グラディエーターのレビュー・感想・評価
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ローマ五賢帝時代終焉期の史実と誤説をうまくアレンジした、ヒロイックファンタジー
午前十時の映画祭12にて。
かつてイタリアで大量生産された低予算の「ソード&サンダル映画」に登場する剣闘士は、筋骨隆々の元ボディビルダーが演じていた。子供の頃テレビの洋画番組で繰り返し放映されていたので、よく観た。はち切れんばかりの豊満なバストのヒロインにトキめいたものだ。
剣闘士といえばそんな映画を思い出す世代なので、本作の公開時はラッセル・クロウに違和感を抱きつつ劇場へ行ったのだった。しかし、雄大なオープンセットとロケーション撮影に、B級映画とのスケールの違いを感じたし、素人ではない優れた俳優たちが演じる人間ドラマの重厚さに感動して劇場を出たことを覚えている。
…『ベン・ハー』や『スパルタカス』といった低予算ではない「ソード&サンダル」も存在することを為念で記しておく…
ローマ帝国第16代皇帝マルクス・アウレリウスが嫡男コンモドゥスによって暗殺されたという説に基づいた、フィクション史劇。
暴君ネロと並んで悪評高い第17代皇帝コンモドゥスだが、先帝を暗殺した事実はなく、アウレリウスは戦地で病死したということだ。
同じ切り口の『ローマ帝国の滅亡』('64)が制作された当時は学問上でも暗殺説が生きていたのかもしれないが、今やその説は完全否定されている。
冒頭のゲルマニア軍との森林での戦闘場面から、主人公マクシムスが奴隷剣闘士エスパニャードとなって何度か見せるコロシアムでの死闘まで、迫力ある演出が展開される。
ローマ軍の将軍マクシムス(ラッセル・クロウ)は勇気と知恵の男で、皇帝アウレリウス(リチャード・ハリス)からの信頼は厚い。
アウレリウスは帝位をマクシムスに継がせようと考える。共和制による統治への変革を目論んでいたのだ。
実際、古代ローマは共和制で元老院によって政策が決定されていた。初代ローマ皇帝とされるアウグストゥス(オクタウィアヌス)も共和制尊重を建前に自らを権力者ではなくプリンケプス(権威者)と呼び、帝政の初期は皇帝ではなくプリンスケプスによって統治されていた。(事実上は兼務する皇帝が支配)
この映画の舞台は、内戦を経て「ネルウァ=アントニヌス朝」の樹立によって政権が安定し、帝位の世襲が行われていた時代で、アウレリウスを含める五賢帝と呼ばれた皇帝たちは皆、先帝の養子になることで帝位を継いでいる。アウレリウスだけが実子に恵まれ、コンモドゥスが十代のうちに帝位に就かせて共同皇帝としたのだから、決して世襲制を否定していたわけではない…らしい。(にわか知識だが)
さて、マクシムスは架空の人物だが、嫡男コンモドゥス(Commodus→字幕ではコモドゥス)(ホアキン・フェニックス)とコモドゥスの姉ルキッラ(Lucilla→字幕ではルシラ)(コニー・ニールセン)は実在の人物。
コモドゥスは暴君というより、病的で陰湿な謀略家として描かれている。
更には、姉ルシラに対する近親愛を思わせる描写もあり、二人は相互依存の関係のようにも見えた。
ルシラは未亡人で一人息子がいる。
ルシラとマクシムスの間には過去に恋愛関係があり、息子のルキウス(スペンサー・トリート・クラーク)が剣闘士エスパニャードに憧れる…と、いう作劇になっている。
実際、ルシラと息子の父親ルキウス・ウェルス(コモドゥスの前にアウレリウスと共同皇帝だった)とは政略結婚だったと思われるので、若き日に許されぬ恋物語があったというのも意外ではない設定だ。
