キャバレー(1971)のレビュー・感想・評価
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何にも知らなかった!!(色んな意味で…)
ライザ・ミネリで「キャバレー」と聞けば
なんかキャバレーを舞台にした陽気で楽しいミュージカル!!
と、勝手に思ってました。
何にも知らなかった!
アメリカ人なのに何故かドイツはベルリンのキャバレーで
女優を夢見ながら歌い踊るちょっとブッ飛んだ
ライザ・ミネリ演じるダンサーと、
イギリスからドイツへ英語教師ならば仕事があるだろうと
なんとなく流れて来た男が知り合って
一つの下宿で共同生活をしながら
台頭するナチスに日々窮屈な思いを感じてゆくと言うお話。
華やかなショーの演目の中に
国民への支配を強めるナチスへの批判を
散りばめたショーのシーン等
見どころいっぱいです。
是非、配信などでもよいのでご覧下さいませ。
手段と目的を見誤るな
社会の澱が溜まったような享楽的なキャバレー。そこの司会者の道化師のような風貌、語り口、パフォーマンス、どれをとってもインパクトが強く今夜の夢に出てくるのではないかと怖くなる。
そんなキャバレーをストーリーの転換点としながら、未来を夢見て一喜一憂する若者たちの足元で、より大きなうねりがじわりじわりと進んでいく。
ベルリンから出ていく者、残る者。それぞれがその後どうなったのか。こんなに不安を掻き立てられる終わり方をする映画は初めてだ。
1971年製作、監督はボブ・フォッシー。第45回アカデミー賞で監督...
1971年製作、監督はボブ・フォッシー。第45回アカデミー賞で監督賞、主演女優賞、助演男優賞など8部門を獲得した作品。
1930年初頭のドイツ・ベルリン。
滑稽で退廃的なショウをみせるキャバレー。
アメリカから来た歌手のサリー・ボールズ(ライザ・ミネリ)は芸は一流なれど、性格的には破綻しているような感じ。
口から出るのはデタラメにホラばかり。
だが、人好きのする性格とキュートな顔立ちで憎めないのだ。
彼女が暮らすアパートメントに、堅物英国青年ブライアン(マイケル・ヨーク)が部屋を探しにやって来た。
ブライアンはサリーの向かいの小部屋を借りて、空いている時にはサリーの部屋で英語の個人授業をはじめることにした・・・
といったところからはじまる物語で、ナチスが台頭しはじめ不穏な空気が漂う世情を背景に、サリーとブライアン、のちに加わる男爵位を持つドイツ青年マクシミリアン(ヘルムート・グリーム)を交えての奇妙な三角関係が綴られていきます。
分類上はミュージカル映画なのだけれど、ソング&ダンスシーンはキャバレーの舞台上だけなので、厳密にいえば、歌曲入りドラマ。
とにかく強烈なのが舞台のショウで、ジョエル・グレイ扮する進行役のメイクと所作がグロテスクといってもいいくらい。
演じられるショウも、皮肉に風刺、女装も登場して、退廃を通り越して、ちょっと胸やけがしてくるぐらい。
そんなショウとドラマがカットバックで進むのだけれど、編集もインパクトがあり、どんどんと台頭してくるナチスが社会主義者を滅多滅多に殴る蹴るシーンなどのすさまじさは、言葉に詰まるほど。
サリーとブライアン、そしてマクシミリアンの三角形は、結局「奇妙な」方向へ嫡子して破綻するわけだけれど、当時はジョン・シュレシンジャー監督 『日曜日は別れの時』でも同じような関係が描かれていた、と記憶しています。
とにもかくにも、「ミュージカル=楽しい」の通念を覆すほど、観ているあいだ中、ほぼほぼ精神を刃物で傷つけられるような感覚で、ミュージカル史上最高に不安な気持ちにさせられる映画と言えるでしょう。
70年代の病めるアメリカが産んだ傑作ですね。
50年前の作品とは思えず
現代の映画のようでした。実際、同行した友人は、最近の映画かと思っていました!
普遍的なのに先進的なイメージは、これからも色褪せないと思います。
キャバレーの舞台をはさみながら進んでいく物語展開が秀逸です。
音楽も、ファッションも、映像も良かったです。
ナチス台頭が迫る様子と人生の短さを見事に重ね合わせたミュージカル ...
