「カビリアだってダメ人間」カビリアの夜 雨音さんの映画レビュー(感想・評価)
カビリアだってダメ人間
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カビリアは気の毒だった。さすがに、騙される方が悪いなどということはないでしょう。このオスカーという人には、正直私だって騙されそう(でも少しくらいの疑いは最後まで捨てないだろうけれど)。
ても、カビリアって、川に落とされた自分を助けてくれた人々にきちんとした感謝の言葉は返せないし、自分を心配して現実的アドバイスをしてくれる女友達に悪態をつく。彼女は、悪い人間じゃないけれど、心がけが良い人とは言えない。
まぁ、そんなところがこの映画の興味深いところでもあるけれど。登場人物たちは欠点も弱い面も持つわけで。
教会での場面でも、彼女も人々も雰囲気に呑まれ、いつの間にかひれ伏してしまっている。弱く、単純な人間たち。
そんな不完全な人間たちが悲劇を織りなす。
最後にカビリアが見せる笑顔は、何なのだろう?
もしかしたら、騙されたのではなく、言わば愛情を持って人を助けたのだ、というような心境になれたのか?(私には到底なれないと思うけれど)彼女は精神的には前とは別の次元に登りつつあるのか。
とりあえず、そういうことにしておこうと思う。
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