過酷な運命を強いられることとなったマクシムスだが、そもそも先帝の勝手な思いつきが原因だと言えなくもない。
新帝コモドゥスは父親からの愛情が感じられず、父は事実マクシムスの方に傾注していたのだから、コモドゥスが父親とマクシムスを恨むようになるのも頷ける。ましてや、後継者問題が切迫した段階で父親から面と向かって帝位を継がせられないと謝られれば、なおさらだ。
この屈折した新帝を演じるホアキン・フェニックスが素晴らしい。この映画が製作された頃から今日に至っても、卑屈な男を演じると彼の右に出る役者はいないだろう。
物語が大きく動くのは、マクシムス脱出計画のシークェンスだ。元老院の閣僚やルシラ、かつての部下が協力して作戦を決行する胸アツの場面。
これに奴隷仲間たちが加わって叛乱が起きるのだが、総てはコモドゥスの罠だった。元老院にも反コモドゥス派と親コモドゥス派がいたのだ。
計画が失敗に終わってマクシムスは捕らえられ、いよいよコロシアムでコモドゥスと対決することになる。コモドゥスは策略をしかけて、マクシムスを大衆の目の前で倒そうと考えたのだ。
この死闘を制するのはマクシムスなのだが、コモドゥスが闘技場で死んだ(殺された)のは史実だというから、歴史というのは面白い。
さて、マクシムスは生き残ったのか、あるいはコモドゥスと刺し違えて果てたのか、いずれにしても大衆の目前で彼がヒーローであることを示して物語は幕を閉じる。
この後100年近くの間、ローマ帝国は混乱と分裂の歴史を刻むことになる。
久しぶりに鑑賞。ラッセル・クロウのカリスマ性あふれる役柄が最高にハ...
超大作と呼ぶにふさわしい、引き込まれた
自省しない息子
フィギュアスケートでたびたび使われるサントラ。最近では北京オリンピックで、坂本花織選手のショート、鍵山優真選手のフリーで使用された。壮大な音楽に素晴らしい演技。ドーピングで揺れた、異様な状況の中で、メダル獲得できて本当に良かった。
テレ東午後のロードショーを録画したので、かなりカットされているよう。トリプルアクセルを5回連続で跳んだかのごとく、早回しだった。キュルキュルっ。でも、要点はつかめたので、とりあえず満足。機会があったら、フルサイズ字幕版で見たい。
最近ドラマで突然脚光を浴びた、マルクス・アウレリウス。「自省録」を書いた、5賢帝と評される人。勉強好きだったらしいが、息子はあまり彼に似なかった。この息子コムドゥス、どれ位ダメな皇帝か知りたかったので、ちょっと調べてみた。そしたら、最初はそんなに悪い人ではなかったようだ。欲の強い姉に暗殺されそうになり、それ以来疑い深くなったらしい。疑うあまりにたくさんの人を処刑しちゃったんで、結局自分が始末されてしまった。映画では先天的に残虐とされたが、悪役らしく色付けしたかもね。まあ、自分が勝つために、セコいマネするところは、確かに性悪だった。
コーラスを使った、印象に残る音楽。映画の世界観をよく表していたと思う。
冒頭の戦闘シーンからグッと引き込まれていく。その迫り来る迫力、地響...
大画面で観るべき作品
善人 vs 悪人
慕われる人はどこでも慕われる!
リバイバル上映で初めて鑑賞。
ラッセル・クロウのための映画ですね〜!
将軍時代も皆の列を歩く時掛け声とともに慕われているのが分かる強い将軍だし、
奴隷になってもこちらは歩兵隊、敵は馬車隊という無理ゲーを押し付けられたら自然と「隊列を組め!!」「陣を乱すな!!」など味方をまとめてしまう頼もしさ。
群衆を味方に付けることのできる主人公のキャラクターが分かりやすく、ただただラッセル・クロウのカッコ良さと強さを際立たせる良い作品でした!!
