「スピルバーグの「激突」」激突! 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
スピルバーグの「激突」
1971年(アメリカ)
現在のスピルバーグ監督成功の原点となった伝説的作品。
若干25歳のカリフォルニア州立大学出立ての新人が、テレビ放映用に撮影したフィルムが日本やヨーロッパで劇場公開された。
映画は車で仕事に向かうセールスマンのデイヴィド・マン(デニス・ウィーバー)が、
大型のトレーラーを追い抜いたことから、はじまる。
そこからトレーラーに執拗に追いかけ回されて、
死の恐怖を味わう半日を描いている。
特筆すべきは、トレーラーの運転手の顔がまったく写らないこと。
トレーラー自体が意志を持つ生き物のように見えてくる。
トレーラーはディーゼル車でかなりボロい。
運転席の横にマフラーが煙突のように出ていて、そこからモクモクと黒煙を
吐き出している。
まるで煙を吐く蒸気機関車のようである。
ボロいのにいったんアクセルを踏むと150キロ超えのスピードが出る。
踏切に停車したセールスマンのアメ車を鼻先でグイグイ押し付けてズリズリ踏切に
押し込む描写は、鳥肌ものだ。
通報しようと立ち寄る小さなガソリンスタンド。
追いかけて来たトレーラーが、小屋を薙ぎ倒し、セールスマンスレスレに突進して
何度も切り返して襲って来る映像には心底震えた。
防戦一方だったセールスマンがラストで、一か八かの反撃に出るのも、
予想外の展開。
低予算でもアイデアひとつで、あっと言わせる作品が出来ると
スピルバーグは見事に証明した。
コメントする