カサブランカのレビュー・感想・評価
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題名でバーティ・ヒギンズを思い出します
この映画はあまりに有名すぎるはずなのに近年、映画館で上映される機会はあまりないような気がします。「風と共に去りぬ」や「ローマの休日」は、しつこいぐらいリバイバル上映されてるのに平成になってから、この映画は午前十時の映画祭以外でかかっているのを見た事がありません。
ミニシアター系はヨーロッパの巨匠(ヴィスコンティ、ゴダール)やヌーベルバーグが推す巨匠(ホークス、ヒッチコック)などの意識高い系などがメイン(←そんな事はないですよ💦)で今さら「カサブランカ」でもないか・・・
今では本屋さんレジ横に置かれている懐かしDVDで見かける程度(これ安すぎるけど版権どうなってるの!?)
私の中で、この映画はキザな映画(名セリフ:君の瞳に乾杯)、よくパロディにされる(ウッディ・アレン「ボギー俺も男だ」←この映画も上映して欲しいなぁ)、昔観たNHK教育で放映されていたのがショボかった(←ふっ、ガキが何分かるんだよ!)
まぁ「カサブランカ」て、ようするに懐メロでしょ?あの頃は良かったわ。
じゃ、お前、映画館で最初から最後まで観たのか?そっから評価しろや!
・・・という事で観にいきました。
観に行く前に気がついた事なんですけど、これ戦中に作られた映画なんですね。日本公開は戦後だったので勘違いしておりました。作られた当時、フランスはドイツに占領されておりましたのでフランスの植民地であったモロッコ(カサブランカのある国)もドイツの支配下に置かれてるという事ですね。まぁ、ある意味、国策映画でドイツを倒せ!というスローガンで作られた映画でもあります。イルザ(イングリッド・バーグマン)も突然リック(ハンフリー・ボガート)から姿消して勝手な奴だよ!と物語的に破綻しているのに、
なんやかんや上手くいってしまう・・・(←まっ、いいか😅)
それを補うように白黒画面の階調が美しい。うーむ、アカデミー撮影賞はノミネートされたのに受賞されずにか。モロッコはダークトーンでパリ占領前の幸福時代は明るいトーン、終盤の空港シーンの、どう転ぶかモヤモヤした状態は霧で表現して緻密に場面展開されております。有名なプロペラが回るシーンは映画館の音響で迫力があります。
ドイツ軍の程よい悪役感はジョン・スタージェス「大脱走」に引き継がれてるのかな。ドイツのシュトラッサー少佐が唄うドイツ国家(かな?)に対抗してラズロらが楽団にラ・マルセイーズを演奏してくれと頼み、その後の大合唱はロバート・ワイズ「サウンド・オブ・ミュージック」のエーデルワイスにも共通する場面ですね。
とりあえず映画館で観れてよかった作品ですし、とても優しい映画でした。登場人物に無駄な人もいないし脇役の持ち味がそれぞれ生かされてました。ペーター・ローレーが出ていたのは意外でした。
渋いなぁ
戦時下のカサブランカを舞台にしたラブロマンスということですが、ハードボイルドな感じでした。
やっぱり戦中戦前とかの作品て、時代背景知らないとちょっと難しいです💧今作の舞台がフランス領で、ドイツとの関係はどうなんだとか、反ナチスが出てきてどーなんだとか。リックが「政治の話はやめてくれ」って言ってたけど、こっちのセリフだよ!(泣)説明もあまりないので、当時は知ってて当然の社会背景を知らない身としては少し置いてかれてしまいました。
ハンフリー・ボガートの渋い演技、イングリッド・バーグマンの美しさ。この2人が画面に映っているだけで華がある。「君の瞳に乾杯」かぁ…。ええなぁ(^Q^)でも全編通して淡々とした雰囲気があり、ラブロマンスというよりはハードボイルドと言ったほうがしっくりくる気が。ラストの展開とかもね。
私にはちょっと渋すぎたかなぁ。「ニノチカ」くらいが丁度いいっす(笑)
ボガートの思い
ハンフリー・ボガートの代表作の一つですが、
実は彼はあまりこの作品が好きではなかったそうです。
でもそんな思いとは関係なく、これぞ映画、と言えるような娯楽大作ですね。
イングリット・バーグマンはじめ出演俳優の豪華さと演技の確実さ。
ストーリー、演出、脚本、カメラ、そして音楽。どれをとっても1級品の映画です。
