サイコ(1960)のレビュー・感想・評価
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バイブル作品に追いついた
オシャレなデザインのイントロから導入部、怪しい警官やヘッドライトの幻惑、豪雨、鳥のはく製と不安感を掻き立てる。これで彼女に完全に移入されてしまう。それで悲惨な殺人。シャワーカーテンの向こうの血と裸体。妖しいエロチシズム。オチは当時としては新鮮な多重人格、しかも母親という倒錯。アンソニー・パーキンス。計算つくされたヒチコックのプロットにまんまと引き込まれる。
初めて見たのは中学生だったかな。この精神疾患が理解できなくて後半はナゾだった。何十年ぶりかでようやくすっきりしたかも。
13年前の感想
不動産会社に勤めるマリオン。あるとき、
社長と一緒に来た客が物件を気に入り現金で買いたいと、
4万ドルを現ナマでマリオンに渡す。社長は大金だから
小切手にするようにマリオンに言い、銀行に行かせる。
が、魔が差し4万ドルを盗み、逃亡劇が始まる。
ジャンルはサスペンスなので、この4万ドルを中心に話が進んでいくはずなんですが・・・。
これを劇場で公開した時、途中からの入場は禁止とされており、
内容も明かさずにと結構制約のある映画で、
まあシックスセンス的な「オチがわかると楽しめないよ系」です。
サイコの場合はオチよりも、内容の方なので。
多分、今のサスペンス映画の基礎を作った映画ですかね。
感想っぽい感想なに一つ言ってないですが。
でもとても面白いと思います。マリオンは一応主人公です。
一応ってところが重要です。
サイコスリラーの金字塔は伊達じゃなかった
サスペンスの巨匠ヒッチコックの代表作にしてサイコスリラーの金字塔とされる本作だが、今日的に観ても思う名声に恥じない傑作だと思う。
まず、サスペンスとして極上ものの出来。よくパロディされてる演出とかBGMってコレか〜! と、ちょっと感動した。確かにコレは後の定番になるのも頷ける。
サスペンスとしてよく出来ているのは演出だけでなく、展開も秀逸。一人目の犠牲者が出てからが本番みたいに語られることも多い本作だが、犠牲者が出るより前の最序盤から目が離せない展開が続き無駄な場面が全くなく、倒叙サスペンスとしても見応え充分のストーリーに惹き込まれる。そこから予想外の犠牲者が出て事件は序盤の倒叙サスペンスとはまた別の様相を見せ始め、最後の最後にはタイトルの意味とも繋がる衝撃的な結末が用意されていた。
ちなみに有名なシャワールームでの殺人シーンは安っぽすぎて全然殺人シーンに見えなかったが、有名シーンの元ネタが観れたのはちょっと嬉しかった。
正直、50年以上前の作品ということでいくら歴史的傑作だとしても今観て面白い代物とは言えないんじゃないかとあまり期待せずに観てみたが、最初から最後まで文句なく楽しい映画。
ただこの結末に関しては、確かに予想を裏切られるものではあったものの、演出(というかキャスティング)が少しアンフェアなのではないかとは思った。コレのせいで結末としては(今となっては)珍しくもない類のものにも関わらず予想できなかったというのもある。フェアにやろうとするとバレバレの真相になってしまうだろうから仕方ないのは分かるが、そこだけが残念だった。
とは言え、全体的な完成度を考えれば些細な傷。今観ても十二分に楽しめる最高のサスペンス映画だった。
やはり、名作と言われるだけある。
・前半は「安物のサスペンスドラマかよ…」とガッカリしたが、いつしか夢中になっていた。最終的に大満足。
・ちなみに、女性がシャワー室で殺される、あの有名なシーンを知っていても全く問題なく楽しめる。
最後の警官の説明時のドヤ顔が全てを台無しに
予想がつかない展開
有名なシャワーシーンが見れて満足
眼が全てを物語る、恐怖と罠のミステリーを凝縮したサイコスリラーの代名詞的傑作
サイコスリラーの代名詞的なヒッチコック監督の代表作の一本。ヒッチコック監督の商業映画としては「裏窓」「鳥」に並ぶヒット作で、当時の批評家からは正当な評価はされていない。しかし後年、映画史的にはエイゼンシュテイン監督の「戦艦ポチョムキン」で有名な”オデッサの階段”と並ぶモンタージュの模範として”シャワーシーン”が取り上げられるようになった。1960年代後期に表現の自由が解放されるようになり、今では刺激的な表現が巷に溢れる映像情報過多時代から見直せば、確かに衝撃度は低い。真っ赤な血はモノクロ映像のため濃い灰色だし、流れる量も少なく、ナイフが躰に刺さるカットもない。細かいカット割りで視覚を刺激し、大きく開けた口のアップと、流れる水の音に重なるマリオンの悲鳴と刺さるナイフの音で恐怖を煽る。シャワーカーテン越しに謎の人物が忍び寄り、姿を現してから鳴るバーナード・ハーマンの不気味且つ緊迫感のある音楽が、全体のイメージを聴覚に植え付ける。この作品で初めて水洗トイレが映し出されたという事を知れば、いかに規制や限界がある中で、様々なテクニックを駆使した殺害シーンをヒッチコック監督が創作したか理解できるのではないか。また、見直して感心したのが、絶命したヒロインの眼のアップからテーブルに置かれた新聞紙の包みを経て、丘の上にある館に移動するパン撮影である。後半の観客を罠にかける最初の重要なカットになる。
