劇場公開日 2023年11月3日

  • 予告編を見る

「解説させて頂きましょう」軽蔑(1963) タンバラライさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0解説させて頂きましょう

2023年2月26日
PCから投稿

オデュッセウスがトロイに置き去りにされてから奥さんを窮地から救うまでの物語をオデュッセイアと言います。夫婦の愛と絆を描いた物語です。
さて
この主人公は奥さんに枕営業させたわけです。しかしそれが完全に計画したものであったのか、そうなることが分かっていたのか、それともわかっていなかったのか?意識的にやったのか無意識的にやったのか?金が欲しかったのか映画界で成功したかったのか、彼女に判断を委ねなかったのか自分のせいじゃないことにしたかったのか・・・そこら辺が本人自身も曖昧なのです。ところが彼女には明確なのです。それで彼女は旦那を軽蔑し始めるわけですが旦那を愛する気持ちも残っているしセックスもしたいのでその辺の矛盾が彼女の中で悶々としているわけです。旦那は彼女をうまく誤魔化したいし自分自身をもうまく誤魔化したいのです。そのシーンが延々と続いて島でボートで誘われるシーンになってくるわけです。そこで彼女は旦那がしっかりと「お前は行くな」と言ってくれるのを待っているわけですけども、今度は旦那が確信犯的に「一緒に行けよ」と言うわけです。そういう心理を「俺はこういうつもりだったんだ」とか「あなたはそういう計画で言ったのでしょう」とか、そういうことを一言も言わずに描いた・・・二人がそういう馬鹿な争いをしたくないから・・・と、そこが面白いところです。多分そこら辺がフランス人的なのでしょう。・・最後の事故は自殺でしょう。彼女は横からハンドルをぐいと掴んでひねったんです。
ということで監督が何をやりたいのか分かったが、その芸術性と言うか作品の良さと言うか、そういうものがイマイチ伝わってこなかった・・・と言うか分からなかったと言うか、出来が悪かったと言うか・・どう評価するのが正解なのかわからないですね。ただ・・見て良かったか悪かったかといえばやっぱり見てよかったかな。

タンバラライ