「色彩と音によるホラー」サスペリア(1977) parsifal3745さんの映画レビュー(感想・評価)
色彩と音によるホラー
出てくる建物、家具、ドア、壁紙、アングルなどが、イタリアらしい色彩とデザインに溢れている。特に、ダンスアカデミーの建物、最初の犠牲者となった生徒が避難した家と部屋、練習場所に生徒全員で宿泊した時の照明等、すべて赤色で統一されているのも、潜在意識に絶えず訴えかけてくる。音では、エクソシストを思い出させる金属的で無機質な音の羅列のBGM効果音、シュタールのような打楽器音、悪霊を想起させる獣のような声、weitと聞こえるような声が、不安感と嫌悪感を盛り上げる。これら、色彩と音による雰囲気づくりで物語が進行していく感じ。
死に絶えたと思われていた魔女が生きていて、ダンスアカデミーがその魔女の巣窟となっているという物語なのだが、ダンスアカデミーとの関連性はよくわからなかった。人を狂わせたり、魔術を使って人を殺める力からすると、最後、ヒロインにほぼ無抵抗にやられてしまうのは呆気なさすぎ。
エクソシストが流行って、魔女の本家のヨーロッパで作ってみたってところか。魔女が行い得ることを、殺人、腐敗物とうじ虫、獣を操るなどとプロットを散りばめたが、魔女の生態や弱点などまでは迫れなかった感が強い。「キャリー」と双璧を成す、ホラー映画の一つの潮流を作ったという意味では、記念碑的な作品であろう。
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