「CUBEの原点」CUBE bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
CUBEの原点
これまでもシリーズ化され、多くの作品が上映されてきた中、昨年、日本でも、菅田将暉や杏、岡田将生等が出演してリメイクされた、『CUBE』の原点となった20年以上前の作品。低予算ながらも、世界的にも大ヒットし、積み重なるCUBEの部屋からの息詰まる脱出劇を描いた、密室スリラーだ。
目が覚めたら、CUBEに閉じ込められていた6人。何故、こんなところに閉じ込められたのか理由も分からないままに、CUBEの各面に1つずつ付いている6個のハッチを開いて、隣のCUBE に移りながら、脱出を試みようとする。しかし、各CUBEには、人を切り刻む殺人のトラップが数多く張り巡らされていた。パニックに陥り、互いに対しても疑心暗鬼となる中で、一人、また一人と、CUBEのトラップの餌食となっていく。
暫くすると、そこに集められた人々には、それぞれに、脱出するための術を持つ役割があることに気づくいていく。リーダーとして6人を叱咤激励し、まとめようとする者。CUBEに書かれている数列の意味に気づく者、その数列を因数分解して罠のあるCUBE を見破る者等。互いの力を持ち寄って、安全なCUBE の法則を探り当て、脱出を試みる様子を、スリリングに描いいていく。
密閉された極限空間の中で、命の危機に晒されたら、通常は善人として振舞う人々も、その奥底には、「自分だけは…」と思う、人のエゴイズムの本能が沸々と湧き上がってくる。特に、ラストで唯一助かった者が、そうした人間の醜さから一番かけ離れた存在であったことが、人としての生き方を訴える、この作品のテーマであったように、私は感じた。
この作品が、現在まで数多くシリーズ化されてきた魅力とは、そうした人間の本来の姿をあからさまにする事で、何かしらの戒めと共感を呼んだのかもしれない。