「さすらいの航海」海底王キートン 梨剥く侍さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 さすらいの航海

2025年10月26日
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鑑賞方法:映画館

カツベン付き無声映画上映会で、「チャップリンの冒険」とともに鑑賞。
傑作「キートンの探偵学入門(忍術キートン)」と同年の作品で、共演の女優も同じ。“海底王”と邦題がついているものの、海底にいるのは数分ほど。何しろこれでもかというくらいギャグを詰め込んだスラップスティックの極致を堪能できる。真向かいの家のお嬢さんに求婚するのに、運転手付きの車で行く冒頭からしておかしい。最後も絶体絶命の状況に陥るが、思いもかけない結末が“浮上”し呆気にとられて爆笑。そこで終わってもいいのに、さらに追い打ちをかけるような笑撃展開が。
コマ落としのような動きなのであまり伝わってこないが、キートンのみならず共演の女優もかなり体を張っている。何度も海に落ちたり、散々な目に合う。女優の方はスタントなのだろうか。
弁士の坂本頼光さんは流暢な口跡でお見事(周防正行監督の「カツベン!」で活弁指導したそうです)。ピアノ伴奏の鳥飼りょうさんも全編アドリブで弾き続ける技倆には驚嘆するしかない。活弁というのはたぶん日本独自の文化だと思うので、アメリカやその他の国の観客は時折挿入される字幕と劇伴だけで鑑賞していたんですよね。何か全然受ける印象が違うように思うなぁ。

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梨剥く侍