カッコーの巣の上でのレビュー・感想・評価
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人権なんて、掲げられた大きな正義の前では、有って無いものだ
この作品の根本にあるのは、
「命ある全ての人の人権」だと感じた。
刑務所の強制労働から逃れる為、猫を被り、精神病棟へ移ってきたモクスリー。なんの罪を犯したのか、はたまた何かの精神病なのかは、作中では明らかにならない。主役の彼から伝わるのは、教師に反抗するヤンチャ学生のような、ずる賢く、ただ仲間想いで、人間味溢れる、憎めない人キャラクターだ。私もその一挙手一投足に見入ることになった。
前情報なく観ていた私は、「あぁ…これは心温まる、厚生ハッピーストーリーなのかー」なんて思ってた。
この映画はラストスパートの衝撃が強すぎる…
映画ってすごいよな…伝え手の妙により、こんなにも衝撃が、見ている人の脳への、考え方への、固定概念への衝撃が強い…
日頃、私たちが精神病患者に抱いている嫌悪感…それは精神病院目線であり、
1人の人として分け隔てなく接する、本当の平等な人権は…モクスリー目線にあると思う。
婦長の大変さに同情する場面もあり、
モクスリーの疑念の表情に共感する場面もあった。
十人十色、全てを受け入れるのは簡単では無い、
それでも皆、命ある人なんだ。だから大変で難しい。
ロボトミー手術が盛んに行われていた時代があったこと…
それを現代ならばおかしいと皆が言えること…
提唱することで、人類全体が、愛する人の一人一人が幸せになれるよう
この作品の根本にあるのは、
命ある全ての人の人権についてだと感じた。
マックの意志はチーフに継がれた。
ラチェットの厳しさはごく普通。有能な看護師という言葉にも納得のもの。ところがマクマーフィの脱走に同行した患者たちの楽しそうな表情を見ると、そうも思えなくなってしまう。ワールドシリーズを観ると言ってたけど、結局は自由が欲しかっただけ。外の世界を謳歌したほうが患者の治療にも役立つように思えてしまう。まぁ、元来、精神病院なんて患者の更生を促すよりも閉じ込めておくことが主となるんだから、こんな病院はどこにでもあると思う。
脱走が原因で、マックを刑務所に送り返すよりも病院に縛り付けることを主張することになったラチェット。舞台は精神病院であるが、普通の監獄モノのような展開となる。
カナダに逃げるためお別れパーティをこっそりと・・・と計画は吃音のビリー(ブラッド・ドゥーリフ)の童貞お別れパーティみたいな雰囲気となり、酒の飲み過ぎのためか全員寝込んでしまった。ビリーが母親だけには言わないでくれてと懇願するもののラチェットの厳しさのため、彼はそのまま自殺・・・なんと悲しい結果。
精神病院の実情が浮き彫りにされると同時に、自由を求める姿が胸を熱くさせるものの、自発的に入院している患者もいることがすんなり受け入れられない点。それでもチーフが重い水道を壊して脱走を図るエンディングはすがすがしいし、ヨットの上での楽しい思い出が患者たちのマックに対する想いを盛り上げてくれた。
クリストファー・ロイドもいいなぁ~
清々しく良い映画と思わせて、
人間の尊厳とは…
自由への招待
精神異常を装い刑務所の強制労働から精神病院へ逃げ出すことに成功したランドルPマクマーフィー。
院内の絶対的な権力の持ち主であるラチェッド婦長に人間らしさを奪われてしまった患者たちを目の前にし、反体制的な行動で仲間たちを奮い立たせんと戦ったマクマーフィーを描いた作品。
なかなか手を出せなかった一本。
名作の呼び声の高い作品だがどういった内容がわからずいざ鑑賞。
1969年の「イージーライダー」で注目されたジャックニコルソンがその6年後の今作で初のアカデミー賞を受賞したことでも有名のよう。
ラチェッド婦長の強権の下、規則に凝り固められた院内においてグループセラピーなど止めてワールドシリーズを観るべきだと主張したり、バスを強奪して魚を釣りに行くなどの過激な行動を繰り返すマクマーフィーは側から見ると序盤はただの問題児的存在だが、ビリーやチェズウィックさらには聾唖のチーフとの交流を通していく中で常に患者たちの中心にいる、なくてはならない存在のようになっていく。
脱獄の希望を諦めずに持ち続ける、その自由気ままな生き方に少しずつ変わり始める患者たち。
そんな彼らとの別れを惜しみつつ、送別会といわんばかりに始めた脱走決行前夜の深夜のクリスマスパーティーwithマクマーフィーの女友達。
翌朝まで泥酔して寝てしまうという笑えるポカの先に起きた笑えない悲劇の数々と変わり果てた姿になってしまったマクマーフィーに心動かされた1人の男が起こした行動に確かに胸と目頭が熱くなった。
解説ありきの感動になってしまったのは不本意だが、不気味な人物を演じる印象が強かったジャックニコルソンが不器用ながらも大きな器の男を演じる様に感動した。
名作。。
抵抗する権利と男性が追いかけるすべてに提出しない権利
主人公にはあまり共感できなかった
見る前は病院側が恐怖政治を執り行っているものなのかと思いきや、別にそうでもない気がした。
マクマーフィはわがまま放題で何かしらの拘束処置が必要だと自分でも思った。
ただ、ショック療法やロボトミーという手段は頂けないが。
結局、どういう精神病院がベストなのか?
