「盗み聞きしているつもりが盗み聞きされて」カンバセーション…盗聴… シネマディクトさんの映画レビュー(感想・評価)
盗み聞きしているつもりが盗み聞きされて
コッポラがゴッドファーザー二部作の間に撮った盗聴サスペンスと期待してたんだけど、意外と内省的なお話しで肩透かしを食らった感じです。雑踏の中からターゲットの男女の会話を長距離の指向性マイクと近距離マイクの組み合わせで盗聴するテクニックは、なかなか面白いです。主人公の盗聴技術者のプロフェッショナルとしてのストイックな姿勢が丁寧に描かれているけど、再生した会話から殺人の可能性に気づいたため、過去の仕事で犠牲者が出たトラウマから葛藤が始まります。ここら辺から、お話しもパラノイアの妄想のようになり幻想や幻聴を交えた展開は、ヒッチコックとキューブリックを合わせた感じで違和感がハンパないです。盗聴する者もまた盗聴される監視社会の恐ろしさを言いたいのかも知れないけど、持って回したようなくどさが残念。役者では、ジーン・ハックマンのパラノイア演技が絶品です。後年、トニー・スコット監督の『エネミー・オブ・アメリカ』で演じた盗聴のプロ役は、この作品がベースになったのがわかりました。びっくりなのは、依頼者の秘書役のハリソン・フォードで、若いのは当然だけど、淡々としたセリフ廻しが不気味でした。
コメントする