ボギーはとてつもなくかっこよく、バーグマンは息をのむほど美しい。
そしてこの時代のこういった作品にみられる、たまらないセリフの良さ。
レイモンド・チャンドラーやダシール・ハメットの作品に通ずるものがあります。
実際にチャンドラーは映画の脚本も書いていたようです。
今の時代では決して作られることのない映画ですね。
「ツーリスト」がちょっとだけ雰囲気あったかな。(セリフの面で)
集中できなかった
魅力的なロマン主義に満ちた、ラブロマンスの傑作だ。
ハリウッド流のメロドラマが苦手というひともいるだろう。ストーリー自体は、ラブロマンスにありがちな展開ではある。しかしこれは、1942年公開ということを考えると、後世の作品に多大な影響を与えた、古典的傑作といえる。
俳優陣はみな好演。やはりハンフリー・ボガートの存在感と、息をのむほどの美しさを誇る、イングリッド・バーグマンが印象に残る。非常に魅力的なキャラクターが、実に印象深い。
魅力的なロマン主義に満ちたメロドラマであり、心憎いほどのスマートなウィットに満ちている。そして、心揺さぶる演出と、巧みなサスペンスが、本作の価値を大いに高めている。
もう何も言うことは無い。愛と現実の間で、犠牲を伴う誠実さに生きた人々を描いた、感動的なラブロマンスの傑作だ。
唯一無比、孤高の名作
男の生き様
中目黒のフレンチカフェで久しぶりにこの音楽を聴いたので、見直してみた。最近の吹き替え版ではなく字幕版で。
昔は気にならなかったが現在から見ると、セットだと分かるチャチさがある。しかし白黒で撮影当時の雰囲気が味わえる為、その点を補っていると言えるだろう。
加えてバーグマンの美しさが、補って余りあるのかも。
悲劇的な終わり方をしないので、戦争について深く考えさせることは少ないと思われるが、ここまで命を張らなくても、もう少し我慢していれば状況は良くなるのに、とも思ってしまう。ただ、このように信じた道を突き進む人間が居るからこそ、状況は動いていくのだろうとも思う。
これは戦時下における、男の生き様の映画なのだ。
信念に命をかける。
愛する女を守る。
追い詰められた時に下す判断。
男が男の生き様に惚れること。
そんな男に付いていく女も、相応の覚悟が求められる。
ボガードはハンサムではないのだが、色気がある。
彼の魅力を探るべく、他の作品も観てみたいと思った。
絡み合う駆け引き
目的の為には犠牲を厭わず、間抜けには手を貸さない。情にほだされたように見えても、道は外ない。
そんな主人公の姿に、フィリップ・マーロウの「強くなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格がない」という言葉を思い出した。(実際にこの小説を読んだことはないのだが)
最も印象的だったのは、ハンフリー・ボガートのオフィスに忍び込んだイングリット・バーグマンが彼と鉢合わせするシーン。会話の内容とともに変化する彼女の表情に見惚れ、すっかり字幕を追うのを忘れてしまった。
…
あの決め台詞は最後のとっておきだと思っていたら、何度か使われていたのは意外だった。
…
テーマ曲が、情景に合わせて様々に展開する。演技に寄り添っていて心地良い。
彼らの目は怯え、恐れ、未来を見つめている。
アフリカの北、そこに集まる者達は
弾圧から逃れ自由を求めた。
カサブランカは、古い映画では有るが
間伸びするシーンの少ない稀有な映画だ。
隠れた英雄の象徴リック。
リックの愛する女性イルザ。
イルザの夫ヴィクターの関係性は
ロマンスと共に戦争を物語る。
このヴィクター・ラズロのモデルは
日本人女性として初めて海外の伯爵家に嫁いだ
青山みつ の息子リヒャルトだと言われている。
(オーストリア→フランス→アメリカ亡命)
彼はナチが台頭する頃の政治活動家で
EU、今の欧州連合を構想した人物だ。
当然ナチス・ドイツから睨まれていた。
リックはアメリカ。
イルザは迷える欧州。
ヴィクターは自由への希望 … 。
名場面はたくさん有る。
時代の表も裏もたくさん有る。
登場人物の誰もが信念と情熱を持ち
敵味方に関わらず、時代を生きたその姿がいい。
また、明治期にオーストリアに渡り
孤独の中で子供達を育て上げた青山みつ という
日本人女性の隠れた姿を映画の中に見るも誇らしい。