敵役の新皇帝がま〜あ分かりやすいボンクラ金持ち息子って感じで、こちらも俳優さん良い演技でした!!お前どんだけ姉さん大好きシスコンなんじゃ〜!とツッコミどころ満載で(笑)まぁ、大昔のエジプトやらヨーロッパのハプスブルク家やら、わりと王族は近親結婚する時代もあったでしょうから、時代背景的にはありっちゃありなんでしょうけど、
姉弟で子ども生まれたら病気に弱いとか何かしら悪い影響を持って生まれてきてしまう可能性高いから、君の血が1000年も続かんよ?と新皇帝に教えてあげたくなりました。
劇中ではコロッセオに出されたトラが思いっきりグラディエーターに刺されて息絶えていましたが、今の時代だったらあからさまに動物を傷付ける描写は出来ないだろうし、エンドロールに「動物への危害は加えられていません」みたいなお知らせ流さないといけないと思うけど、それが無くてOKな時代の製作だったんだな〜と思いました。
男女関係なく第一子、または年長から順に皇位を継承出来るならお姉さんが女王になれたのに〜とも思いつつ、往年の名作を楽しみました。
午前十時の映画祭にて。
すごくよかった
公開した年くらいにレンタルビデオで見たきりで、その時は長くて退屈したような記憶がある。劇場で初めて見たらあまりに面白くて驚いた。将軍が奴隷に格下げされるのも凄いし、そこから剣の腕前でどんどん出世するのも面白い。ラッセル・クロウが若くて痩せていてかっこいい。目張りをバリバリ入れたホアキン・フェニックスが憎たらしい。
(追記)2024.11.15
続編を見るに当たってアマプラで見返す。3度目なので吹き替えで気楽に見ると、違和感がなく没入する。すごく面白い。ラッセル・クロウは完全に死んでいるのだけど、続編は出るのかな。続編は吹き替えで見たくなる。
コモドゥスが隠れ主役
「抱きしめ殺し」から「隠し持った武器で殺され」(そんな用語ないけど)にまで至った、コモドゥスのキャラクター造形が素晴らしい。
音楽とか衣装が良かった。
姉姫とキスしなければさらによかったかな。
天国でまた会おう
午前10時の映画祭で。21年ぶりの劇場鑑賞。
リドリー・スコット監督。音楽はハンス・ジマー。敵役はホアキン・フェニックス。などなどなど。その豪華すぎるクレジットに、今更ながら鳥肌が立ちます。
そう言えば。「女性の苦悩」は物語りの重要な要素。リドリー・スコットの得意ネタです。戦闘前からの音楽は「火星 (ホルストの"惑星")」みたいで、いかにもハンス・ジマー。「精神を病んだ男」がホアキン・フェニックスなんて、いかにもです。
公開は21年前ですが、これは旧さを全く感じさせない。CGに頼らず(もちろん使ってますけど)、製作費を惜しみなくつぎ込んで造りこんだ歴史スペクタクル。
コロセアムでの戦闘シーンは、個人史に残る燃え具合。これはカッコ良い。と言うか、ラッセル・クローのカッコ良さはメーター振り切ってるから!
