「プライバシーの先駆けとなる、心理サスペンスの傑作だ。」カンバセーション…盗聴… 瀬戸口仁さんの映画レビュー(感想・評価)
プライバシーの先駆けとなる、心理サスペンスの傑作だ。
盗聴のプロ、ハリーは、大企業の重役から、若い男女の盗聴を依頼される。ハリーが録音したテープを聞くと、その男女は重役の妻と不倫相手であり、「機会があれば、彼は殺すだろう」との音声が判明する。
同僚などと私生活の繋がりを一切断っている通信傍受の専門家が、プライバシー侵害である盗聴を契機に、疑念や猜疑心にとらわれるところが面白い。
コッポラ監督は、ミケランジェロ・アントニオーニの『欲望』に影響を受けたと言っている。ブライアン・デ・パルマ監督も、『ミッドナイトクロス』は『欲望』にインスパイアされたと言っており、3作品を見比べるのも面白いね。
『エネミー・オブ・アメリカ』にも、本作へのオマージュが見られる。本作は、「プライバシー」が一般的で無かった時代に、監視社会やプライバシーについて、ゆっくりと、しかし極めて力強く描き切った、心理サスペンスの傑作だ。
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