生涯忘れられない作品
昔の映画館は入れ替え制なんて無かった。当時、この映画とDeer Hunterは劇場で3、4回見た。一日で。10時間くらいスクリーンを眺めてた事になるんだが、その習慣は今も、あまり変わってない。
バスケットの肩車シーン。ビリーが自ら命を絶とうとするシーン。マクマフィーの廃人化した姿。チーフが窒息死させる場面。局面局面に感動したり衝撃受けたりしたが、それだけだった。
ロボトミー手術の非人間性。独裁的管理社会の恐怖。死の概念と自由の概念。当時は、幼稚なオツムで色んな事を考えたりもしたが、どうしても未だにわからない事がある。
「ただのゲス野郎でしかないマクマフィーへ共感してしまう理由」
マクマフィーは、自由を手に入れるため、義務を果たさず、ウソをつき続け、周囲を巻きこんだあげく、自らの失敗により最後はロボトミー手術を施されて廃人となる。彼の影響でカッコーの巣の上には、少しだけ変化が現れるが、やはりこの人には共感できる要素は、ゼロだ。
チーフがマクマフィーの顔に枕を押しつけた理由は、彼の父親の逸話が伏線となっている。酒におぼれて小さくダメになってしまった父親を始末したのは、チーフ自身だったのではないかと、ここでハッとしてしまう。
この作品を不朽の名作と呼ぶのか、と問われると躊躇するが、この映画は一生忘れられない。映画としての価値は正しく理解していなかったけど、こんなに考えたことなど、なかったから。
中学生の心を揺さぶった映画
やっと観た名作・・
痛快なドタバタコメディーかと思いきや
以下、勝手な解釈ですが。。
舞台は現実社会に馴染めない「クズ」の吹き溜まり精神病棟、カッコーの巣。
マックはそのクズに対して分け隔てなく、一人の人間として、病気を個性として接する。
そして次々とクズたちのカラを破っていく。
外に飛び出してクルージング、病院内をメチャクチャにしてのパーティーはほんとに皆楽しそう。
パーティーの最中に脱走しなかったのは、ここに居場所みたいなものを感じたのじゃないのかなと思う。アップになった表情が素晴らしかった。
ジミーがカラを破り、恥ずかしくないと言ったシーンは一緒に拍手したくなった。
しかし、唐突にジミーは現実に、巣の外に引きずり出される。現実の象徴であろう婦長と対峙した時には胸が張り裂けそうだった。
強引にジミーのカラを破り、殺させてしまったマックが婦長のクビを締めるシーンは涙が止まらなかった。
マックも結局はクズのひとり、ロボトミーによりみんなの希望の光も消えてしまったが。。
マックが出来なかったこと、大きな殻、社会をチーフがぶち破り、自由になったマックと一緒に飛び立っていくラストには本当に胸がすく思いがした。
理想論ですが、クズのひとりである私には一生忘れられない映画でした。
「正常」と「異常」を分かつこと
「正常」と「異常」を分かつ線を引くことと、多数決をとるタイミングを決定すること、そのどちらもが「権力」そのものである。
「多数決は常に民主的である」ということの欺瞞が映画でも喝破されている。たいていの多数決には、徹底的なデータ分析やロジックを掘り下げるという意味での議論は存在せず、ある特定の人(たち)によって、いつ誰によって決めるのかということが恣意的に決定されていくプロセスがある。
また、その場の雰囲気や、自分に対して権力を持つ者の意向から自由な思考によって行動することは、たいていの人々にとっては難しい。
映画は、精神病棟の看護婦長と患者たちという関係によってそのことの恐ろしさ、冷たさを表している。
この婦長は患者たちのことを考えて、良かれと思うことを日々行っている。そして当然のように、いたって常識的で優秀な管理者である彼女によるイエス・ノーがこの病棟のルールでなのだ。
恐ろしいのは、これが精神病棟特有の事態ではなく、ジャック・ニコルソン演じる主人公がここへ来る前にいた場所、つまり、どこにでもある普通の社会と共通の事態だということである。
なぜそのようなことが言えるのか。
なぜなら映画の冒頭で、彼がどうやら年端のいかない少女との性行為に及んだことが示されるが、このことが犯罪行為とされることについて主人公は納得していない。ここでも、何が犯罪とみなされ、どこまでがセーフなのかという線引きに彼自身は参画出来ない。つまり、彼は心底、自分のしたことの何が犯罪に値するのかについて納得していない。
そして、犯罪者が獄中で期待される振舞いを無視する彼は、犯罪者のレッテルを貼った側にしてみれば、規格外の人間とするよりほかないのである。
この規格外の人間の送られる先が精神病棟である。
映画は犯罪者や精神病患者を隔離するシステムの内包する狂気を明らかにする。観客の覚える戦慄はこのことによる。
ジャック・ニコルソンの演技
まず、ジャックニコルソンの卓越した演技力に驚かされた。表情の切り替えなどが素晴らしい。彼が演じるマクマーフィの破天荒ぷりで、精神病院の患者の心が変化していく様子がきれいに描かれている。
不朽の名作と言われている理由がわかった気がする。
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