劇場公開日 2022年11月3日

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「子どもは人類の宝、チャーリースピリットの純粋な映画美」キッド(1921) Gustav (グスタフ)さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0子どもは人類の宝、チャーリースピリットの純粋な映画美

2020年4月18日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、映画館

「黄金狂時代」「街の灯」と併せて、チャールズ・チャップリンの本質である人間愛を讃えたサイレント映画の名作。チャーリースピリットである、食べること、働くこと、愛すること、そして夢を持つことの四つの要素が、浮浪者と孤児の実の親子以上の絆で結ばれたドラマに笑いと涙を溢れさせ、その大切さを説く。トーキーに大反対していたチャップリンは、観るだけで理解できるサイレント映画に固執した。言語や風習や社会秩序が違っても、世界のあらゆる人々の共感と共鳴を呼ぶこの名画を観れば、それも充分理解できる。映画史に残る名子役ジャッキー・クーガンへの演技指導を想像すると、子ども時代に極貧だったチャップリン自身の経験から生まれた慈愛の精神が結実したものではないか。時代や社会が変化しても、貧困と子供の問題は人類の永遠のテーマであるはず。その基礎となるべき人間愛をストレートに愛情深く表現したこの映画は、それ故に不滅の感動を与え続ける。

Gustav