あざとさは感じるものの、エンターテイメント大作として、これ以上のものは、今や望むべくもなく。と言うか、人類史最後の歴史スペクタクル作品と言っても良いかも知れません。いや、大金はたいてチャレンジする人は、もう現れないんじゃないかと。
でも。Westsideをリメイクする物好き、と言うか、金持ちはいたからなぁ。CGオンリーじゃない、大予算の歴史スペクタクルが、今後製作される事ってあるんだろうかと思いつつ。
面白かった。とっても。
大迫力の決闘シーン
午前十時の映画祭11にて。
古代ローマの皇帝アウレリウスは、ゲルマニア戦で勝利したあと、信頼を寄せる将軍マキシマスに次期皇帝の座を譲ろうと考えていた。それを知った野心家の王子コモドゥスはマキシマスへ皇帝を譲られる前に父を殺し、自ら皇帝となった。新皇帝として、マキシマスに死刑を宣告したが、マキシマスは処刑人たちを倒して故郷へ帰ってきた。そこで見たのは、コモドゥスの手下に殺され焼け焦げ吊るされてた妻子の姿だった。絶望し倒れていたところを、奴隷の売人に拾われ、売られたマキシマスは剣闘士として闘技場で死闘を繰り返しながらコモドゥスへの復讐を図る、という話。
遠征中のローマ軍とゲルマニアとの戦いやコロッセオでの殺し合いなど多くの人を使って迫力があった。
マキシマス役のラッセル・クロウも良かったし、コモドゥス役のホアキン・フェニックスが憎らしい役を好演してた。
コモドゥスの姉役のコニー・ニールセンが美しくて魅力的だった。
劇場の大画面で観れたことに感謝です。
壮大な歴史スペクタクル
古代ローマを舞台に復讐に燃える剣闘士の不屈の闘いを描いた歴史スペクタル。ありがちな権力闘争で驚くような展開はないが迫力ある効果音や音楽が素晴らしい。小麦畑を歩くシーンも美しく好印象を受けた。
(午前十時の映画祭にて鑑賞)
2022-46
後世に語り継がれる一本には至らず
何と言っても、ラッセル・クロウの役作りに尽きるだろう。悪役のキャラも立っているし、映画の基本的な構造が本当によく作りこんである。
それでも、残念なことがあるとするなら、このジャンル、仮に史劇スペクタクルとでも言おうか、には、「ベン・ハー」という金字塔があり、世界中の映画ファンに愛されている。それを超える映像を目指してほしかったが、そこに至らないのは、何といってもアクションのリアルさが、やや足りなかったことだろう。
最大の見せ場の、虎と闘うシーンはさすがの迫力ながら、そこに限界があることは理屈で分かる。虎を殺すわけにいかないし、人間を襲わせるわけにもいかないからだ。しかし、後年に「ライフ・オブ・パイ」が製作され、CGを駆使して描かれた飢えた虎はとてもリアルだった。
今見ると、どうしてもそこの部分も含む演出に本当っぽさというか迫力が足りないと思う。後世に語り継がれる一本にならなかったのは、そういうことだと思う。
2018.6.12
これも間違いなく何度も観たくなる映画シリーズ
【”正しいローマに・・。亡き主君の想いを伝え闘う男の魂は、故郷に戻った。”今作は、男の誇りを描いた壮大なスペクタクル映画であり、壮烈な復讐劇でもある作品である。】
<Caution! 内容に触れています。>
・1度目の鑑賞時には、勧善懲悪且つ、ラストの且つてはローマ帝国の将軍であったマキシマム(ラッセウ・クロウ)が、コモドゥス(髭のない、ホアキン・フェニックス)との激闘の後に、ローマの民衆に厳かに担がれていくコロセウムのシーンにカタルシスを感じたモノである。
・2度目の鑑賞時には、男の誇りとは何であるか、愛する妻と子を守れなかったマキシマムの哀しさと、怒りをバネにして不屈の如く立ち上がる姿と、彼を慕うキケロを始めとする元部下たちの姿が印象的であった。
・3度目の鑑賞時には、父マルクス・アウレリウス帝や思慕する姉ルシッラ(コニー・ニールセン)始め、元老院やローマの民たちにまで、慕われなかった狡猾な皇帝コモドゥスの孤独、哀しさが、この作品に奥行きを与えている事に気づいた。
<いづれにして、コロセウムでの数々のマキシマムの死闘が、実に印象的な作品。
コモドゥスとの一騎打ちの前、脇をナイフで刺された状態で戦いながら、見事に妻と子の仇を取った後に、亡き主君の想いを元老院のクイントゥスに託し、地に斃れるマキシマムの姿。
そして、彼の屍は、”民”達に担がれ、コロセウムから運び出されるのである。
一方、コモドゥスは最後まで誰にも慕われず、屍は地に置かれたままという望遠で描く対比・・。
今作は、ラストの彼の魂が、愛する妻と子の元に帰るシーンも忘れ難い逸品である。>
全182件中、101~120件目を表示