劇場公開日 2024年3月22日

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「ヨーロッパのアメリカ人」荒野の用心棒 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 ヨーロッパのアメリカ人

2025年9月6日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

知的

ドキドキ

1964年制作
日本では翌年初公開
2024年再上映

監督と脚本は『夕陽のガンマン』『続・夕陽のガンマン 地獄の決斗』『夕陽のギャングたち』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』のセルジオ・レオーネ
脚本は他に『続・荒野の1ドル銀貨』のドゥッチオ・テッサリ
他にビクトル・A・カテナとジェイム・コマス

舞台は1872年のニューメキシコ州
アメリカとメキシコの国境付近にある小さな町サン・ミゲル

腕利のよそ者がサン・ミゲルにやって来た
対立している二大勢力をうまく利用して両方とも壊滅しようという算段

西部劇だがイタリア映画(スペインと西ドイツとの合作)
監督はイタリア人
黒澤明監督の『用心棒』に感銘を受けたレオーネ監督が内容を西部劇にリメイクして制作
著作権侵害で東宝に訴えられ負けるがうまいことに韓国の実写映画『北斗の拳』と違い御蔵入りにはならなかった
所謂マカロニ・ウエスタンの元祖
ロケ地はスペインの田舎
俳優陣は多国籍

脚本を読むなり数々の俳優に断られたジョー役
結局やっとこさで白羽の矢が立ったのはクリント・イーストウッド
ハリウッドデビューするも伸び悩みテレビ西部劇『ローハイド』でブレイクしたクリントはテレビ局と放送期間中はハリウッド映画に出演できない契約になっていたがイタリア映画ならOKということで出演
大ヒットで当時1番有名なアメリカ人俳優になったらしい

BGMがとにかく良い

初鑑賞
10代の頃に観た『バックトゥザフューチャー3』でクリント・イーストウッドと名乗るマーティー演じるマイケル・J・フォックス
それからそのうち元ネタを観ようと思っていたらこの年になってしまった

なぜかサブスクでは観ることができない
続編2本は観れるのに
TSUTAYAやゲオでは扱っている
サブスクでは観れないTSUTAYAの人気ランキングでベスト10に入っている
ゲオもたぶん同様だろう
因みに山形にはツタヤが1店舗しかないがゲオはたくさんある

パクられた『用心棒』と比較するとどう観ても見劣りはする
しかしリメイク作品としては最高級品
まんま真似ているわけではなく西部劇風にアレンジしてるわけだから
パクリと言われるがポジティブな影響力は他に類を見ない
『太陽にほえろ』のマカロニも『ハレンチ学園』のマカロニ先生も元はといえばこの映画作品があってこそ

多くの資料ではロホになっているが字幕ではロホスになっている
理由はよくわからない

機関銃であれだけ激しく撃たれ騎兵隊の皆さんは全滅したのに馬たちはへっちゃらなのは御愛嬌

夜間のシーンは臨場感を出したいためか少々観づらい

主人公のことをロハスたちはアメリカ人というのも不可解だ
ヨーロッパに住む彼らからすれば余所者のアメリカ人なのは事実だが設定はメキシコ国境付近とはいえアメリカだ
舞台がメキシコならまだわかるが
ロハス一味はメキシコ政府から逃亡して来たのかな

昔の映画なのでエンドクレジットはない
さらっとしてる

この作品のリメイクが制作される企画が持ち上がっているらしいが制作公開はいつになることやら

配役
よそ者の「名無しの男」ジョーにクリント・イーストウッド
ミゲルの息子のラモン・ロホスにジャン・マリア・ヴォロンテ(ジョニー・ウェルズ名義)
ラモンに拉致されている子持ち女のマリソルにマリアンネ・コッホ
酒場の店主のシルバニト(日本語吹き替えでは「カルロス」)にホセ・カルヴォ
棺桶屋のピリペロにヨゼフ・エッガー(ジョー・エッガー名義)
バクスター保安官とサン・ミゲルで縄張り争いをしているロホス一家のボスのドン・ミゲル・ベニート・ロホスにアントニオ・プリエート
ミゲルの弟のエステバン・ロホスにジークハルト・ルップ(S・ルップ名義)
バクスター一家のボスで悪徳保安官のジョン・バクスターにウォルフガング・ルスキー(W・ルスキー名義)
ジョンの妻のドナ・コンスエラ・バクスターにマルガリータ・ロサノ
バクスター夫妻の息子のアントニオ・バクスターにブルーノ・カロテヌート(キャロル・ブラウン名義)
ロホスの部下のチコにマリオ・ブレガ(リチャード・スティフェサント名義)
ラモンのライフル持ちのルビオにベニート・ステファネリィ(ベニー・リーヴス名義)
鐘撞きのフアン・テディオスにラフ・バルダッサーレ

野川新栄