「幼き日に慣れ親しんだ「好きじゃなかった方のぬいぐるみ」(笑)」サウンド・オブ・ミュージック pipiさんの映画レビュー(感想・評価)
幼き日に慣れ親しんだ「好きじゃなかった方のぬいぐるみ」(笑)
「ウエストサイド物語」と共に、幾度となく見せられた双璧。
史実だと知ったのは随分と後だったので、ここでは純粋に「ロバート・ワイズの映画作品」のみについて記したい。
白と黒なら黒が好き。光と闇なら闇が好き。単純な正義よりも、葛藤や複雑な事情の絡み合う権謀術数が好きな子供だったのでウエストサイド物語は好きだが、本作に対してはストレートに好きとは言えない感情を抱いて育った。
ハートウォーミング系作品やお涙頂戴系作品を母に強要されるのが嫌だったのだね。
しかし、やはり名作中の名作なので、嫌いになれない。嫌いどころか惹かれる箇所も多い。ジレンマとアンビバレンツに苛まれつつも、エーデルワイスは小3頃に歌えるようになった。
英語歌詞は母に「すべてカタカナで」書いて貰って覚えた(笑)
意識変革はやはり高校の頃。
西洋の中世史や近現代史を学んでからかな。
塩野七生ファンなので、古代ローマから中世スペイン(カスティリア王国華やかなりし頃や)、大航海時代、ボルジア家、メディチ家、ルネサンス、ハプスブルク、辺りのキーワードは大好物。
その辺りがわかってくると、旧オーストリア=ハンガリー帝国とナチスとの関係についてもわかってくる。
決して、厳格なやもめ軍人と能天気な修道女のラブロマンス映画ではない事も見えてくるし、長女リーズルの恋人、ロルフの変貌も胸が痛む。
言うまでもなく、トラップ一家と共に本作を支えるもう一方の主役は「歌」だ。
いずれも印象深く、甲乙付け難い名曲ばかり。
Sixteen Going On Seventeenもつい口をついて出てしまうタイプの曲だし、My Favorite Thingsも耳に残る。
ドレミの歌は言わずもがな。
So Long, Farewellもいい。コンクールでの脱出行の伏線になっているのが、またいい。
しかし、たった一つだけ最も好きな曲を選べ、と言われたらClimb Ev'ry Mountainかな。
これは中学か高校の音楽教科書にも載っていた気がする。
最初にそれを見たときには、何故数ある名曲の中で、さほどインパクトのある場面でもないこの曲なのかな?と不思議だったが、最も深いのはこの曲であり、この歌詞。それがわかるようになるにはやはり高校生頃までの成長が必要でありました。
かくして、子供時代の「好きじゃなかった方のぬいぐるみ」も、もう一方と同格の大切な宝物として共に思い出BOXに収納されたのであります。
コメントありがとうございます。トレッキングなんて言う程度じゃないので。大変に恐縮です。
ザルツブルク音楽祭で、ウィーンフィルを聴きに来たのですが、500ユーロとかボッタクリな金額だったので、近くのマリオネット劇場で『サウンド・オブ・ミュージック』をやっていたので、とびこんで、大感動した次第です。それでも、老人割引で、75ユーロしました。余計なストーリーを削って、ミュージカルそのものと言う感じでした。だから、『My Favorite Things』と『ドレミの歌』がメインテーマでした。子供向けのプログラムのようでしたから。『すべての山へ登ろう』は最後にちょこっとだけでした。でも『ブラボー』は言えました。最後にマリオネット使いの女性に手を振ったら、笑顔で振り替えしてくれました。感涙でした。