心の旅路のレビュー・感想・評価
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清らかさに憧れ、感動する映画
心が洗われるような映画だった。 ストーリーも俳優も音楽もセリフもカメラも全てが清らかで、スミシィの勤勉さ、ポーラの忍耐力とその成就に涙が出た。
2人の関係構築が早すぎて感情移入できない
記憶喪失による男女のすれ違いという今作のテーマは良いが、あまり感情移入できなかった。 まず、ポーラとチャールズの距離が縮まるのが早すぎる。ポーラは店でチャールズを見かけただけなのに、やけに彼に対して好意的だ。そして出会ったばかりの男に、自身の危険を顧みず尽くそうとするのも不自然。チャールズが心の傷を負っていることによって、ポーラの庇護欲をかき立てる部分はあったのは分かるが、それにしても2人の関係構築の描写が浅い印象。初めは関係にぎこちない部分があった2人が、徐々に打ち解けていき、やがて恋愛関係に発展する。そんな風に2人の馴れ初めを、十分に時間を取って丁寧に描いた方がストーリーに深みが出るし、面白さが変わってきたはず。他にも2度も記憶喪失になったり、なぜか姪に猛烈に好かれていたりと、全体的に都合の良いストーリー展開に思えた。このように映画前半から感情移入できないため集中力を削がれ、後半から観ているのが苦痛になり始めた。 長いすれ違いを経てようやく元々の愛情を取り戻したラストシーンは、中々感動的で良かった。
後半あたりからの展開が面白かった
ロケ撮影の映画が大好きなので、このような古い映画でのスタジオ撮影タイプはちょっと苦手。それもあって前半は観るのに根気が必要だったけれど、後半の『スミス』から『チャールズ』に戻るあたりからグッと面白くなってきた。特に、ローズが秘書となって登場してきたところなど。 観て思ったことは、 チャールズとスミスの演じ分けがなかなか旨い。 チャールズは、ローズと偽装結婚などしないで、最初からきちんと求婚しようという気になれなかったのかな? 恋する女は、勘が鋭い、ってことかな。キティのように。そして、粘り強い?ポーラのように。 チャールズは、イケメンで好感度高い男だったから、最初からローズに一目惚れしてもらいかまってもらえた。違うタイプの男だったら、押し戻されてずうっと精神病院暮らし?可愛そう。 記憶喪失で『冬のソナタ』を思い出した 夢がない感想だけれど。
グリア・ガースンのファンになった。
我が親父の遺産DVDの一つ。 但し、ませたガギだったので、50年位前テレビで見て、グリア・ガースンのファンになった。 現実じゃなくとも、二人の運命が切なくて切なくて。また、ポーラの超ポジティブな性格にコロリとやられた。 改めて見て、現実離れしすぎている感はある。しかし、大人の愛のメロディー と言った所だ。ハーレクイン・ロマンスなのかなぁ。 鍵を開ける前にドアノブを回してほしかった。 マービン・ルロイは哀愁の方が良いのかなぁ?僕はこちらのほうが好きだが。親父の遺産に哀愁もあるので、見てみようと思う。この映画も見た事はあるが、蛍の光 くらいしか覚えていない。
耐えて忍んで貫く女性の愛の軌跡を丁寧に描いた古典メロドラマの秀作
「哀愁」のマーヴィン・ルロイ監督が手掛けた大人向けのメロドラマの代表作。
「チップス先生さようなら」のジェームス・ヒルトンが1941年に上梓した原作を程なく映画化して、翌年の1942年の第二次世界大戦中に完成した。日本公開が戦後の1947年で、キネマ旬報のベストテンでは、ヒッチコックの「断崖」とフォードの「荒野の決闘」に次ぐ高評価を得ている。記憶喪失を題材にして男女のこころの綾を丁寧に描いた逸品として当時話題になったことは、日本題名の”心の旅路”が記憶喪失患者の代名詞になった逸話からも想像できる。ただ個人的な印象は、初見が中学生の頃だった為か、ヴィヴィアン・リーが悲劇のヒロインを演じた「哀愁」ほど感動はしなかった。今回見直して、それはある程度仕方ないことだったと分かった。特に後半の展開で、ポーラが秘書マーガレットとして登場してから主人公チャールズ・レーニエと契約結婚に近い関係を持つところが理解できなかったと想像する。また、それを含めて、ヒルトンの原作の構成を大きく変えた脚色が大きく影響しているようなのだ。
