「いろいろ驚異的だが不屈すぎて笑ってしまう」風と共に去りぬ かばこさんの映画レビュー(感想・評価)
いろいろ驚異的だが不屈すぎて笑ってしまう
この映画が作られた時、アメリカが参戦した直近の戦争は、「第一次世界大戦」、舞台になった南北戦争も、80年くらい前の話。ちょうど現在から第二次世界大戦くらいの昔
その事実が今更だが感慨深い。昔よく聞いたのが、戦後(太平洋戦争の)この映画を見て、「こんな映画作る国と戦争して勝てるはずないと思った」という日本人の話だ。映画だから映像も音もあるので制作当時の空気も伝えてくれる、歴史的な遺物の一つのよう。それを直に見ていることに不思議な感じがする。
しかも、内容は、その昔に流行った、ハーレクインロマンスみたいなアメリカ南部女の半生。
すごい
今まで何度か見たが、ダンナが劇場で見たことないというので、一緒に近所の午前10時に行ってみました。
とにかくヴィヴィアン・リー。
ヴィヴィアン・リーを見るための映画。物量に物言わせた今見ても豪華なスペクタクルシーンは見せ所としてはその次です、私としては。
お鼻がツンと上を向いて、だけどなんとも品のある顔立ちで、黒い髪赤い唇、緑色が映えてよく似合うんですよね。小柄で華奢で、レットが片手でひょいと腰を抱えて馬車から降ろしてしまうくらいで、観ていてため息が出ました。ルックスだけでも少女マンガを実写にしたようなヒロインなんで、ほとんどの女性はああなりたい、憧れでしょう、男性もかも。
気が強くて自己中だが、長女らしい責任感で、自分の周囲にいる人たち全員への責任を一人で背負う。文句ばっかりの人任せ無責任次女を、しっかりやり込めるのも気分が良い。そして、そんな次女にすら恩に着せず、自分だけ犠牲になっているとか口にしないところはさすがで、強い女の面目躍如。でも、友達にはなれませんね。近くにいると蹴られて踏まれそうなので距離を置きます。
税金の工面に困っているのに助けてくれず、金に飽かして常に余裕かましているニヤけた女たらしレットはいけ好かないオトコだが、彼にしたらむしろスカーレットがタラを手放し、自分を頼って懐に入ってくるようしむけたかったのかも。だったらなんか幼稚。
2人とも自己中でコドモか、な性格のようです。
でも、最終的には、レットがかわいそうには、なった。
以前はスカーレットの何にも屈しない、レットにですら征服されない強さに感動したが、今見たら、重いけど結構子供っぽくてコミカルな人だった。レットをあれだけ邪険にしておいて、何とかすればよりを戻せると思っているところ、不屈過ぎて笑ってしまった。
案外年取ったら喧嘩友達になってるかも
メラニーは、良き人であるのは間違いないが、何考えてるのか分からない不思議ちゃんと思っていたが、今見ても変わらない。スカーレットとは良いコンビなのが、今回の鑑賞での発見です。
奴隷解放と言うが、耳障りの良い「解放」は、実のところ住むところも職も追われることで、労働力を欲していた北部に流れて低賃金劣悪な環境での近代産業の労働者となっただけで、事実上の奴隷生活は変わらずだったという話も聞く。マミーみたいな親のそのまた親の代からのナニーで、確固たる地位がある「奴隷」なら、解放なんて大きなお世話だったんじゃないでしょうか。
何か、身も蓋もない感想になってしまった。
感動した皆さん、すみません。