悲しみは空の彼方にのレビュー・感想・評価
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巨匠最後の傑作
メロドラマという、侮られがちなジャンルの名匠、ダグラス・サークの最後の監督作品。女優志望のシングルマザーであるローラと、黒人家政婦のシングルマザーのアニーが同居生活を通じてかけがえのない絆を育む。アニーの娘は黒人と白人の混血で、肌がかなり白く、黒人の血筋であることを隠している。女の友情と母娘の長年の愛憎を情感たっぷりに描いている。自らの血を呪うアニーの娘の気持ちが切ない。母は献身的で誇りを持って娘を育てている。しかし、黒人の血が流れていると学校に知られて差別を受け、その経験は母への憎しみに転じてゆく。様々なわだかまりを経て、ラストの葬式で観客の感情を爆発させる。鏡の使い方はやっぱり絶妙に上手い。芝居の付け方も無駄がく、感情の緩急の付け方もすごい上手い。空間の中で以下に人物を動かすのかなど、勉強になりまくる作品だ。メロドラマとは、こんなにも豊かな表現の塊なのかと驚かされる作品だ。
『アンクル・トムの様に生きれば、白人は貴方を拒みません』
『アンクル・トムの様に生きれば、白人は貴方を拒みません』って白人の立場から言っていると思う。
母と子の関係を黒人と白人の立場でそれぞれ描くと言う事だと思うが、そうでは無いと思う。余りにも稚拙なストーリーだと思う。60年前の話だら仕方ないが、今でも同じ様な葛藤はあるのだと思う。どこまでCOLOREDと定義するのかも問われていると思う。白人の民族の中でも未だに差別がある。まぁ、アメリカに限った事ではなく、ウクライナとロシアの違いなんて、我々日本人からは理解できない。と言うか、そんなもの最初からあるのだろうか?それでも、差別して争いをする。
「ドリーム」と共に、黒人の方々の苦難の時代に更なる想いを寄せ…
ダグラス・サーク監督や
ラナ・ターナーのことは全く知らなく、
これまで彼らの映画を観る機会は
無かったが、これがサーク監督の
最後で最高評価の作品と知った。
白人母娘と結果的にその家の家政婦になった
黒人母娘の、
仕事上の栄達と差別環境の中で、
それぞれの人生がどうリンクしていくのか
と興味深く観ることか出来た。
この作品、色々と不満はある。
そもそもが二家族は一緒に生活している
のだが、お互いの問題が
相手方の人生に直接関与する構成ではなく、
それぞれが分離している感じを受ける。
また、白人家庭の母は、異性への想いよりは
圧倒的に女優としての栄達を重んじる人物
として描かれるが、
その彼女を慕う写真家を目指す男性が
何故10年を超える想いを維持し続けたのか
との描写が不足していると感じる。
それでも、黒人家庭の母の臨終の間際での、
娘や触れ合った人々に対する想い
の独白のシーンや、
楽屋にやってきた母と別れる時に
言葉にはならないが口の動きだけの
娘の「ママ」には涙を誘われ、
栄達を目指す中で存在する理不尽さと共に、
アメリカ社会問題への告発性は明解だ。
この数日前に「ドリーム」を観たばかり
ということもあり、
いまでも解決が付いていないのに、
より厳しい時代の黒人の皆さんの
更なる苦難を認識させられる。
ダグラス・サーク監督の残りの作品の中では
第二次大戦末期のドイツ軍兵士の悲劇が
描かれているという「愛する時と死する時」を
観てみたいと思った。
複雑過ぎる事情の愛情物語
ラナターナー扮する夫を亡くし女優として成功を目指すローラメレディスは住み込みのメイドを探していたところファニタムーア扮する家が無いアニージョンソンと海辺で知り合い家に連れて帰った。ラナターナーは若くはないが、極めて品のあるブロンド美人の女優さんだね。一部人種差別的場面もあったが、ローラはジョンギャヴィン扮するスティーヴアーチャーから求婚されるも仕事の話が。ちょっと極端だけど、主演女優を喰う演出家がいても成功すれば言う事無いね。 そして振り返れば複雑過ぎる事情の愛情物語だったね。
主役はアニーとサラジェーンだな
サラジェーンが母親アニーの棺桶に駆け寄り、号泣するシーンは泣いてしまった。
最期多くに人々に見送られ、素晴らしい葬送だったのが救い。
アニー役の演技が終始うますぎる。
俺はあそこまで娘を愛しているだろうか?
可愛いのはもちろんだけだけど、どこかで別人格だからと、冷めた自分もいる。
娘がもし、道から逸れた生き方をしようとしたら、俺も最後はハグしよう。
母の願い
女優を目指す華がある女性ローラ(ラナ・ターナー)、大切に育てられた砂糖菓子のように可憐な娘スージー(サンドラ・ディー)。理不尽な差別に耐え生き抜いてきたアニー(ファニタ・ムーア)、黒人の母の元に生まれた事を隠し、苦悩しながら生きる美しい娘サラジェーン(スーザン・コーナー)。海水浴場で偶然に出会った二組の母子が、生活を共にするように。
何処までも優しいアニーと、娘サラジェーンの心のすれ違う様が痛ましく、別れ際での悲しい嘘が切なく涙を誘う。
荘厳な葬儀で、マヘリア・ジャクソンが力強く歌うゴスペルが胸に響く。
ーあなたを抱かせて。
私の娘として。
NHK-BSを録画にて鑑賞 (字幕版)
社会派ヒューマンドラマの名作
足の踏み場もないくらい混雑したコニーアイランドのビーチで迷子になった娘を必死に探すローラとそれを助けるカメラマンのスティーブ、娘は黒人のアニー母娘と一緒でした。二組のシングルマザーと青年の奇妙な絆を11年にわたって描く社会派ヒューマンドラマ。
この時代、女性が自力で生きてゆくことは難しいでしょうし、人種差別も酷かったことでしょう、そんなセンセーショナルなテーマに正面から臨んだのが原作者のファニー・ハーストさん。原作ではお菓子づくりで成功しますが映画では俳優とメイドと分かり易い設定に変えています。
メイドと言っても卑屈な主従関係ではなく、同じ年頃の娘を抱える母同志として助け合う関係です。それでもアニーの方が一歩引いた存在に徹しているので白人の観客に受け入れやすい配慮というのは察しられます。にもかかわらず南部の公開ではボイコットが起きたようです。
人種が絡まなくとも年頃の娘を育てるのは至難の技、世の中は危うい誘惑に満ちているのですから、なかなか親の真心や信念だけでは立ち行きません。幸い映画ではそれほど酷いシーンには至っていないので助かりました。
枕営業をほのめかすプロデューサーに毅然としてはねつけるローラも立派、ただ、あの状況では仕事をとる母親というのがリアルでしょうから、裏の現実が頭をよぎります。
あえて一線を越えないことで描かなかった深刻な現実を喚起させる手法は巨匠ならではの手腕にも思えます。
一番辛かったのはアニーでしょう、望まぬ妊娠だったのかも知れませんが白人の子を宿したことで娘にも反発され、唯一願いの叶ったのはお葬式、娘のサラが棺に謝罪する脚色は胸をうちます。
映画から半世紀以上たった今でも状況が好転したとは言い難い現実に人の業の深さを感じますが、問題に真摯に向き合うハリウッドの良心は「ドリーム」や「グリーンブック」などの良作に脈々と受け継がれています・・。
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