「三部作で一番良い」ゴッドファーザーPARTII Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
三部作で一番良い
総合90点 ( ストーリー:90点|キャスト:95点|演出:90点|ビジュアル:75点|音楽:80点 )
前作の「ゴッド・ファーザー」は、下手なわざとらしさを排した質感の高い演出で暴力組織を描いた言わずと知れた名作である。しかし私には満足できない部分もあって、それはヴィトー・コルレオーネは作品中で最初からマフィアの首領であったことだった。これほどの男がどのように誕生しどのように成長したのか・どのように組織を作り上げたのかが全く描かれていなかった。彼の存在を知ると彼の背景にどうしても興味がいく。
今回はそのヴィトー・コルレオーネの若き日々が描かれる。しかも彼を演じるのは若きロバート・デ・ニーロ。衝撃の逃亡生活と、米国での生活がわかった。行動力と胆力と知力で堅気から犯罪者・実業家へとだんだんと街の顔役にのしあがっていく姿が見て取れる。喋れないイタリア語をわざわざ役のためにイタリアに赴いて習得して喋り、前作で同役を演じたマーロン・ブロンドのしゃがれた喋り方に徐々になって貫禄がついていく姿がデ・ニーロの流石の凄さで、数あるデ・ニーロ出演作の中でも特に出来が良くて気に入っているものの1つ。親切な友人に絨毯を貰いに行くのは三部作で唯一滑稽な場面で、これも気に入っている。
そして現代のマイケルの話は複雑で、誰もが嘘をつき自分がのし上がろうとしていく。何せ登場人物も多いうえに彼らがそれぞれ本音を隠して適当なことを言うから本当の状況を把握するのも苦労するが、それをいったん理解しながら観ると良くできている脚本の優秀さに気が付く。
その嘘を見破りながら一家を率いるマイケルの冷静で冷酷な能力と判断力、そしてそれが故に一家が生き残りながら家族を失う孤独と哀愁の漂う姿にしんみりとする。彼は彼の立場から一家と家族を守りたかったのだ。これは暴力組織の話だけでなく、家族の話だったと思わせた。
大概の場合、連作は第一作目が一番面白くて二作目以降は落ちるものだ。しかしこの作品は名作であった一作目をさらに上回った稀有な作品。三部作の中でも一番良かった。