この映画は、”眼と罠の映画”と言えるかも知れない。全体のカメラワークは遠景がほとんどなく、タイトルバックの後のフェニックスの街並みを映すのみで、後半はスタジオ撮影のベイツ・モーテルが舞台となり、およそ傍観的で説明的な表現のカットはない。マリオンを演じるジャネット・リーは、妖艶さを内面に持つ女性美を眼に表現できる女優として、ヒッチコック監督がキャスティングしたか演技指導したのではないか、と思える演出の冴えと意図がある。車で恋人のいる町へ向かうシークエンスは、殆どがハンドルを握るマリオンを正面から捉えたアップカットで、怯え慄く心理を表現する。彼女が想像する事件後の関係者の会話をモノローグで語り、それに反応したマリオンの眼が逃亡者の心理を余すことなく表現している。それに対して、仮眠していた彼女を不審に感じたパトロール警察官のサングラスが巧い。モノクロ映画で黒の恐怖を効果的に使うのは、「見知らぬ乗客」でも披露していたが、こちらも印象的だ。警察官の表情が分からない不安さを、マリオンと一緒に観客も同時体験することになる。そして雨が降り出して視界が悪くなる中、ベイツ・モーテルに引き寄せられるように辿り着くまでのモンタージュが、更に彼女の追い詰められた状況を彼女の眼で表現する。
鄙びたモーテルで一時の安心を得るマリオンは、一見好青年と見えるノーマンと話す内に、剥製づくりの趣味と暗い過去を背負う背景を知るが、人生には罠があるという彼の話で目覚め、翌日早くフェニックスに帰り自供することを決意する。その先の瞬時の残酷な仕打ちを受けたマリオンの眼は、お金で不幸を追い払う罠と新たな謎の罠に嵌ってしまった人間の悲しみと当惑に包まれている。そしてヒッチコック監督は、彼女を追悼する形で観客に巧妙な罠を仕掛けていく。
主演のアンソニー・パーキンスは、「友情ある説得」「胸に輝く星」「死んでもいい」など代表作はあるのだが、余りにもこのノーマン役が強烈な印象を与えたため、キャリアの後半は作品に恵まれなかった。ただ、この一作で映画史に名が刻まれることを想えば、忘れられることのない俳優としていつまでも語られると思う。マリオンを演じたジャネット・リーも然りであろう。ヒッチコック監督の演出テクニックとハーマンの強烈なインパクトを奏でる音楽で表現された、罠に掛かった人間の眼を映像表現した映画の独創性豊かな傑作。
ミステリアス&スリラーな展開
総合的にはとても面白かったと思います。
近頃、刺激の強い映画ばかり見ている私には、少々物足りなく感じたところもありましたが、最後まで犯人当てられませんでした。家族で見たのですが、主人公の逃走の仕方がスキがありすぎで、皆でツッコんで観ました。古い車や白黒の映像を観ていると、見る前からホラーだと言われていたせいか、不気味でたまりませんでした。ですが、総合的にはとても面白かったと思います。
先が見えないエンターテイメント
元来、映画は映画館で観るものだと思っているので、レビューも基本的に映画館で観た映画しか書いていませんが、気がつけば3ヵ月以上も映画館に行っておらず、ずっとレビューも書いていませんでした。
その間、テレビで映画やドラマなどを観てお茶を濁しているのですが、
『羅生門』や『ゴッドファーザー』3部作、そしてこの『サイコ』など、テレビで観ても最後まで目が離せない傑作があることを改めて痛感している今日この頃。
テレビの録画で観ただけなので、決して「鑑賞済み」にはしませんが、久しぶりにレビューを書きます。
これぞ映画!
これぞ傑作!
モノクロの妙味!
人の脳は殆んど不明、つまり脳の働きの機微は未だに殆んど解明されていないという事を、まざまざと見せつけてくれる。
素晴らしい脚本!
素晴らしいキャスティング!
この作品のあらすじを語るのは、無粋というものですね。
白紙の状態で、先が見えないエンターテイメントを楽しみたいと思います。
テレビ放映でも一気に見られたということは、劇場ではいかばかりか…
コロナ収束の暁には、大劇場の精細な映写で、改めて堪能したいと思う大傑作でした。
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