「1986年のイギリスから見た原爆」風が吹くとき ouosouさんの映画レビュー(感想・評価)
1986年のイギリスから見た原爆
考えてみれば、1986年はまだまだ第2次大戦経験者が世界中にいたわけである。イギリスでは敵と言えばナチスドイツ、それが冷戦下ではソ連に置き換わる。戦時中は…と第2次大戦を回想するのだが、それは非日常的高揚感と甘美さを纏ったポジティブな色彩を帯びている。(被爆国日本の話は、国際情勢の問題としてはこの映画では話題に上がらない。被爆するとどういう症状が出るか、のサンプルとしては言及される。)/戦争の持つ甘美な高揚や、思考停止した庶民的お上信仰とそれがもたらす悲劇は、『この世界の片隅に』を想起させる。/加藤治子の声の潤みが、なんとも言えない俗っぽさと気高さの揺らぎを表現する。
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