「モンスター・パニックとしての再評価を!」GODZILLA ゴジラ(1998) しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
モンスター・パニックとしての再評価を!
DVDで久しぶりの鑑賞(字幕)。
ノベライズは未読です。
当時「日本が世界に誇るコンテンツがハリウッドでリメイクされた」と話題になりました。4歳だった私もそのすごさを感じていました。ゴジラ・オタクに染まっていた証拠ですね。
監督が「インデペンデンス・デイ」のローランド・エメリッヒと云うのにも興奮を覚えていたことを記憶しています。ちなみに、私が初めて名前を覚えた映画監督が彼でした。
映画館へ観に行けなかったので親に字幕スーパー版のVHSを買ってもらいました。期待した分、子供心に「ゴジラじゃない!」と云う感想を刻みつけるのに充分でした。
特にラストシーン。成長するにつれて様々な本や批評などを目にする内に、本作へのこれじゃない感が増幅し寧ろ怒りの気持ちに変わり、しばらく観ない状況が続きました。
最近では、「ゴジラ映画であると云う観念を捨てて観ればモンスター・パニックとしてめちゃくちゃ面白い作品なのではないか?」と考えられる余裕が出て来ました。
冒頭、海難事故や集落の襲撃が相次ぐシーンは本家1作目と同じ展開で、「JAWS/ジョーズ」などの焦らして恐怖を高める趣向を受け継いでいて画面に引きつけられました。
マンハッタンに上陸した巨大生物とアメリカ軍の攻防はスピード感があり、当時最先端のVFXで描かれたゴジラ(とは呼びたくないですが)の姿から目が離せなかったです。
クライマックスにおける主人公たちの乗るタクシーとのチェイスは、スピーディーで緊迫感に満ちたハラハラ・ドキドキのアクション・シーン。手に汗握りっぱなしでした。
そしてラスト・シーン、ゴジラがミサイルで倒されると云う結末が批判を浴び、本家とはかけ離れた姿と共に本作に駄作の烙印が押された理由のひとつとなってしまいました。
日本とアメリカのモンスター観の違いを鑑み、本家1作目の結末も合わせて考えると、モンスター・パニック映画の傑作であると同時に、アメリカ視点で捉えたオリジナルの正統リメイクと言えないこともないのではないかと思い始めています。
[余談]
「ゴジラ・ファイナル・ウォーズ」に本作のゴジラをもじったジラが登場しました。姿形は同じですが名前からGODが取れて、本家ゴジラと対峙するも瞬殺の憂き目に合い、X星人統制官からは「マグロ食ってるようなヤツはダメだな」とまで言われる始末。単なるトカゲが怪獣王に敵うはずが無い。このシーンには大いに笑かされました。
[以降の鑑賞記録]
2020/05/02:WOWOWシネマ(字幕)
2020/06/28:WOWOWシネマ(字幕)
※修正(2023/10/28)
イグアナが巨大化したハリウッドオリジナルのモンスター・パニック映画として見ればそれなりに面白いんですが…、ゴジラと題した事が問題ですよね。
以来、エメリッヒは嫌いな監督になりました…(>_<)