会議は踊るのレビュー・感想・評価
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本作は従来のサイレント映画よりも音楽で優越し、映像で舞台オペラにも優越して、トーキー映画の大きな可能性を、当時のどんな作品よりも雄弁に語っているのです
会議は踊る
1931年10月公開、ドイツ映画
白黒トーキー作品
会議というのはウイーン会議のことです
1814年9月1日から1815年にかけて、オーストリア帝国の首都ウィーンにおいて開催された国際会議のことです
議題は、ナポレオン戦争集結に伴う国境線の引き直しなどの戦後処理を決めること
参加者は当時の欧州列強の首脳です
会場はあの豪華なシェーンブルン宮殿
議長はオーストリア帝国外相メッテルニヒです
このウイーン会議は、各国の利害が衝突して数か月を経ても遅々として進捗せず、「会議は踊る、されど進まず」と評されたことで有名です
もちろん本作の題名はそこから採られたものです
物語は、このウィーン会議において会議の主導権を握ろうと、あの手この手を使うロシア皇帝アレクサンドル1世と、そうはさせじ…続きを読む
令和の今にも通用するミュージカルの佳作
会議で訪れた外国で、たまたま知り合った手袋売りの娘・クリステルとの恋愛ということですから、そのお相手方としてのロシア皇帝にしても、どこまで本気の色恋だったのか。
しかし、彼女が会議場の宮殿に向かうときの挿入歌「ただ一度だけ」は、彼女の切ない心情を表して余りがあったと思います。
他にも名曲の数々に彩られた本作ですが、その一点でも、昭和初期に当たる時期の製作ですが、令和の今でも鑑賞に値する一本と思います。評論子は。
史実より娯楽に徹したオペレッタ映画の、開放された極上の愉悦
1814年のウィーン会議の史実から発想された、手袋売りの娘クリステルとロシア皇帝アレクサンドル1世の美しく咲き夢広がり、そして儚く散り行くロマンス。忍び寄るナチズムの気配は全くなく、異様な程の明朗さが際立つ実に楽しいオペレッタ映画の名作。宰相メッテルニヒの裏工作もありで、国際会議の駆け引きを娯楽的な色彩に染め上げる徹底ぶりに、映画としての凄みを感じる。馬車に乗ったクリステルのリリアン・ハーヴィーが主題曲”ただひとたび”を歌いながら皇帝の別邸に着くまでの長い移動撮影シーンが、クライマックスにして圧巻。シューベルトの”軍隊行進曲”も効果的に使われている。ドイツ映画の最大にして最後の輝きを想わせる歴史的な映画遺産。
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