「懐かしくも物悲しい」恋する惑星 LSさんの映画レビュー(感想・評価)
懐かしくも物悲しい
4K版で初観賞。ロードショー時に盛り上がっていたのを覚えているがWKW作品は未見だった。当時はワールドミュージックやエスニック料理など、無国籍・マルチカルチャーなアジア再発見的な潮流があったと記憶している(自身もディック・リーにはまったり、返還前の香港に行ったりもした)。
そういう時代の空気を今も引きずっているからか、映画がスタイリッシュに切り取る猥雑で混沌とした感じがとてもしっくりきて楽しめた(前半の方が好み)。と同時に、一瞬、もはやそれはノスタルジアとして追想することしかできないのかと悲しくなった。
だがそれは、余所者の政治的なバイアスかもしれない。今の警官だって食事もすれば恋もするし、そこにはドラマがあるだろう。新たな表現が制約をかいくぐって現れることを待ち望みたい。
制帽を脱いだトニー・レオンの端整な顔つきに惚れぼれした(金城武は日本語の台詞まで彼と気づかなかった。)ホイルにくるまれた「サラダ」の中身が知りたい。
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