双葉十三郎氏の批評文からの引用になるが、原作では後に男性秘書になる青年が汽車の中でチャールズと言葉を交わすことから始まり、それが1937年の11月11日の休戦記念日である。職場で気を失って、二年後にリバプールの公園のベンチで自分を発見してからのチャールズの身の上話が青年に語られる。秘書になった青年がその欠落した2年間の記憶を蘇らせるために奔走する内容が主軸のようだ。映画ではラスト、ハリソンという部下がメルブリッジの街をチャールズと一緒に歩き、初めて訪れるのに路地裏の煙草屋を知っていたことを指摘し、これを切っ掛けに急展開する。原作と映画の大きな違いは、ポーラとマーガレットが同一人物であることを最後に種明かしする小説に対して、映画では後半早々実業家チャールズの前にポーラのグリア・ガースンがマーガレットになって現れてしまうことである。この時のドアにパン移動するカメラの動きで演出上予想できるも、何故秘書になったのかがすぐには理解できない。それを精神科医師ベネットとの会話で補足説明しながら、ベネットの片想いも匂わす男女の関係を入れている。それによって、この映画の見所は、チャールズを目の前にして彼の自然治癒を願う、ポーラの辛抱強い愛の力と美しさに焦点が絞られている。二人が出会った1918年の11月11日からほぼ20年近いポーラの愛の軌跡が、ラストシーンの劇的なハッピーエンドをいやが上にも盛り上げる。ポーラの決して感情に走ることなく耐え忍ぶ女性心理をきめ細やかに描いた大人の映画であり、中学生では理解しきれないと改めて感じ入った次第なのだ。
3人の作家によって練られた脚本をルロイ監督は終始落ち着いたタッチで演出している。小道具の使い方もスマートでとても分かり易い。ポーラとスミシーが新居とする慎ましやかな家の鍵が、再び二人を結び付けるキーになっているのが良い。貧しいながらも瞳の色と同じネックレスをプレゼントされたポーラが、スミシーの形見のように大切に持っているのも、国会議員となり大臣に出世して地位と名声を得たチャールズからプレゼントされた結婚3周年記念”フランス皇后のエメラルド”との対比で綺麗に使われている。高価な宝石より、愛されている実感のあった幸せな時を象徴するネックレスの方がポーラにとって何倍も価値があるのだ。このシーンの演出もいい。エメラルドを宝石箱に仕舞おうとして視線を落とすと、そこに想い出のネックレスがある。ここで二人が初めてチャールズの喪失した記憶について真剣に語り、ポーラが勇気を持って告白するのだがチャールズの反応はない。悲しみに打ちひしがれて泣き崩れるポーラの足元にそのネックレスが落ちている。その前にスミシーが泊まったリバプールのホテルで保管されていたトランクを二人で確認する場面の、シャツのすり切れた袖を指でなぞるポーラを捉えたカットも印象に残る。
主演のロナルド・コールマンは、”コールマン髭”で有名な俳優の知識しかなく、作品もこれ以外観たことはない。それでもこの時50歳で演じたイギリス紳士の誠実で思慮深いチャールズ・レーニエと記憶喪失の瞳が定まらないジョン・スミスを見事に演じ分けている。流石にジョン・スミスの時の年齢の違和感は否定できないが、後半の渋い男の魅力は十分過ぎるくらい表現されている。ポーラを演じたグリア・ガースンは目鼻立ちのハッキリした健康的な美しさが前半の幸福感を形成している。特に笑った時の表情が素敵な女性で人柄の良さが滲み出ている。話は逸れるが、淀川長治氏がハリウッドに行った時、確か三人目の旦那さんと居た大きな邸宅に招待されて会話が弾み、一緒にピアノで歌った気さくなエピソードを読み知って、好印象を持ったハリウッドスターだった。「チップス先生さようなら」「ミニヴァー夫人」「キュリー夫人」と30代後半の作品しか観ていないが、この映画が彼女の代表作にして最良の演技を見せていると思う。端役で嬉しくなってしまったのが、「素晴らしき哉、人生!」で翼の無い二等天使を演じたヘンリー・トラヴァースと「わが谷は緑なりき」の盲目のボクサーを演じたリス・ウイリアムズが出ていたこと。それに役者名は調べられなかったが、「わが谷は緑なりき」で嫌らしい神父を演じた人も好キャラクターで出ていた。それらに気付くほど、この映画は端役を物語の中に過不足なく使い、主人公二人を取り囲み引き立つようにしている。