時が経っても、変わらぬ情熱。
映画カサブランカはそういう物語だ。
※
感動した★
主要3人の瑕疵のない設定がラブロマンスの名作として映画史に名を残したか…
たまたま「オリエント急行殺人事件」で
イングリッド・バーグマンに会えたところ、
この作品がTV放映されたので、
今度は若かりし頃の彼女との再会をと、
もう何度目かも分からない鑑賞に臨んだ。
マイケル・カーティス監督作品として、
他には、「ホワイト・クリスマス」と
「俺たちは天使じゃない」しか観たことが
ないが、作品賞他主要3部門を得たこの作品が
彼の代表作と言っていいのだろう。
そして、今回の鑑賞では、
対枢軸国プロパガンダ的意図と共に、
この映画が純粋なラブロマンス作品で
あることも再認識させられた。
そのラブロマンス要素だが、
過去を引きずるボガードとバーグマン2人を
中心とする展開の中、
今回、特に気にして観たのは、
夫が、カサブランカに来て、妻の自分以外の
男性の存在に薄々気付きながらも、
妻とその相手への気持ちが
如何ほどであったのか、どう
己の気持ちに折り合いを付けていたのか、
との点だったが、
彼のそんな胸中にスポットを当てる演出は
特に無かったように思えた。
改めて感じたのは、
人間性の上でも、その行動においても
瑕疵の無い設定の主要3人の印象で、
誰も他者への十字架は背負っていない
ことだった。
もし、3人の苦悩に深みを加えるようと
するのであれば、
妻は夫が死んだと思って
別の男性との恋に落ちたのでは無く、
夫が強制収容所に入れられていた間の孤独感
から魔が差したように設定して、
社会的に重要な立場の男性と
燃えるような恋心を抱かせるような男性との
理性と感情の間で揺れ動く妻と、
その妻の想いに翻弄される2人の男性の心象
に加えた方が、
より深みのある作品になったように
思ったが、
一方で、それが無いことが
ラブロマンスの名作として映画史に残った
理由なのかなあ、との思いだった。
君と幸せだったパリの思い出だけで俺は生きていける!
永遠のハードボイルドヒーロー、ボギー‼️
リックの一言一言に、痺れる…!!!!!
ほろ苦く切ないラブロマンスでありながら
ドイツ侵攻下のヨーロッパ諸国からアメリカへの逃亡劇という背景のため、随所で緊迫感もすごい…。
なんといってもリック(主人公)が超超超かっこいい!
ハードボイルドなのに実は情にあつくて
愛した女にめっぽう弱い…
一言一言が渋い、しびれる😭
「愛するとは」というのが大きなテーマで、
なんか私は美女と野獣を思い出したよ😭
野獣がベルを解放するときの名言
「なぜかって?愛しているからだ」
と似たシチュエーションのラスト…
美女と野獣とは違ってベルはもう2度と戻ってこない…
せ、せ、せ、せつねぇ😭😭😭
「愛しているから。だから行ってほしい。君は彼の一部なんだ。」
「おれを愛しているとさえ言った。それは昔のことなのに。あなたのための嘘です。」
くぅうぅぅぅぅう痺れる!!!!
理想の紳士淑女を演じるボガートとバーグマンの存在感が素晴らしいハリウッド映画の典型
名優のハンフリー・ボガートとイングリッド・バーグマンの二大スター共演が魅力の典型的なハリウッド映画。太平洋戦争最中の1942年に制作されたことも驚きに値する。戦争とは別世界のハリウッド黄金期の代表作の一本。監督は、職人的手腕を得意とするマイケル・カーティスだが、特に技巧的に優れた演出を見せる訳ではないが、後世に遺る作品になる。それは当時フランス領であったモロッコのエキゾチックな舞台背景、ナチスか絡む政治的緊張感、その中で演じられる理想の紳士と淑女の魅惑的な存在感が素晴らしい理由であろう。ボガートもバーグマンも名演を残す傑作が他に幾らでもあるにも関わらず、この作品が記念碑的に評価されている。特にバーグマンは、前作「ジキル博士とハイド氏」の時は幼さが残る23歳の美人女優だったのが、この作品では大人の女性として映像に映し出されている。制作の意図以上の映画的な成功を収めた、偶然の奇跡が齎した名作と思う。ラストシーンの余韻も素晴らしい。
1976年 7月9日 地上波テレビ
名台詞
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