ナチス台頭が迫る様子と人生の短さを見事に重ね合わせたミュージカル
ライザミネリのサリーはもちろんの事、ブライアン、マックスとの三角関係、ジョエルグレイのMC
と暗い陰鬱とした雰囲気のキャバレーだがそこで歌い踊っていた人たちの魂だけは輝いていた
サリーの舞台姿がたびたび
ハリウッド映画史のアイコンにもなっている本作
やっと食指が動いての初鑑賞。
夢に恋にと陽キャで邁進するサリーと何処其処となく漂ってくる陰鬱な空気
の対比が徐々に痛々しくなる
あまりミュージカルしてなくてドラマ部分を楽しめた
フォッシーの振り付けも見ていて楽しい
乗じて動画サイトのあったスイートチャリティーのダンスも個性的で面白かった。
地獄に堕ちた勇者どもを思い出す
ライザ・ミネリを観る
午前十時の映画祭12にて。
ナチズムが台頭してきた1931年、ベルリンの小さなキャバレーでサリー・ボールズは歌手として働いていた。ある日、ロンドンからブライアンが部屋を探しに来て、サリーの隣の部屋に移ってくることになった。ブライアンはドイツ人フリッツに英語を教え、その後、ナタリアも生徒に加わった。フリッツはナタリアに熱を上げ求婚したが宗教の違いで良い返事はもらえず。そして、サリーはブライアンの子どもかもしれない妊娠をしたが、将来の子育てを想像し中絶した。怒ったブライアンに、育児は自分に向かないと答えた。ブライアンはベルリンを去る事にした。そんな話。
ミュージカル、というほど歌や踊りが多い訳じゃなく、ストーリーがわかりにくいが、ナチスに迫害されるユダヤ人というのがすぐそこに迫ってる時期を描いたのはよくわかった。
アメリカ人のサリーがベルリンに来た理由はよくわからなかったが、自由奔放なサリーをライザ・ミネリが好演してた。
左頬の付けホクロは何の意味があったのだろう?
ライザ・ミネリの大きな瞳が印象に残った。
自分には合わなかった
名作と目される古い作品という知識だけで見た。何も響いてくるものがなかった。唯一、令嬢を口説こうとしていたジゴロの心情と行動だけ、理解できた。ただ、出演者のパフォーマンス、歌や踊り、芝居は素晴らしい。音楽も良かった。
目に見えなくともある民族と階級の壁
午前十時の映画祭にて鑑賞。
キャバレーの歌唱シーンでその時々のサリーの心情を歌っていて、喜怒哀楽の表現がわかりやすい。ただキャバレーの舞台で一番輝いていたのはMCだったが。
街並みや人々の様子、ナチスの台頭などは時代を反映か。
ライザミネリの魅力
激しく歌い踊るライザミネリに魅了されますな
あとマイケルヨークってどこか見たことあるなと
思ってたら「2300年未来への旅」の彼か!!
特徴あるお顔ですな。
今回の役どころもハマっていたけど、
ちょっと展開的にどうなんだろう。
観たい所を見せてくれなかった感じ。
WillkommenとAug wiedersehenの間の世界
冒頭のMCが歌うドイツ語、英語、フランス語などが混じった歌からベルリンで出会った恋人達の物語が始まり、ここから登場人物のセリフは英語で進み、最後はライザ・ミネリの熱唱の後にMCのAuf wiedersehen(ドイツ語でさよならの意味)の呼びかけとナチ党員が占める客席の不穏な映像で暗い現実に戻る事で終わる。この映画の作法、様式には感動した。夢を追うサリーたちも、迫るナチの迫害に抗って結婚するフリッツ達も過酷な現実の歴史に飲み込まれる泡沫であることを暗示する。それでも人間は生きるという強いメッセージをこの50年前の映画は訴えているが、今でもウクライナでロシアで中国で、同様な悲劇が繰り返されていることを想起させて暗澹とする。
これまでライザ・ミネリの歌があまりに有名なので楽しいミュージカル映画と思い込んで観なかったが、今回午前十時の映画祭で初めて観たが素晴らしい映画体験だった。初公開した時に10代の自分は恐らく理解出来なかっただろう。歳とってから名画を観るのもいいものかも(笑)
ドイツの不穏な時代とキャバレー
先入観を持たずに見たのが良かった。ライザミネリもさることながら、あの時代の色濃くありつつあったユダヤの迫害、恋愛そしてキャバレーの世界の中で二重の世界を通して、ちゃんと生き抜こうとした共演者一人一人の踊り、会話、エピソードがうまく描いていたと思う。
ティファニーで朝食をのホリー・ゴライトリーってこんな感じじゃないかなぁ?
ナチスの青年が奇麗な歌を独唱する。良いな♥と思っていると、周りの一般市民が合わせてくる。それがいつの間にか、勇ましい曲へと変わる。
ライザ・ミネリの口パクが気になった。
KitKatダンスと言うらしいが、ドラッグクイーンのダンスなんだと知った。
ジュディ・ガーランドに似ている。こう言うキャラクターをコケティッシュって言うのだろうな。ティファニーで朝食をのホリー・ゴライトリーってこんな感じじゃないかなぁ?
