「結構悩む評価」奇跡(1954) naokiさんの映画レビュー(感想・評価)
結構悩む評価
私はカール・テオドア・ドライヤー監督が大好きである。
裁かれるジャンヌはフィルムとゴーモン社のデジタル修復版を
観ました。「吸血鬼」はアテネ・フランセでフィルムを観に行ったり、
ドライヤー監督のドキュメンタリーをドイツ文化センターで観ました。
前から観たいと願っていた「奇跡」をやっと観る事ができました。この映画は説明するまでも無いですがユトランド半島に農場を営むボーオン一家が舞台です。私観る前に一家の長であるお爺さんが亡くなられたお話かと思いきや長男の妻インガーがお産が上手くいかずに亡くなられたお話なんですね。長男は厳格で家を支えておりますが次男ヨハンネスはいろいろと問題を抱え自らをキリストだと信じ突如姿を消してしまいます。インガーの葬儀が悲しみの中、取り行われる中ヨハンネスが戻ってきます・・・
パンフレットを買おうと思ったが「奇跡」は載っていなかったので残念(たぶんPart1のパンフレットなら載っていたのだろう)観たのはカール・テオドライエル特集Part2。
昔あったリュミエールという映画雑誌で東和映画のプロデューサー川喜田かしこさんが、この作品の冒頭シーンでの白いシーツに圧倒されたような事が書かれてあった。たぶんフィルムでは白と黒のコントラストがきれいに出ていたのでしょう。この映画のスチール写真はどれを取っもすごい、特にインガーの葬儀場面は厳正な感じが出て素晴らしいです(キネマ旬報のヨーロッパ映画100に掲載)
感想なんですが私は映画を見終わって普通な感じでした。大きな感動に包まれる事を期待してましたが淡々と観てしまいました。だいたい、あらすじは知っていましたし、まぁこんなもんかな。ルノワール「ゲームの規則」を最初観た時もこんな感じでした。「なんだ、これ?」もう1回観に行くと理解が深まりました。まぁ名画との出会いはこんなものでしょう。ベルトルッチ「暗殺のオペラ」、小津安二郎「東京暮色」、ベルイマン「第七の封印」は最初の出会いは最悪でしたが後でジワジワと懐かしく感じ、もう一度観たくなります。まぁ友達もそんなもんでしょう(←そうかな?・・・)
ただ今回この作品に触れて前に作られた「怒りの日」に興味がわきました。
それを観たあと「奇跡」を観直したいです。なにかワクワクします。
そのために評価の星は1つ残しておきます。
余談ですがWowowで観た小中和哉「四月怪談」が今の私にはしっくりきます。「奇跡」のリメイクではないのですが、なんとなく似ています。天使役の柳葉敏朗は今ではギバちゃんこと「踊る大捜査線」の室井のイメージが強いけど、この当時の柳葉さんが、なんか美青年に見えます。やはり演技が上手いという事なんでしょうかね。