ルロイ監督の演出を奇麗に収めたジョセフ・ルッテンバーグの撮影と美術・装置も素晴らしい。この時代の安定感ある映像美に魅了されてしまう。池のほとりでスミシーがプロポーズするシーンのセット撮影の美しさ。奥を自転車に乗ったポーラが走るショットの絵画のような構図とモノクロ映像の光の鮮やかさ。ファーストシーンの霧が掛かった精神病院から、逃避行した先で田舎の景色を望むふたりのショット、そして川を渡った先にひっそりと佇む小さな新居のショットと、どれもがロマンティックな情趣で統一されていている。
兎に角、物語の良さを全て語るのが困難な程、一つ一つの演出の丁寧さと、伏線と回収のストーリーテリングの細かさは傑出している。またそれを意識しなくとも、物語が語る人の心の軌跡(奇跡)をじっくり鑑賞するのに最良の女性向けメロドラマの秀作であるので、理屈抜きでラストシーンを一度堪能することをお薦めしたい。そこに映画の素晴らしさがあるのだから。
最近観た昔の傑作映画
映画好きの私が今までこの映画を知らなかったことが恥ずかしい。
記憶喪失にまつわる映画は多いが、これもその一つでその中でも傑作と言える。記憶喪失が戻るまでの二人の物語だけでも恋愛映画として観ても感動できる。所々絵のように美しいシーンが印象に残る。逃避行の駅で降りた遠景を眺める二人のシルエット。木の下でのプロポーズ。新婚生活の桜の木に囲まれた家へ入るシーン。後半(車の事故後)で印象に残るのは、彼女が初めて秘書としてドアから現れるシーン。はじめ、まさか本当の彼女だとは思わず(私だけかな?)、無意識のうちに似ている人を秘書に採用したんだと思ったが、実際本物の彼女だったとはすごく驚いた。また、婚約者(キティ)が教会で賛美歌を選ぶために教会へ行ったシーンで、彼の目を見て、他に好きな人がいると感じとった時の、何も言わないのに彼女の目がそれを表現しているカメラワークと女優の無言の演技は特筆もの(キティ役のスーザン・ピーターズは残念なことに、31歳で病死)。
ラストは、多分だれでも想像できたと思うが、それでも感動してしまう。幸せな気分になれる映画。星5つにしなかったのは、二人の子供が死んでしまったという事実がちょっとかわいそうで、フィクションとはいえ個人的には納得できなかったこと。
長い長い心の旅路の果てのラストに、涙
「哀愁」に引き続いて、 マーヴィン・ルロイ監督作品として再鑑賞。 今回は、彼女が彼の秘書として登場する驚き が無い分だけ冷静に観れた気がした。 この映画の最大の欠点は導入部だ。 元々彼が持っていた魅力と言わんばかりで、 何故、彼女は彼を見そめたのか、 また、彼女が彼を安全な地に導くため とはいえ、 いとも簡単にメインキャストとも思える 踊り子としての仕事を放棄出来たのか、 との説明が不充分なため、 冒頭で作品の世界に入りにくいことだろう。 更にその後の展開でも、 冒頭の精神病院の担当医が、 何故彼女の傍にいるかも説明されない ままだ。 そして、 善人に囲まれて、ラストシーンを描くために 都合良く進むストーリー展開は、 ルロイ監督に共通していて 「哀愁」とも同じだ。 彼を愛する姪が彼の心の奥底を見抜いて 自ら身を引くのも、 彼の担当医が 自らの気持ちを押し殺したまま 彼女の彼への愛情に理解を示すのも、 出来過ぎていて、リアリティに欠けた前提 と言わざるを得ない。 しかし、それでも感動を覚えるのは、 身分を明かさないで自分を思い出すまでと 耐えて耐えて接する彼女と、 失われた記憶に違和感を覚え続ける彼の心象 に絞って、丁寧に描き込む監督の製作姿勢 なのかも知れない。 こういった徹底した主人公の思索描写の作品 を近年は見かけないような気もする。 「哀愁」の悲劇性に比べ、 ハッピーエンドのこの作品の方が後味の良さ はあるが、何かと説明不足感がある分、 「哀愁」の方が映画としての完成度が高い 印象を受けた。
