「70年前の話なのに」生きる(1952) くーさんの映画レビュー(感想・評価)
70年前の話なのに
「死んでないだけで生きてるとはいえない」
そうなったのが自分のせいでなくても、
大切なことだけを見つめて、憎む暇なんかないと突き進めるか。
公務員の働く世界では今も通用してしまうセリフの数々。
何もしないことが現在の地位を守るのにベストというのはどうなんだと思う。
でも、自分があの通夜の場にいたら、心から主人公を悼み、一人で彼の尊厳を守ろうとする木村さんになれるだろうか。
渡辺課長のように、残り少ない生を突きつけられ、
独りで、生を求めて、正直に、貪欲に、ただ真っ直ぐに、突き進めるだろうか。
ヤクザに凄まれても、上司に圧をかけられても、同僚や自分より地位の低い人に迷惑がられ見下されても、愚直に目的に邁進できるか…
幸せってなんなのか、
働くとは、
家族とは、
色々なことを考えさせ、学ばせてくれる映画。
本作の息子・光男は愚かだし、嫁はクズだし、息子夫婦があんなんじゃなければね…
息子の父への厳しさは嫁に引きずられたものに感じた。
優しい嫁なら病を打ち明けられ、残された日々を親子で愛おしく慈しめたのだろうに。
家という容れ物に心通い合う人がいないから、仕事に邁進して、夕陽に見とれた束の間、独りで美しさをかみしめるしかなく…
「変わったこと」を面白がったり嘲ったりする部下や同僚ばかりなのも、それまでみいらのごとく過ごした主人公自身にも原因があるとはいえ、
体調不良なことは近くにいればわかるでしょうに…
志村喬さんは寅さんの博の父役でもとても良い演技されてます。
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