カンターの闘牛師

解説

「フーピイ」「パーミイ・デイス」と同じくエディ・キャンターが主演するミュージカル・コメディー映画で、「フーピイ」のウィリアム・アンソニー・マクガイアがバート・カルマー、ハリー・ルビーと共同して書き下ろした脚本により「恋愛即興詩」「極楽島満員」のレオ・マッケリーが監督し、「パーミイ・デイス」「フーピイ」のグレッグ・トーランドが撮影した。唄は前記カルマーとルビイが作詞作曲し、舞踏振付は「四十二番街」「パーミイ・デイス」のバスビー・バークレーが担当した。相手役は「進めオリンピック」「闇に踊る(1932)」のリダ・ロバーティで、「マデロンの悲劇」のロバート・ヤング、「女探偵長」のルース・ホール、「強力犯」のノア・ビアリー、「二秒間」のJ・キャロル・ナイシュ、「街の野獣(1932)」のジョン・ミルジャン、「武装ラグビー」のスタンレー・フィールズ等が助演するほか、スペインで、一流の闘牛師となった米国人シドニー・A・フランクリンが特別出演している。

1932年製作/アメリカ
原題または英題:The Kid From Spain

ストーリー

エディはお人好しで、あわて者で、呑気坊の大学生だったが、卒業式を目前にして放校処分を食らったのには参ったのである。理由は彼が男子禁制の女子寄宿舎に侵入したことによる。もっとも彼のこの行為は彼自身の意思によるものではなかった。メキシコ人なる彼の親友リカルドの、度を越した悪戯の結果で、エディには何がなんだか分からない間に、彼自身の身体が就寝中の女学生の中にあっただけなのである。がこれは外見上誠に由々しき事件で、エディは放校されたのであるが、悪い時は悪いことが重なるもので、彼がボンヤリ銀行の前に車を待たせていたために銀行ギャングの冤罪を被せられ、とうとうメキシコまで逃げて行かねばならぬ破目となった。そこで彼はリカルドと逢った。リカルドは土地の利け者ゴメスの娘アニタと恋に陥ちたが、ゴメスは娘を金持のパンチョと結婚させたがっているのでリカルドは甚だ不利であった。エディは事情を聞いて気の毒がり、一肌ぬごうとしたが、銀行ギャングの容疑者エディを捕らえに追跡してきたアメリカ一の探偵クロフォードの手を逃れるのに忙しかった。リカルドは親友の急場を救うのに、口から出まかせにエディをスペイン第一の闘牛師セバスチャン二世だと言い立てた。闘牛師は獰猛な牛を倒すこともあるが、時として牛の角で横腹に風穴を明けられる破目に立つものである。しかしドン・セバスチャン二世ことエディは牛などにあまり面識がないのである。であるにも拘らず、メキシコに於けるエディは名闘牛師ドン・セバスチャン二世の仮面を必要とした。本名を名乗れば銀行ギャングとして探偵に逮捕されて廿年の苦役を甘受しなければならない。二十年の懲役か、牛と闘うか、エディはどっちに転んでも苦しかった。が縄目の恥辱を受けるよりは牛に突かれて男らしく死のうと決心した彼はドン・セバスチャン二世になりすまして、リカルドとアニタの取り持ち役を勤めた。すると己の欲を妨げる奴と腹黒いパンチョの奸計に引っかかり、投獄、銃殺の破目になったが、闘牛ファンのゴメスに救われた。そこでいい気になった彼がアニタ、リカルドの駆け落ちの手伝いをしようとして、あわて者の彼は浮気娘ロザリィを運び出し、その獰猛な恋人ペドロの激しい嫉妬を買い、散々な目に遭った。いよいよ闘牛の日、エディのためには人馴れのした従順な牛が用意されたが、これを知ったパンチョ一味はメキシコ随一の猛牛デアポロとこの牛とを取り換えておいた。とは知らず颯然と現れたエディこそは災難だった。恐るべき猛牛は唸りながら彼に躍りかかった。が進退谷ったエディは一代の頓智奇計をもって、猛牛の巨体を闘牛場の砂上に横たえたのであった。嘘から出た誠で、エディは遂に世界一の闘牛師となり、リカルド・アニタの恋の成就と共に、彼もロザリィと結婚してドン・セバスチャン第三世を作ることを決心したのである。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

映画レビュー

映画レビュー募集中!

この作品にレビューはまだ投稿されていません。
皆さまのレビューをお待ちしています。
みんなに感想を伝えましょう!

レビューを書く