ゴダールの探偵のレビュー・感想・評価
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上等な娯楽映画
ユニークで面白いと思った。
娯楽映画という感じがする。にしてはとても上等な娯楽映画だった。
一見、シリアスな雰囲気だけれど、皆、どこかが陳腐に感じた。重厚な場面であればあるほど、どこかおかしい。挿入されているクラシック音楽、それもとても素敵なのだけれど、やはりそう感じてしまう。
ストーリーのオチが最も象徴的だった。
考えてみれば、現実にわたしたちのしていることは、見方を変えればこのように変なものなのかもしれない。筋や法則が通っているようにみえて、何のことはない、ごく単純な動機や、あいまいに揺れ動く感情が絡み合い、全体が複雑に変になってしまっているだけ…そんな気がしてくる。
そういった風刺的な視点をこの作品に感じるわけだけれど、そうでない芸術的、美的な側面もあるところが好きだ。
たとえば、重厚な音楽に重なるように流される文章の朗読。言葉の響きとは、男女の声の調和とは、こんなにきれいなものだったのか、と驚かされる。
登場人物それぞれの描写も味わい深い。
わたしたち、ハチャメチャで筋は通ってないのかもしれないが、このように、なかなか美しく味があるものなのかもしれないわけで…。
それに、男女の愛情というものが確かなものとして作品の底辺に保たれている。この点に温かみを感じるし、人間もまんざら捨てたもんじゃないの、という気にもさせてくれるわけで。
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ゴダールの独断
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