「何故か激しく長い夫婦喧嘩が印象に残った。シャロン・ストーンの体当たり的な渾身の演技も心に刻まれた。」カジノ Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
何故か激しく長い夫婦喧嘩が印象に残った。シャロン・ストーンの体当たり的な渾身の演技も心に刻まれた。
マーティン・スコセッシ 監督による1995年製作(178分)のアメリカ映画。原題:Casino、配給:UIP
カジノを舞台とする1人のギャンブラー・ロバート・デニーロの成り上がりと没落を、大河ドラマ的に描いていて、感動こそ少なかったが、とても興味深く面白かった。。
ギャング達が支配している世界だが、デニーロ演ずるカジノマネージャーは極めて、仕事に真面目で献身的かつ有能で、有力者の縁故であっても怠惰で無能力な人間が許せないという性格に、大いなる共感を覚えた。まあそのことで、地域で力が有る有力者の恨みをかい、職を失うことに繋がってしまうのだが。
妻とした妖艶な詐欺師シャロン・ストーンが美しくゴージャスなんだが、結婚しても決して自分にはなびかず、うだつの上がらない紐男(ジェームズ・ウッズ)にずっと貢いでいるのが、何とも悲しく皮肉。美しかったストーンだが、酒とクスリ依存となり、お金を求めて狂乱的な行動を何回も取り、デニーロの友人ジョー・ペシも誘惑して懇ろの関係となってしまう。また、小男で強そうに見えないペシだが、それだけに勢いのある激しい暴力が、逃げたはずの海外で生き埋めされてしまう末路とともに、強く印象に残った。
またやけに激しく長い夫婦喧嘩にも、かなり驚いた。スコセッシ監督の失敗した何回かの夫婦生活のいざこざを、ココに曝け出してるのか?なんて思ってしまった。最後にはどうしようもない嫌な女ということで、デニーロにもペシにも匙を投げられ、紐男とも喧嘩別れし、美貌もなくし薬中毒で亡くなってしまうシャロン・ストーンの渾身の演技が、心に残った。
監督マーティン・スコセッシ、製作バーバラ・デ・フィーナ、原作ニコラス・ピレッジ、脚本ニコラス・ピレッジ 、マーティン・スコセッシ、撮影ロバート・リチャードソン、美術
ダンテ・フェレッティ、衣装リタ・ライアック 、ジョン・A・ダン、編集セルマ・スクーンメイカー、音楽監修ロビー・ロバートソン。
出演
ロバート・デ・ニーロ、シャロン・ストーン、ジョー・ペシ、ドン・リックルズ、ケビン・ポラック、ジェームズ・ウッズ。