「フレンチトースト・・・」クレイマー、クレイマー おまつさんの映画レビュー(感想・評価)
フレンチトースト・・・
食パンを生卵と牛乳をミックスした液体の入ったマグカップにどっぷり浸してフライパンで焼く。。。冒頭と最後に出てくるフレンチトーストを親子で料理するシーンです。この映画を最初に観たのは確か大学生の頃(30数年前)。アメリカに憧れて英語に耳を慣らしたくて貪るように洋画を観まくっていた頃です。その時は、この馴染みのないフレンチトーストという食べ物が衝撃的だったのを覚えています。普段我々が上品にトーストして食べてる食パンをなんて大胆な食しかたをするものだろうか、と。ますますアメリカへの夢が膨らんだものです。
映画って同じ作品でも観た時の自分の年代だったり、生活環境だったり、精神状態が違えばその印象も違ってくるものです。この映画は大好きなので何度も観たのですが、今回改めて衝撃を受けたのがメリル・ストリープの怪演です。この映画はざっくり言うとシングルファーザーになって子育てに悪戦苦闘するダスティ・ホフマン演じるテッドを善しとして、それに対して一度は家族を見捨てながら都合よく親権を取り戻そうとする身勝手な妻のお話です。この悪者役を必要以上に生々しく演じているメリル・ストリープ。この人の演技は観る人の心をえぐるほど生々しい。「ソフィーの選択」でもえぐられた。この映画で主演女優賞をとったわけだけど、実は主役で当時人気絶頂で同情を集める側の役回りだった主役のダスティー・ホフマンが彼女の名演技の引き立て役だったのではないか、と思わせるほどでした。
ところで、前述したとおり、私の解釈はこの映画は夫を善しとして妻を悪とする、もろに男性目線の映画だと思うんです。私も映画を観ながら「がんばれ、テッド」と応援してしまいました。果たして女性から観たこの映画はどのように映るのでしょうか?妻の言い分に同情して男社会を憂うのでしょうか?それとも女性の嫌な面を見事に演じるメリル・ストリープを見て嫌悪感を抱くのでしょうか?それとも私の受け止め方が根本的に間違っているのでしょうか?むちゃくちゃ興味あります。もし思うところありましたらコメントいただければ幸いです。