー映画には珍しく口ポカーン状態だった笑。
芸術性こそを堪能すべき作品であると思います
4Kリストア版の値打ちのある色彩でした
エクソシストやオーメンに次ぐホラー映画の有名作品にも関わらず、近年なかなか観る事ができなかった作品ですから今回の4Kでの色彩の鮮やかさ、音響の鮮明さは大変有意義なことで関係者の皆様に感謝です
ひとりでは決して観ないで下さいの宣伝文句は伊達ではありませんでした
お話は基本ローズマリーの赤ちゃんを思わせます
そこに本作公開の前年にヒットしたブライアン・デ・パルマ監督のキャリーでの色彩効果と女学生を主役に据える作りを合体させたものと言えます
美術のレベルが凄まじく高くため息がでます
アールデコ調の室内セットは、色彩、幾何学的パターン、花や植物をモチーフにしたデザインで徹底して統一されています
調度品や壁紙、小物の小道具に至るまで、神経が行き届いており見事につきます
壁紙にはグスタフ・クリムト風の紋様と色彩が見られます
ドアの天窓はエクトール・ギマールのパリの地下鉄の入口のデザインを思わせます
冒頭の夜の空港のモダニズムとの対比が効いています
空港の自動ドアを出るとき、外から風が吹き寄せて長いスカーフの両端が両腕のように彼女の背中に回ります
これからサスペリアの世界に拉致されていく恐怖の予感の演出が素晴らしいです
この腕の暗示が、最初の惨劇シーンの始まりの伏線にもなっています
そして、イタリアのプログレッシブロックの雄ゴブリンの素晴らしい音楽と音響
地の底の亡霊達のうめき声のような環境音楽と言うべきものは、40年以上昔にも関わらず今なお現代的で最先端です
何より色彩と照明の効果は舞台的で、とくに色彩をこれでもかと強調する画面構成は斬新そのものです
スポット照明が投影する色彩の計算は見たことないもので、唯一無二の映像体験です
夜の豪雨の中を走るタクシーのはねあげるしぶきがまるで鮮血の血吹雪のように見えます
練習場を避難所にしたシーンでの、消灯後の白いシーツの間仕切りが、真っ赤に補助灯に染まる演出も声が出そうなほどに美しいものでした
ストーリーやプロットの細かい整合性を追及する作品ではありません
ホラー映画としての怖さや過激さを競う作品でもありません
この芸術性こそを存分に堪能すべき作品であると思います
それこそが本作を永遠の価値をもたらしている点であると思います
久しぶりに見て、やっと内容を理解した
極彩色
名門バレエ学院の変。
スパルタ先生とマダム、使用人と子供、絶対に裏があるのがすぐ伝わってくる雰囲気が好き。
何が何だかわからないまま起きていく事の一つ一つが気持ち悪くて恐ろしい。
ウジ虫大量発生のシーンは鳥肌が立った。これからは髪の毛に櫛入れる前に確認しよう。
なぜ腐ったのか。絶対に理由があるはず。
秘密を知るのも、知ろうとする好奇心と猜疑心さえ既に罪。知らぬが仏、一歩踏み入れれば最後。
怪死していく人への執拗な追い方が個性的でスリル満点。思い切った先の針金塗れなんて最悪じゃない。冒頭の死に様も残酷極まりない。
追手の身体がそれまでの犠牲者の死体だったりすると面白いな。
しかし案外さらっと刺さって連帯で倒れていくのには少し拍子抜け。
お得意の執念を今ここで発揮しないでどうするの。
もっと苦しみたかったかな、なんて思いつつホッとしているのも事実。
スージーの口唇の下にある、蛇の牙のような突起が気になる。
何か暗い力を知らぬ間に受け継いでいたら胸熱だな。
分かりにくいことも多く、色々な要素を自分なりに解いて考えていくのが面白い作品。
立体音響がすごい。迫り来る音圧が身体にガンガンに鳴り響いてくる。
流石に古いので作品自体の怖さはそこまで強くないけれど、音によって強制的に恐怖に引きずり込まれる感覚になった。
極彩色のセット美術やライティングの凝り方が素晴らしく、本当に美しかった。
新文芸坐オールナイト上映にて。この作品を劇場で観られて良かった。リメイク版も楽しみ。
このご時世では怖くはない
バレエの魔女
イタリアン・ホラーの名匠、ダリオ・アルジェントの出世作で、“魔女三部作”の第一作目。1977年の作品。
ドイツのバレエ学校に入学した少女を襲う奇怪な殺人事件…。
さすがに“決して一人で見ないで下さい”のリアルタイム世代ではなく、恐怖描写も残酷描写も今見るとそれほどではない。(今のが無駄に過剰過ぎるだけ)
なので、初見の方は怖さを期待すると肩透かしに感じるかもしれないが、この異様な雰囲気にこそ酔う。
謎の言葉を発する冒頭の逃亡少女に始まり、何処か普通ではない副校長やバレエ教師…何かこの学校にはある。
ウジ虫の大量発生や犬に噛み殺される盲目のピアニストなどが拍車をかける。
逃亡少女の言葉をヒントに、主人公スージーが見たものは…!?
赤を強調した映像美は芸術的でもあり、ゴブリンの音楽が印象に残る。
残念
全35件中、21~35件目を表示