耐えることの美しさ。
記憶喪失になり、愛する妻を忘れてしまった夫。 妻は密かに、経営者となった夫の秘書となり、すぐそばで夫を見守り続ける。 遠回りしながら、夫の記憶を蘇らせていく妻ポーラの献身的な姿に心が震える。 そうして少しづつ記憶をたぐり寄せていく夫。 耐えることは、悲しく切なく、美しい。 素晴らしい作品に出会えた。
全てはグリアガーソンの美しさ
ロナルドコールマン扮するチャールズレイニアは、戦争の悲劇で記憶を無くしスミスと呼ばれて英国の精神病院にいたところから始まる。戦争なり激しいショックを受けた事が原因なのか過去の自分が分からないのだから始末に負えない。チャールズは、ドイツに勝って戦争が終わってもタバコを求める事しか出来なかったが、タバコ屋でグリアガースン扮する踊り子のポーラと出会い親切に面倒を見てもらう。ポーラは、チャールズが病院から抜け出て来たのに明るく振る舞い、スミシーと呼ぼうと決めた。ポーラは、出番前でも気さくに話しスミシーに自分の舞台を見せるのだが、モノクロながら赤毛だと言うグリアガースンの美しさと優しさに一目で魅了されたよ。ヒロインがこれほど美形だと癒されて観る価値が増して最後まで楽しみだよね。モテモテだけど、ポーラの結婚相手としてはロナルドコールマンはちょっと老けすぎではないかと思ったがまあ良しとしよう。 映画のテーマは記憶喪失なのか癖になるのか、事故により2回も記憶喪失になってしまいポーラとの3年間は無いものに。そして消えてしまった夫。雑誌で見つけて秘書として再会しても他の子と結婚すると分かっても全く気付かず嘆かわしかっただろうにね。記憶喪失と言うのは治る見込みがあるのか無いのか分からないだろうから耐えるしかない愛は辛かろう。踊り子から大病して子供も失い、それでも夫を探し続ける果てしない涙ぐましい愛は報われて欲しいよね。心が洗われる様な麗しく素晴らしい映画だったよ。
包み込む愛の深さ
記憶を失う英国陸軍大尉をロナルド・コールマンが、
心優しい踊り子ポーラをグリア・ガーソンが演じていた。
大輪の花のように美しいグリア・ガーソンの優しく包み込むような笑顔で、あのような温かい言葉を掛けられたなら、誰しも虜になるでしょう。
深い愛情の美しさに心洗われる作品。
NHK - BSを録画にて鑑賞
記憶喪失映画の金字塔
記憶喪失を題材としたロマンティック・ラブストーリー、母が大好きだった映画。
原作の悲劇要素を希釈し善意の人々の思い遣りに満ちたハートウォームな物語に仕立てました。
主人公は原作では20代の若者でしたが映画では渋い紳士風、観客層を意識したのでしょう。ただ、いくら姪のキティが早熟でも不釣り合い過ぎますね。映画で感心するのは無償の愛を貫くポーラ(グリア・ガーソン)の気高さです。真実を告げずにじっと待つ奥ゆかしさは時代を感じさせます。キティ(スーザン・ピーターズ)もチャールズ(ロナルド・コールマン)の眼差しに愛する別の女性の面影を察知、若いとはいえ女性の勘の鋭さは凄いですね。マービン・ルロイ監督の女性観なのでしょうか、彷彿とした女性へのリスペクトを感じます。原題はRandom Harvest:不揃いな収穫?、これではなんだかわかりません、邦題の「心の旅路」は秀逸ですね。
脱線ですが、まるで作詞家の阿久悠さんが描いたような物語、踊子のポーラから「ジョニーへの伝言」、メルブリッジの街で記憶が蘇るくだりでは「五番街のマリー」が頭の中で流れました。ロマンティックの神髄は悲恋なのでしょうが王道のハッピーエンド、これほど持ってかれるラストは久々に観ました。クラシック名画万歳です。
正に心の旅路でした お話は記憶喪失ですが、私達の人生も考えてみれば忘却という軽い記憶喪失を繰り返しながら生きているとも言えないでしょうか?