清志郎いいよ
ミュージカル映画が苦手な平均的な日本人ですが、名作なので無理して観たら、セリフも歌っちゃう所謂ミュージカルではなかったのでよかった。確かにミネリ君の歌と踊りは圧巻ですが、それ以上にMC役の忌野清志郎がメチャ上手くてメチャ面白くて感心したら、これでオスカー取ったということで納得。ゴットファーザーなかったら作品賞取れたくらい話題をさらったらしいけど、お話しはそれほどのことでもない、まあまあ面白いですけど。ユダヤとナチが話に絡むのでハリウッド的にはウケるんでしょうね。但し、よく言われる退廃的な、世紀末的な雰囲気なんていうのは全く感じませんけど。
50年も昔の映画なのに、極めて21世紀的なテーマです まるで最近撮られたかのようなテーマで構成されています
凄い映画です
ミュージカル好きならもちろんマストでしょう
音楽はステージシーンに限られているのでミュージカルが苦手の方にも観やすいと思います
50年も昔の映画なのに、極めて21世紀的なテーマです
まるで最近撮られたかのようなテーマで構成されています
恐ろしいばかりの先進性です
傑作中の傑作で間違い有りません
ライザ魅力全開‼️
92回のアカデミー主演女優賞はレニー•ゼルウィガーでしたが、
彼女が演じたのはジュディ•ガーランド、でその娘って
ライザ•ミネリって知ってる人少なくなりました❓💦
プチ自慢はライザ現役の80年代頭に、ライザの舞台を観たこと⭐️
それはそれはパワフルで。 圧巻でした。
ボブ•フォッシー監督、振り付けのミュージカルの最高峰、
公開年は本国からずれ込んでいたので、
当時はFM放送でまずストーリーを追っての曲紹介がされ、
これって完璧ネタバレですよね💦
でも必死にラジオにかじりついて聴いてました。
この映画は人生の五本に入るくらい好きな映画なのですが•••。
DVDもBlu-rayもうっかり買いそびれていて、なんと
手元にないのです!
ここで訴えるのは筋違いかもしれませんが、
どうか、Blu-ray、リリースして下さい‼️
絶対買いますから😭
ナチ台頭前夜のベルリンのゴチャ混ぜ観満載の雰囲気が
上手く表現さています。歴史の一場面としての魅力もある、
貴重なミュージカル作品です。
ブライアンの知性
大昔に観た映画をもう一度観たとき、以前とは全く違った印象を持ち、自分自身や時代の変化に気付かされることがある。『キャバレー』は、まさにそういう映画だった。
頽廃的なショーや天衣無縫なサリーのキャラクターが魅力だと思っていたが、今観ると、ブライアンのセクシュアリティの揺らぎと葛藤が胸に迫る。同時に、サリーからスポットライトが外れたことで、かつては時代相を表すものと捉えていたフリッツの恋や「ユダヤ人」をめぐる言説の、ブライアンの物語との有機的な繋がりもよく見えるようになった。
ブライアンとフリッツの物語を繋ぐのは、ナチスのユダヤ人と同性愛者の迫害という歴史的事実であり、これについては既に多くの指摘がある。
その文脈を踏まえた上で、改めて驚かされたのは、ブライアンの知性の強靭さや、批判精神の健全さ、そして彼が意外なほど勇敢であるということだ。ブライアンは、生真面目な大学院生だが、決して気弱な優等生ではなく、「ユダヤ人」に対するデマや差別を言下に否定する勇気を持っている。ナチズムには抵抗の姿勢を示し、フリッツの恋を応援する。また、ブライアンの誘惑に失敗したサリーが悪びれずに口にした彼のセクシュアリティに対する疑問にも、正面から答え、誤魔化したり、あるいは悲劇的に語ったりもしない。
いま、私は、特定の国や民族に対するデマや差別を垂れ流す人物が眼の前にいたとして、そうした言説や、暴力に対して、昂然と立ち向かうことができるだろうか。フィジカルな暴力を行使する集団に対して、勇気をもって抵抗の姿勢を示すことができるだろうか。あるいは、セクシュアリティの問題に土足で踏み込んでくる他者を信頼し、胸襟を開くことができるだろうか。
ブライアンがすべての面において模範的だというわけではなく、とりわけ性に関しては時代的な制約もある。それでもなお、『キャバレー』の世界は私(たち)が生きる現在に肉薄し、「お前はどう生きるのか」と問いかけてくる。
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