劇場公開日 1947年7月

「2人の関係構築が早すぎて感情移入できない」心の旅路 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)

3.02人の関係構築が早すぎて感情移入できない

2024年4月29日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

記憶喪失による男女のすれ違いという今作のテーマは良いが、あまり感情移入できなかった。

まず、ポーラとチャールズの距離が縮まるのが早すぎる。ポーラは店でチャールズを見かけただけなのに、やけに彼に対して好意的だ。そして出会ったばかりの男に、自身の危険を顧みず尽くそうとするのも不自然。チャールズが心の傷を負っていることによって、ポーラの庇護欲をかき立てる部分はあったのは分かるが、それにしても2人の関係構築の描写が浅い印象。初めは関係にぎこちない部分があった2人が、徐々に打ち解けていき、やがて恋愛関係に発展する。そんな風に2人の馴れ初めを、十分に時間を取って丁寧に描いた方がストーリーに深みが出るし、面白さが変わってきたはず。他にも2度も記憶喪失になったり、なぜか姪に猛烈に好かれていたりと、全体的に都合の良いストーリー展開に思えた。このように映画前半から感情移入できないため集中力を削がれ、後半から観ているのが苦痛になり始めた。

長いすれ違いを経てようやく元々の愛情を取り戻したラストシーンは、中々感動的で良かった。

根岸 圭一