ラストシーンにはやっぱり号泣してしまいました こらえにこらえ、溜めに溜めた想いが堰を切って吹き出しました それまでの記憶を呼び戻す為の様々なきっかけが、次々と不発になって、あれも駄目、これも駄目となっていたのが、遂に届いたのです 正に心の旅路でした お話は記憶喪失ですが、私達の人生も考えてみれば忘却という軽い記憶喪失を繰り返しながら生きているとも言えないでしょうか? ずっと昔、あんなに愛し合った人がいたのに、いまは別の人と家庭を持って幸せに暮らしていたりするのです ふと我に帰る瞬間は誰にもあるのでは無いでしょうか? それが胸の奥の、破裂しようとしている何かをチクチクと突き刺してくるのです ラストシーンで号泣してしまうのは、本作のメロドラマで感情移入しての号泣でありつつ、自分自身の古い恋愛の記憶と、長い年月の果てに現在の自分が置かれている現状に初めて思い至ったかのような感覚 それが私達を泣かせているのかも知れません ポーラがあの街に行ったのは、しばらく海外に行く前に死んだ赤ちゃんの墓参りに行きたかったのかも知れません 劇中で彼女が罹ったという流感は時期的にスペイン風邪と思われます 当時パンデミックになり世界中で数千万人が死んだインフルエンザだそうです まるで現代のコロナと同じです 赤ちゃんか死んでしまったのもむべ無いことだったのです 天国の赤ちゃんが天使になって、二人を引き合わせて元に戻してくれたのかも知れません
不思議といえば不思議。失踪した夫を見つけたのに、本人が記憶を取り戻...
不思議といえば不思議。失踪した夫を見つけたのに、本人が記憶を取り戻すまで妻であることを隠して寄り添い続けるなんて。この時代の感覚として普通なのかな??そこはすごくもやもやしたんだけど、ポーラのひたむきさに心が震える良い話。なんか良い。昔の映画ならではの純愛ストーリー。
一級のメロドラマ
この『心の旅路』という映画は、第一にどこにも無理や破綻のない、甘美な抒情と、こころを和ませるストーリーでわれわれ鑑賞者の気持ちを引き付ける一級のメロドラマだと思う。第二に、俳優陣、特にグリア・ガースンの演技とその美貌がこの映画を輝かせている。美貌のみを売り物にする女優だけなら他にも大勢いる。ただ彼女のそれは際立っている。輝くばかりの高貴さでさらにその品性を高めている。演技も見逃せない。目的が達成されるまでひたすらに耐えるその忍耐力の名演技にはわれわれを感嘆させるものがある。更に、終末で夫となるロナルド・コールマンの憂いを帯びた面持ちと渋い演技はグリア・ガースンと息が合っている。こうした空気のような透明感が全体を自然に流れ、先に述べた不自然さや軋みはない。技術的にはロナルド・コールマンの「記憶喪失」をうまく使って物語に巧みな変化を与えている。わたし個人から言えば、ラストでグリア・ガースンがかつての愛の家の前で記憶を取り戻したロナルド・コールマンに「スミシィ」と呼びかけて抱擁するシーンが忘れ難い。
泣ける
何度見ても、涙を止められない!こんなに泣かせる映画は無いですね。 ラストの『スミシー!!』と声をかけるシーンどんな映画にも変え難いですよ。戦火の中で出会う男と女。記憶を元に戻し自分の世界に帰ってしまった夫を影になり支え、記憶の戻る日を望みの無い中、待ち続け最後にはあの楽しかった幸せな日々を思い出させてしまう、しかし、「こうなのよ!」とは一切口に出さず耐えつずけたその、心には感服させられました。若い人に是非見て欲しいと、ときあるごとに言ってきました。見た人は一様に感動したと言ってくれます。押さえた中に秘められた行動がこんなにも感動を与えてくれると言うことを知ってもらいたいと思っています。これからも何度となく思い出すたびにDVDをプレイヤーに入れる自分が有るでしょう!
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