「彼女しか彼女じゃないの」女は女である ipxqiさんの映画レビュー(感想・評価)
彼女しか彼女じゃないの
音×カメラ×詩?
なるほどわからん?
ベルリンでコメディの賞をとった字幕から始まる本編、これが喜劇なのかどうかは思いっきりテーマに関わるキモの部分だったことが後にわかる
冒頭からいきなりアバンギャルドな音の使い方で、配信のせいで音が遅れてるのかと思ってしまった…
そしてアパートの間取りを活かした自在なカメラワーク、詩のような言葉遊びのようなセリフたち、軽やかに第四の壁を飛び超えてくる斬新な演出、等々を駆使して描かれるのは単なるカップルの痴話喧嘩…
そりゃアンナカリーナはかわいいし、飄々としたベルモントもブリアリもかっこいい。インテリアもスタイリングも街並みもタイポグラフィも、画面に映るすべてのものがおしゃれではある
が、これをコメディとして(あるいは悲劇として)楽しめるかといったらちょっと私には無理ゲー。矛盾する複数の視点を同時に表現したキュビスムの絵画みたいで刺激的ではあるが
ぶっちゃけ序盤はずっと頭の片隅でウォンカーウァイっぽーい、と思うのを止められなかった…(ブレードランナー観て攻殻機動隊を想起してしまう問題)
今見てもこれたけ斬新なら、当時の観客やプロの映画人をどれだけ驚かせたかは想像に余るし、紛れもなく現在の映画表現の血肉になっているのは確実で、たぶん今なお映画を変え続けているのではないかと思う
慣れると普通に楽しめる部分もあったけど、いちばんかわいかったのは、ベルモントのアパートのおじいさんがベランダをちょこちょこ行ったり来たりするシーンかな
今となっては部屋に電話がないだけのことが非常に新鮮に感じる
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