劇場公開日 1976年4月3日

「自由と尊厳、"正常"の曖昧さ」カッコーの巣の上で keitaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5自由と尊厳、"正常"の曖昧さ

2012年4月22日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

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ミロス・フォアマンは狂気と異常の渦巻く精神科を映し出すことで人間の自由と尊厳、"正常"の曖昧さを観客に投げかける。
精神病棟という"正常"によって管理された"異常"な世界は、最高の俳優たちによって妙にリアルさを持ってくる。
特にその体制にいちいち反抗するマクマーフィーを演じたニコルソンは今まで観た中でも最高の演技で怪演している。狂気と怒り、そして優しさの同居した鋭い視線は彼にしか出来ない。
正常な人間とは何なのか?
思っていることを上手く言葉に表現出来ない。
ずっと黙っている。
1日中部屋に引きこもる。 正常な人間とは何なのか?
危険な反乱分子は電気治療にかけて黙らしてしまう。

縛られた管理社会を象徴する婦長、反抗の象徴であるマクマーフィー。
観ているとヒーローと憎まれ役がハッキリ見えてきてしまうし、感情移入もしてしまう。
自由と尊厳に対する一面的な見方だ。
しかし、その問題提起の仕方、決着の付け方はいかにも映画的で素晴らしい傑作だ。

keita